10月25日 世界パスタデー
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。好きなパスタはスパゲティ。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。好きなパスタはペンネ。
ここはとある郊外のコンビニ。
「最近母に習って料理の練習をしてるんすよ」
「ほう」
「それでパスタを作るのにハマってまして」
「パスタか。たとえばどんなの?」
「いろいろっすよ。カルボナーラとかペペロンチーノとか、アラビアータとかメドローアとかっすね」
「ふーん。…ん⁉︎ひとつ消滅魔法が混じってないか⁉︎」
「おっと間違えました。そっちも練習はしてるんすけどね」
「どんな練習してるんだよ…」
「高橋さんはどんなのが好きですか?」
「うーん、どれも好きだけど…ペペロンチーノはたまに自分で作って食べたりするな」
「なるほど。美味しいっすよねー、ペペロンチーノ。作るのも簡単ではあるんすけど、奥が深いっす」
「なんかいろいろなコツとかいわれてるよな。どれが正しいのかさっぱりわからん」
「高橋さんはどんな作り方をするんすか?」
「俺は毎回店長のおすすめコーナーのペペロンチーノスターターキットに書いてある通りに作るぞ」
「えっ、なんすかそれ?」
「たまに売ってるんだよ。スパゲティとにんにく、オリーブオイル、とうがらしが小分けに入ってて、それに店長の手書きのレシピが付いてるってセットが」
「へー!それは便利っすね!ちなみにどんなレシピなんすか?」
「それが毎回内容が変わるんだよ…何度か買ったけど1回も同じレシピを見たことがない」
「へぇ。少しずつ改良されてるってことなんすかね」
「いや、迷走してるのかもな…1番酷いのは『徒然なるままに…』とだけ書かれたメモが入ってたよ…」
「それは酷い…いろいろ工夫しすぎて訳わかんなくなったんすかね…」
「まあ俺が適当に作ってもそれなりには美味しいのがペペロンチーノのいいとこだよな。…そんな話してたらパスタ食べたくなってきたな…今日はちょうど世界パスタデーだし」
「おっ、世界規模の記念日なんすね!なんで今日なんすか?」
「1995年のこの日にイタリアで世界パスタ会議が開かれたことに由来してるそうだ。パスタ販売促進キャンペーンが行われたりするらしいぞ」
「へー。それならパスタ食べるにはぴったりの日っすね!どこに食べに行きます?大学近くの店はどうっすか?奢られてあげてもいいっすよ?」
「しれっと奢られようとしてんじゃねぇ。まぁ別にいいけどさ…」
「それか…ぼく作りましょうか?もしよかったらですけど…」
「マジで⁉︎いいのか⁉︎それはめっちゃ嬉しいな!ぜひお願いします!」
「そ、そうすか。…ふふん!しょうがないっすね!作ってあげましょう!ぼくにかかればメドローアでもベタンでもドルオーラでもなんでもござれっす!」
「いや、呪文じゃなくてパスタをお願いしたいんだが…でも楽しみにしてるわ!これも田中くんがパスタ作りにハマってくれたおかげだな!ちなみにハマったきっかけって何かあったのか?」
「実はとある筋からおいしいパスタを作れるとモテるという情報をゲットしまして」
「なんだそれ…どこからの情報だよ…」
「なんでも家庭的な女がタイプの俺から一目惚れされるらしいっすよ」
「湘南乃風じゃねーか!」