11月20日 毛布の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。発熱素材の毛布が好き。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。電気毛布が冬のお供。
武たち 高橋の家に住み着く幽霊一家。3人+きゅうりの馬。
ここはとある郊外のコンビニ。
「この前高橋さんの家にお邪魔したじゃないっすか?」
「ああ、あの将棋のときか」
「そのときにエッチな本とか隠してないか探索してたときに気がついたんすけどね」
「待て、しれっと何やってんだ、君は」
「まあ、いいじゃないっすか。高橋さんって掛け布団の上に毛布をかけてますよね。あれって逆じゃないんすか?」
「…まあいいけどさ…掛け布団と毛布か。あれは毛布が外側の方が暖かくなるんだよ、実は」
「そうなんすか⁉︎なんとなく毛布が直の方が暖かそうっすけど」
「熱が逃げにくくなるらしい。さらに効果を追求するなら敷布団の上にも毛布を敷いた方がいいらしいな。布団メーカーのホームページとかに書いてあったぞ」
「はー、そうなんすね。でもぼく、毛布を被ったときのあの肌触りが好きなんすよねー」
「わかる。だから俺は毛布の上から掛け布団、その上にさらに毛布をかけるぞ」
「えっ、じゃあ2枚毛布を使うんすか?」
「いや、敷布団の上に1枚と掛け布団の上からは3枚かけるから計5枚だな」
「えぇ…使いすぎでしょ…どんだけ寒がりなんすか…」
「そうなんだよな。おかしいと思って1回店長に相談したんだけど、おすすめコーナーに置いてある店長特製魔法の水を買って飲め、って言われたぞ」
「なんすかそれ…?どんな水だったんすか?」
「いや、結局買ってないからわからん。3万円とかだったし」
「3万円⁉︎いや確実に詐欺でしょ、それ…」
「俺もそう思うわ。まあ毛布のおかげで寒さは防げるしな。そんなわけで今日は毛布の日だ」
「どんなわけっすか…なんで11月20日なんです?」
「11月なのは毛布の主要産地の大阪府泉大津市で昔から『泉大津毛布まつり』が行われてきたことからきてて、日本で毛布が初めて生産されたのが明治20年なのでその数字から20日になったそうだ。日本毛布工業組合が制定した記念日だ」
「泉大津毛布まつりってのはどんなまつりなんです?毛布で作ったお神輿とか担ぐんすか?」
「そういうのはやってないかな…ちょっと見てみたいけど。別名は毛布謝恩セールってものでメーカー直販で毛布とか敷パッド、ポンチョなんかが買えるんだ。1回行ったけどかなりお値打ち価格だったぞ」
「へー、ってもしかしてそのためだけに泉大津まで行ったんすか?」
「ああ。2年ぐらい前かな。あまりに寒すぎたんでいい毛布を大量に買おうと思ってな」
「寒がりすぎでしょ…昔からそうなんすか?」
「いや、大学生になってから急にな気がする。高校生の時まではそうでもなかったし」
「…思えば高橋さんの家ってなんか肌寒い気がするんすよね…ひょっとして武さんたちが関連してるんじゃ…」
「あ…ってことは店長特製魔法の水って除霊効果があったりするのかもな…買わなくてよかった」