6月26日 拷問の犠牲者を支援する国際デー 露天風呂の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。好きな温泉地は別府。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。好きな温泉地は草津。
ここはとある郊外のコンビニ。
「暇っすねー」
「暇だな」
「高橋さん」
「今日は…」
「何か面白い話してください」
「こいつ、マジですべらない話要求してきやがった⁉︎ハードル高いな…うーん、ちょっと待って」
「ぼくが言うのもなんですけど、高橋さんは少しは断った方がいいと思いますよ。どんだけ人がいいんすか」
「あっ、今日の店長のおすすめコーナー見たか?」
「ええ、『本日のおすすめはございません』って札がかかってたっすね。そんな日もあるんすねー」
「あの札が商品だぞ。値札がついてる」
「嘘でしょ⁉︎あっ、ほんとだ!126円って書いてある!」
「前も一回だけ同じもの売ってたことがあるんだよ。無から転じて生を拾う、って言ってたかな」
「店長は北斗神拳の伝承者なんすか?というかこんなの売れないでしょ」
「まぁほとんど売れないよ。前のときは3枚だったかな」
「いや、その3人の購入動機を知りたいっす…でも高橋さん、やるじゃないっすか!すべらない話までこなすとは。今後もどんどん無茶振りしますんで!」
「二度とやるなよ。次は許さんからな」
「あっ、やっぱ怒ってたんすね…すみません…お詫びに記念日うんちくも聞いてあげますよ!」
「おまえ…まぁいいや。今日は拷問の犠牲者を支援する国際デーだな」
「え、えっ、なんですって?」
「拷問の犠牲者を支援する国際デーだよ」
「パス」
「パスすんな。このやりとり、前もやったな」
「いや今回ばかりはほんと勘弁してください。拷問とかスプラッタな話はほんとにダメなんすよ…それに支援するったってそれこそここではどうしようもないじゃないっすか」
「まあそれもそうか」
「何か他の記念日はないんすか?」
「あとは…露天風呂の日かな」
「いいのがあるじゃないっすか!しかしなんでこんな蒸し暑い時期に露天風呂の日が?」
「語呂合わせだよ。『6・26』で『ろ てん ふろ』」
「おっ、この語呂合わせはなんか好きっす!でもこの時期はやっぱ暑いっすよ」
「だからこそ逆に風呂で汗流しつつあったまって、風呂上がりにキンキンに冷えたビールを楽しむってのも一興だと思うぞ」
「酒はダメなんでオレンジジュースください」
「なんで戸愚呂弟…」
「やっぱり北斗神拳と戦うならこのくらい強いキャラじゃないと!」
「えっ、店長と戦う気なのか?なんでそんな話に…」
「あとほんとにお酒弱いんすよねーすぐ酔っぱらって寝ちゃいます」
「なるほどね、酒とスプラッタなものに弱いと」
「あっ、その情報を使ってぼくに日頃の怨みをはらすつもりっすね⁉︎ま、負けませんよ!ぼくの100%中の100%をみせてやるっす!」
「それ使ったら死ぬからやめとけ。それに別に日頃の怨みなんて全くないぞ」
「…高橋さん、器が深く、広いっすね!まるで露天風呂のようっす!」
「それ、そこまで広くなくないか?」