11月8日 レントゲンの日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。年に5回ぐらいはレントゲン検査を受ける。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。レントゲン検査はあんまり受けたことがない。
ここはとある郊外のコンビニ。
「そういえば太郎くんはもう退院したんだっけ?」※10月13日参照
「ええ、もう退院して1週間くらいになりますよ。元気さあまって憎さ100倍っすね」
「…まあとりあえず元気そうでなによりだ。それなら裏の冷蔵庫に入れてあるプリンを渡してもらってもいいか?快気祝いってことで」
「プリン?どうしたんすか?」
「駅前に新しい期間限定ショップができただろ?スイーツの。また店長に頼まれて買いに行ったんだけど、そのついでに買ったんだよ」
「あ!あの話題になってる店っすか⁉︎…そんなのうちの兄にはもったいないっすよ!代わりにぼくがいただきましょうか?」
「快気祝いっていってんだろ…それに君の分も買ってあるから一緒に持っていってくれ」
「マジっすか⁉︎ありがとうございます!きっと兄も草葉の陰で喜ぶと思います!」
「勝手に殺すな…しかし入院か…したことないからどんなものなのかわからんな」
「ぼくもないんすよねー 兄は退屈でしょうがなかったって言ってましたけど。検査があったりすると動くこともあるみたいなんすけど、基本ベッドで寝てるだけだったみたいっす」
「そんなもんなんだな。検査っていうと血液検査とかレントゲンとか?」
「らしいっす。なんか説明受けたらしいんすけど、よく覚えてないって言ってました」
「それは大丈夫なのか…?」
「まあ良くはなってるらしいので。でもぼく検査自体もあんまり受けたことないんすよねー 肉離れしたときも気合で治しましたし」
「いや、気合で治るものじゃないだろ…俺はレントゲンは常連だな。あ、そうだ。ほら、これこの前ヒビが入った左腕のレントゲン。写メ撮らせてもらったんだ」
「へー!そんなことさせてもらえるんすね!あ、ここにたしかにヒビ入ってますね」
「そうそう。すぐわかるレベルだったから撮らせてもらったんだ。まあ撮った後に見せる人がほとんどいないことに気がついたけど…」
「ぼ、ぼくがじっくりみますよ!でも不思議っすよねー こんなふうに透けて見えるなんて。放射線の力なんでしたっけ?」
「そうだな。その中のX線ってのを使った検査だ。ものを透過する性質があって、その具合がものによって違うから、その差を利用して画像を作るってものだ」
「ん?レントゲンってのは何を指すんすか?」
「元々はX線を発見した人の名前なんだけど、それを冠してさっき見せたような画像を撮る検査をレントゲン検査って呼ぶそうだ。ちなみに1895年の今日にX線を発見したってことで、今日はレントゲンの日なんだ」
「へー。でも放射線ってなんか怖くないっすか?ガンになったりするとかいうじゃないっすか」
「病院で使ったりする分ではほとんど起こらないって話だけどな。放射線といえば店長のおすすめコーナーにガイガーカウンターが売ってたな」
「あ!聞いたことあるっす!放射線の強さがわかるやつっすよね!なんとかベクレルとか」
「ベクレルってのは放射能の単位だから、この機械ではわからないんじゃないかな」
「えっ?なんか違いがあるんすか?」
「放射能、つまりどのくらい放射線を出す能力があるかを示すのがベクレル、物がどのくらい放射線を吸収しているかがグレイ、放射線の人への影響の度合いがシーベルトってな感じで単位ごとに示してるものが違うんだよ」
「ちょっとよくわからないんすけど…ドラゴンボールで例えてもらえないっすか?」
「なんだその無茶振り…そうだな…『わたしの戦闘力は53万です』がベクレル、『や、奴の気で大気が震えている』がグレイ、『惑星は壊せても、一人のサイヤ人は壊せないようだな』がシーベルトって感じかな」
「なるほど!超わかりやすいっすね!完璧に理解しましたよ!」
「…まあそれならよかったよ」
「つまり放射線はフリーザってことっすね!」
「全然理解してねぇ!」