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今日は何の日  作者: 毎日がエブリデイ
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10月27日 読書の日

高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。読書は好き。いつも何か文庫本を持ち歩いている。

田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。読書は好き。小説も読むようになったが、漫画の方が好き。


武 高橋家に住み着く男性の幽霊。田中の漫画をこっそり読むのが最近のマイブーム。

ここはとある郊外のコンビニ。


「高橋さん、店長のおすすめコーナーに息子さんの読書感想文が置いてあるんすけど、これってもしかして…」


「ああ。新刊の発売日だな」※6月29日参照


「やっぱりそうっすか。今度はどんな話なんすかね?」


「たしかあらすじは公開されてたはず…えっと、SFに挑戦するとかじゃなかったかな?」


「おっ、たしかに今までSFはなかったっすね」


「思い出した、銀河を股にかける宇宙ゴミ屋敷清掃業者の話だって」


「えっ、宇宙ゴミ屋敷ってなんなんすか…?」


「さあ…?とりあえず俺は予約してるから、読み終わったら貸そうか?」


「ぜひお願いします!最近は活字もバリバリ読めるようになりましたからね!これも店長の息子さんの小説のおかげっすよ。そうだ!この前は結局読まなかったし、おすすめコーナーの読書感想文も読んでみようかな」


「ぜひ読んだ方がいいぞ。面白いから」


「じゃあ早速…ってこれ2つあるんすけど、どっち読んだらいいんすかね?」


「2つ⁉︎まさか、中学2年生の時の作文も置いてあるのか⁉︎」


「そ、そうみたいっすね。片方は2年1組って書いてあります」


「なるほど…これは新刊の内容も期待大だな」


「あの…全く話が見えないんすけど…」


「実は置かれる作文には法則性があって、小学5年生の時のがデフォルト、そして発売される小説に対する店長の評価によって別の作文が置かれることがあるんだ。中学2年生の時の作文が置かれるときは、店長の評価が極めて高いときなんだよ」


「へー。逆に低評価のときに置かれるものもあるんすか?」


「ああ。その時は幼稚園の卒園文集が置かれる。もちろん息子さんの書いた部分だけな」


「なるほど…でもなんでそんな回りくどいことするんすかね…?直接面白かったとか言えばいいじゃないっすか」


「照れくさいんだと。見つめ合うと素直におしゃべりできないらしいぞ」


「サザンじゃないんすから…照れくさいからって過去の作文が公開される息子さんが不憫っす…」


「これは余談なんだが、高校生の頃の作文が置かれるときは、業界を揺るがすほどの傑作のときらしいという都市伝説がある。信じるか信じないかはあなた次第だ」


「局所的すぎる都市伝説っすね…」


「でも今日発売なのはちょうどいいよな。今日から読書週間だし、読書の日でもあるし」


「あっ、そうなんすか。それは全国的にやってるやつですか?」


「そうそう。1947年に読書週間実行委員会って団体が読書を推進する目的で読書週間ってのを始めたんだ。その初日の今日が読書の日ってわけだ」


「なるほど。ってことは来週まで読書週間ってわけっすね」


「いや、再来週まで。10月27日から11月9日までだな」


「…えっ?読書『週間』なのに2週間あるんすか…?」


「第1回は11月17日から23日までの1週間だったんだけど、1週間じゃ惜しいってことで第2回からは文化の日を挟み込む形の今の日程に変わったそうだ」


「…まあ、読書は時間もかかりますし、2週間ぐらいがちょうどいいかもしれないっすね。しょうがないから認めてあげましょう。感謝してくださいよ!」


「なんで君に感謝しなきゃならんのだ…まあいいけど」


「でも読書週間だからって引きこもってたらダメっすからね!2週間もあるんすから!」


「ああ、それはもう2年前にやって懲りたから大丈夫。用事を何にもいれずに、2週間読書しようって計画したんだけど、熱中しすぎて飲まず食わずだったみたいでさ。大変だったよ」


「えっ、それどうなったんすか?」


「なんか気がついたらどこかの川を渡ろうとしてて、武さんが必死にそれを止めてくれたところで意識が戻ってさ。自分の家で倒れてたんだよ。対岸に綺麗な花畑が見えたなぁ」


「臨死体験してるじゃないっすか…」

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