11月27日 ノーベル賞制定記念日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。好きなノーベル賞は物理学賞。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。好きなノーベル賞は文学賞。
ここはとある郊外のコンビニ。
「何かどデカいことを成し遂げたいんすよ」
「どうした急に?上京する若者みたいなこと言い出して」
「この世に生を受けたからには、ビッグになってこそだと思うんすよね」
「心意気は買うけど、具体的にはどういうことをしたいんだ?」
「こう…世界に名が轟くような…海賊王になる、とかっすかね」
「それは悪魔の実とか食べないと難しいんじゃないかな…」
「何というか…そう!歴史の教科書に載るようなことがいいっす!」
「歴史の教科書ねぇ…乱を起こすとかかな」
「乱って…大塩平八郎じゃないんすから…」
「でも歴史の教科書に載るのは並大抵のことじゃ無理だろ。そういえばインフルエンサー目指すってのはどうなったんだ?あれも割とどデカいことじゃない?」※8月27日参照
「地道にフォロワーが増えてますよ!まだまだ道のりは長いですけど…」
「おお、頑張ってるんだな。最近はどんなのをアップしてるんだ?」
「反響があるのは普段の運動の様子ですかね。でもコメントは『ストイック』とか『狂人』とかなんすよね…普通にやってるだけなんすけど…」
「狂人って…まあたしかに君の運動量は常軌を逸してるかな…それこそ運動関係でデカいことを成し遂げられるんじゃない?」
「運動は趣味なんでなんかそういう仕事みたいにしたくないんすよ…それにもっとぼくのインテリジェンスを活かしたいんすよね!」
「インテリジェンスねぇ…教科書に載りそうっていったらノーベル賞とか?」
「ノーベル賞!それがありましたね!今年は…もう間に合わないっすかね?」
「さすがにな。そろそろ授与式だし。たしか12月10日だったかな。ノーベルの命日に併せて行われるんだ」
「じゃあ来年目指しますかね!どんな賞があるんでしたっけ?」
「えーと、物理学賞、化学賞、生理学・医学賞、文学賞、平和賞じゃなかったかな。経済学賞てのも正式なものじゃないけどあるはず」
「やけに詳しいですね…はっ!まさか高橋さんもノーベル賞を狙ってるんすか⁉︎」
「そんなわけないだろ…今日がノーベル賞制定記念日だから、前にちょっと調べたんだよ」
「制定記念日?授与式とは別にあるんすか?」
「ああ。ノーベル賞創設のきっかけになったノーベルの遺言があるんだが、それが書かれたのが11月27日らしい」
「なるほど、それで創設記念日なんすね。しかしどの賞を狙いますかね…理系っぽいのはちょっと論外なんで、文学か平和か…うーん、平和っすかね」
「そんなメニューを決めるくらいのノリで選ぶものじゃないと思うんだが…だいたいどんな活動をするつもりなんだ?」
「平和を作ればいいんでしょう?世界中全ての軍隊を壊滅させればいいんすよ。争う手立てがなくなれば、戦争は無くなります」
「なんだその最も平和的じゃない平和的解決法は…革命家じゃねーか…」
「よし、早速明日から行ってきます!」
「マジでやめろ。死ぬぞ」
「じゃあどうすればいいって言うんすか!」
「ちょっと落ち着け…そうだ、今日の店長のおすすめコーナー見たか?」
「まだ見てないっすけど…なんか木彫りの像がありますね。これがなんなんすか?」
「まあ、よく見てみろ」
「んー?(ジー)…(ポロポロ)っ⁉︎な、なんで涙が…」
「不思議だろ?謎の神々しさがあって見た者全てが涙を流すっていう店長の最高傑作だ。年に一度店内に飾られる」
「不思議とかいうレベルじゃないと思うんすけど…これ見てると争う気持ちがなくなりますね…これほんとに世界平和を作れるんじゃないっすか?」
「その前に宗教戦争が起こるか、店長が暗殺されるかもしれないな…」
遅れて申し訳ありません。