11月26日 いい風呂の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。入浴剤はあんまり使わない。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。入浴剤を毎回使う。溶けていくのを見るのが好き。
ここはとある郊外のコンビニ。
「だいぶ寒くなってきたな…」
「そうっすね」
「『そうっすね』っていう割に君は薄着だな…寒くないの?」
「ちゃんと着込んでますよ!ほら、ソックスが長くなってるでしょ」
「微々たる差だろ…」
「高橋さんはだいぶモコモコしてきましたね」
「ああ。家でも湯たんぽを出したよ」
「湯たんぽっすか!ぼく、実物は見たことないっす。買ったんすか?」
「だいぶ前にな。店長のおすすめコーナーの『店長セレクト!あったかセット』ってのに入ってたんだ」
「店長セレクトっすか…なんか嫌な予感がするんすけど…ちなみに他は何が入ってたんすか?」
「えーと、湯たんぽカバーが入ってたな」
「おっ、まともっすね」
「15枚」
「15枚⁉︎いや、洗い替えにしてもそんなにいらないでしょ…」
「まだ日の目を見てないのが何枚かあるな…あと短編小説が入ってた」
「小説っすか?」
「うん。一杯のかけそばっていうやつ」
「心温まる話ではありますけど…もしかして以上っすか?」
「ああ。まあ湯たんぽは役立ってるけど…総じて騙されたって感じだな」
「そろそろおすすめコーナーのセット買うのやめたらどうっすか…?」
「まあ最近は買ってないから…買っても懐が寒くなるばっかりだしな」
「おっ、言葉遊びっすか。それは嫌いじゃないっすよ」
「やべえ、無意識だった…君にぶち殺されなくてよかったわ…」
「失礼な!人のことをなんだと思ってるんすか!」
「いや、ダジャレに関してはかなりバーサーカーだろ…」
「むぅ…まあ若干否定できないっすけど…ま、まあいいじゃないっすか!そうだ、高橋さんの他の寒さ対策を教えてくださいよ!」
「寒さ対策か…そんな特別なことじゃないけど、この時期は毎日湯船に浸かるな」
「えっ、夏は毎日入らないんすか…?」
「シャワーだけで済ますってことだよ。一人暮らしだと毎回風呂沸かすのがめんどくさくてな」
「そういうことっすか。たしかに高橋さんの家のお風呂、かなり広いですもんね」
「まあな。そういや今日はいい風呂の日だな」
「これは語呂合わせがわかりやすいっすね。11月はいい○○の日が多いっすねー」
「まあ語呂が作りやすいからな。いい風呂の日は日本浴用剤工業会が制定した記念日で、入浴剤の普及を目的とした日だそうだ」
「へー。入浴剤もいいっすけど、どうせならやっぱり温泉に行きたいっすね〜 今度また行きましょうよ!」
「いいけど今度は絶対に酒は飲まんからな」※11月6日参照
「トラウマみたいになってるじゃないっすか…ぼくはまた泊まりでもいいっすよ!なんちゃって」
「…」(ピシッ)
「フ、フリーズしてる⁉︎ど、どうしよう⁉︎熱湯かけたら溶けるかな…」
「やめろ、マジで死ぬわ」