12月4日 E.T.の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。E.T.は3回ぐらい観たことがある。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。E.T.は観たことない。
武たち 高橋の家に住み着く幽霊一家。3人+きゅうりの馬。
田中太郎 田中の兄。高校時代は4番キャッチャー。
昨日からの続きです。
ここはとある郊外のマンションの一室。
「う…うーん…ここは…?けほっ。そうか…高橋さんの家で寝かせてもらったんだった…」
コンコン
「は、はい」
「起きた?体調はどう?」
「おはようございます。少しいいみたいっす」
「まだ声はかれてるな…はい、ポカリと冷えピタ。あと体温計」
「あ、ありがとうございます。…夢で武さんたちと会いましたよ」
「おっ、そうか。心配してたしな」
「めちゃくちゃ看病されましたね、夢の中で…ありがたいっす。そして太一くんが可愛い!けほっけほっ!」
「落ち着け、テンション上げすぎだ」
「すみません、我を忘れて…(ピピピ) えーと37.9度っすね」
「まだ熱があるな…とりあえずゆっくり休んだらいいよ。食欲はどう?食べられそうなら準備するけど」
「すみません、何から何まで…実は昨日の昼から何も食べてなくて…」
「わかった。ちょっと待っててくれ」
「お待たせ。はいどうぞ。熱いから気をつけてな」
「ありがとうございます!風邪ひいたときのうどんって最高っすよね。いただきます。フー、フー、ズルズル…お、美味しい…」
「それはよかった」
「えっ、マジで美味しいっす…お母さんが作ってくれるうどんみたい…」
「まあ君のお母さんのレシピだからな」
「…へっ?どういうことっすか?」
「前に君が体調悪いときにうどんが食べたくなるって言ってただろ?だから太郎くんにどんなのかメールで聞いたら、太郎くんが君のお母さんからレシピを聞いてくれたんだよ。まあ実際のものには及ばないと思うが」※10月29日参照
「ちょ、ちょっと待ってください!なんでお兄ちゃんの連絡先知ってるんすか⁉︎」
「いつだったか聞いたんだよ。この前サシで飲みにも行ったぞ。彼はコミュ力お化けだな…」
「い、いつの間に…油断も隙もないんだから…」
「まあおかげでこのうどんが用意できたってわけだ。お口にあったようで何よりだ」
「重ね重ねありがとうございます…」
「いいって。あ、そうだ。あとこれも飲んでおいたら?」
「なんすかこれ?」
「店長のおすすめコーナーにあった店長特製生姜湯EXだ。さらに効能が強化されたらしい」
「…それほんとに合法的な奴なんすか?」
「店長は大丈夫って言ってたぞ。オフホワイトだって」
「やばそうな気しかしないんすけど…まあいただいてみます。あ、美味しい。暖まりますねー」
「まああとはゆっくり寝たら大丈夫だろ。食器はまた下げに来るから適当に置いておいてくれ。俺はリビングにいるから、なんかあったら声かけてくれよ」
「ありがとうございます。高橋さんはこれから何するんすか?」
「パソコンで作業しながら映画でも観ようかな。今日はちょうどE.T.の日だし」
「E.T.ってあの自転車で空を飛ぶやつっすか?」
「そうそう。1982年のこの日に日本で初公開されたらしい。久々に見返してみようかな、ネットでレンタルして」
「E.T.っすか…ぼく、観たことないんすよね…一緒に観てもいいっすか?」
「しっかり治してからにしなさい。1週間レンタルにしておくから」
「ちぇー」
「じゃあゆっくり食べて、ゆっくり休んでくれ」
「あ、高橋さん…あの…本当にありがとうございます」
「どうしたんだ、あらたまって?気にせず早く良くなってくれよ」
「…はい!」
2時間後
「あの、高橋さん…」
「うおっ⁉︎びっくりした…どうかした?」
「熱も下がって全ての症状が完全に消えたんすけど…あの生姜湯、ほんとに何が入ってるんすかね…」
「マジかよ…違法、合法の問題じゃなくて魔法だったか…」
(追記)番外編にその後の話を投稿しました。