11月14日 アンチエイジングの日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。実年齢より上に見られることが多い。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。実年齢より下に見られることが多い。
ここはとある郊外のコンビニ。
「高橋さん、店長の年齢ってご存知っすか?」
「店長の年齢?4年くらい前に聞いた気がする。たしかその時…『来年還暦』って言ってたような…」
「ってことは今63歳くらいってことっすか?」
「いや待て…去年他のバイトの子にも同じこと言ってたな…」
「ずっと来年還暦って言ってる可能性があるってことですか…あの人ほんとに年齢不詳じゃないっすか?」
「たしかにな。かなり若々しいもんな。孫がいるとは思えん」
「えっ、店長ってお孫さんいるんすか⁉︎あれ?息子さん結婚してましたっけ?」
「いや、息子さんは独身だよ。娘さんが2人いて両方結婚してるんじゃなかったかな。1番大きな孫が今年小学生になったって聞いたぞ」
「なおのこと年齢がわからなくなりますね…」
「しかし、急にどうしたんだ?店長の年齢を気にして」
「店長のおすすめコーナーにスキンケアセットが置いてあるじゃないっすか?あれのPOPに『店長も使ってます!』って書いてあったんすよ」
「なるほどな。実際の年齢に比して店長が若く見えてるのであれば効果がありそうってことか」
「そういうことっす!目指せ、マイナス20歳肌っすよ!」
「…君からマイナス20歳って物心ついてるかどうかも怪しいだろ…まあでも今日はそういうのを目指すのにぴったりの日かもな。アンチエイジングの日だし」
「アンチエイジングの日?」
「ああ。特定非営利活動法人・アンチエイジングネットワークが制定した日だ。生活習慣病を予防する予防医学の定着と、年齢を重ねてもいきいきと活躍するための活力となる『見た目の若さ』を保ち続ける方法の認知拡大を目的にしてるそうだ。日付は11 14で『いいとし』って読む語呂合わせからきてる」
「はー、ほんとにいろんな記念日があるんすねー 予防医学ってのもアンチエイジングにはいるんすね」
「まあ不健康だとどうしても老いて見えるしな。それに食事や睡眠、運動は美容にも大事だし、繋がってるとこが多いんだろ」
「それは納得っす。店長もそのあたりに気をつけてるんですかね?」
「どうだろうな…運動はともかく、食事は商品研究のためコンビニ弁当を食べてることが多いし、睡眠時間もそんなに長くなさそうだけど…」
「それはちょっと心配になりますね…病気したりしなければいいっすけど…」
「それは大丈夫みたいだな。今まで病気したことないらしいし、人間ドックでも何も引っかかったことないらしい」
「へー。何か秘訣があるんすかね?」
「占星術と祈祷のおかげって言ってたな」
「平安時代じゃないんすから…」
「あとはこの店の…あ、これ言っちゃいけないやつだった…すまん、忘れてくれ」
「えっ?な、なんすか?この店がどうしかしたんすか?」
「大丈夫、なんでもないよ。…知らない方がいいこともあるからな」(ボソッ)
「ボソッと怖いこと言わないでくださいよ…」