11月24日 和食の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。和食も好きだが、洋食を選びがち。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。和食が好き。というか寿司が好き。
ここはとある郊外のコンビニ。
「高橋さんって嫌いな食べ物はないって言ってたじゃないっすか?」※7月10日参照
「ああ」
「逆に1番好きな食べ物ってなんすか?」
「1番か…うーん、悩むな…」
「ほら、よくあるじゃないっすか。街でたまたまケンシロウとすれ違ったときに間違って秘孔を突かれて明日死んでしまうとしたら、最期に何が食べたいですか?みたいな質問。高橋さんは何を食べますか?」
「そのシチュエーションは初めて聞いたけど…最後の晩餐ってやつか。うーん、何がいいだろ…ちなみに田中くんだったら何を食べる?」
「ぼくはお寿司一択ですね!お寿司と共に生き、お寿司と共に死にます!」
「そんなにか…」
「ええ!いつか回らない寿司に行くのが目標っす!」
「ふむ。店長の知り合いがやってる寿司屋が近くにあるけど今度行ってみるか?」
「えっ⁉︎ぼく、セレブじゃないんでそんなに大金は持ってないっすよ…?」
「かなりリーズナブルな店だぞ。ランチだったら1000円ぐらい、夜でも1人3000円くらいかな。店長曰く、『あのクオリティでどこで利益を出してるのかわからん』って店だ」
「それくらいなら手が出そうっす。でもなんか緊張しますね…」
「お店の大将はうちの常連だから田中くんも見たことあるんじゃないかな。ほら、店長のおすすめコーナーに模造刀が置かれると必ず買いに来る人だよ」
「えっ、あの剣豪にしか見えない人っすか?レジで何度か話したことがありますよ。めっちゃいい人ですよね」
「ああ。もし行くなら店長通して予約するけどどうする?」
「ぜひお願いします!」
「わかった。あとで行けそうな日にち教えてくれ」
「了解っす!超楽しみっすね!…じゃなくて高橋さんの好きな食べ物の話っすよ!」
「ああ、そうだった。うーん、しかし最後の晩餐でも記念日に依存して食べたいものが決まる気がするわ…」
「それはそれで高橋さんらしいっすけど…それじゃ高橋さんの好みがわからないじゃないっすか」
「俺の好み?知ってどうするんだ?」
「えっ⁉︎あー、えっと…ほら、何かに使えるかもしれないじゃないっすか、暗殺とか…」
「えっ、俺暗殺されんの⁉︎な、何か悪いことしたか?すぐに改善するからできたら教えて欲しいんだが…」
「い、いやものの例えっすよ!ほ、ほら、今日だったら何を食べたいんすか?冥土の土産に聞いてあげますよ!」
「やっぱり殺されるのか…えーと、今日だったら和食かな。ちょうど和食の日だし」
「和食の日っすか」
「ああ。一般社団法人和食文化国民会議が制定した日で、日本食文化について見直し、和食文化の保護・継承の大切さを考える日だそうだ。日付は『112ほん4ょく』の語呂合わせから」
「へー。ちなみに和食だと何が好きっすか?」
「うーん、肉じゃがとかかな。寿司も好きだぞ」
「なるほどなるほど…参考になりました」
「参考って…暗殺のか?」
「違いますよ!ほんの冗談だからもう忘れてください!」
「それならいいんだが…あー、でも最後の晩餐って何を食べるかより誰と食べるかが重要な気がするわ」
「たしかにそれも大きな要素っすね。ちなみに誰と食べたいっすか?」
「そうだな…田中くんかな。前も言ったけど田中くんがご飯食べてるとこ見るの好きなんだよ、幸せそうだから」
「そ、そうすか///」
「最期ならそれを見てから死にたいかな。田中くんがよければだけど」
「…まったくこの人はそういうことをいきなり言い出すんだから、ほんとにもう///」(ブツブツ)
「ん?何か言ったか?」
「何も言ってないっす!ぶち殺しますよ!」
「やべえ、やっぱ殺される」