11月17日 将棋の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。好きな将棋の駒は銀将。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。好きな将棋の駒は飛車。
ここはとある郊外のコンビニ。
「うーん…」
「どうした?何か悩み事?」
「悩み事ってほどではないんすけど。昨日兄と中将棋で勝負しまして」
「また珍しい遊びを…普通の将棋より盤面が広くて駒が多いやつだよな?」
「ざっくりいうとそうっすね。それで負けちゃって…敗着がどこだったか考えてたんすよ」
「そ、そうか…しかし田中くんの家にはいろんなテーブルゲームがあるんだな。この前は軍人将棋やってなかったっけ?」※7月30日参照
「そうっすね。父がそういうの好きで、色々買い揃えてるんすよ。高橋さんはそういうゲームはあんまりしないっすか?」
「そこまでしないかな。あ、でも、ジェンガは持っててたまに遊ぶぞ。前に店長のおすすめコーナーでジェンガフェアをしてたときに買ったんだ」
「なんすか、ジェンガフェアって…というよりジェンガは誰とやるんすか?」
「えっ、もちろん1人だけど」
「何をさも当然みたいな顔で言ってるんすか…悲しすぎるでしょ…」
「意外と楽しいけどな。そういや田中くんは普通の将棋はあんまりしないの?」
「ふふふ、愚問ですね!将棋はかなり得意っすよ!うちの町内会では羽生善治の生まれ変わりといわれてます!」
「勝手に殺すな!今も活躍中だろ」
「高橋さんは将棋は指すんすか?」
「ルールはわかるくらいだな。父親と何回かやったことしかない」
「なるほど!それなら今度勝負しましょうか!負けた方がなんでもいうことを聞くってルールにしましょう!」
「君はほんとに勝てる勝負とわかるとえげつないな…まあいいよ。今日はちょうど将棋の日だしな」
「おっ、タイムリーな記念日っすね!語呂合わせ…ってわけではなさそうっすね」
「ああ。徳川8代将軍の吉宗がこの日を『お城将棋の日』にして、年に一度の御前対局を制度化したそうだ。かなりの将棋好きだったみたいだな。そのことに由来して日本将棋連盟が制定した記念日だ」
「それはぼくたちの闘いにふさわしい日っすね!バイト終わったらすぐに勝負しましょう!」
「いや夜勤明けすぐはちょっと…せめて夕方にしてくれ…」
「もー、だらしないっすね〜 まあしかしぼくの勝利はほぼ確実っすからね!そのくらいは高橋さんの要望をのみましょう!」
「すごい自信だな。まあ羽生さんっていわれるくらいだし、そりゃ強いか」
「ふっ、なんたって町内会の大会でベスト8でしたからね!」
「…えっ、それだけの異名があってベスト8なのか…君の町内会にはどんな化物が住んでるんだよ…」
「でもさすがに少しハンデがあった方がいいっすかね?ぼくが30キロの重りを背負って勝負するとか」
「いや将棋に重りは関係ないだろ…」
「それか別の競技にします?チェスボクシングとか」
「なんで敢えてそれなんだよ…1ラウンドKOされるわ」