10月24日 マーガリンの日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。つぶあん&マーガリンが至高。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。ジャム&マーガリンが究極。
ここはとある郊外のコンビニ。
「高橋さん、店長のおすすめコーナーに置いてあるあの黒いのって何かわかります?」
「黒いの?ああ、あれはマーマイトだよ」
「マーマイト?」
「イギリスでよく食べられてるもので、ビール作りの過程で沈澱堆積した酵母を加工した食品だよ。トーストに塗って食べるのが一般的かな」
「へー、ジャムみたいなもんっすかね。美味しいんすか?」
「前に売ってあったときに買って食べたけど…うーん…」
「高橋さんがそんなふうに言うのは珍しいっすね…『俺に食えぬものなどない…この世は全て俺のエサにすぎん』とか言ってたじゃないっすか」
「そんなこと言ったっけ…?多分人違いだろ…マーマイトはしょっぱくて独特の風味があって好き嫌い分かれそうな気がする。俺は嫌いではないけど、日本ではまずいって評価されることが多いみたいだな」
「そう聞くと1回食べてみたくなりますね…でもあれを一個まるごと買うのは…もし食べられなかったときに悲惨っすよね…」
「それはそうだな…たしかうちに少し残りがあった気がするぞ」
「マジっすか⁉︎それなら今度食パン持って遊びに行ってもいいっすか?うちの近くのパン屋さんの食パンがとっても美味しいんすよ!」
「へぇ。うん、もちろんいいぞ」
「決まりっすね!じゃあ…今日のバイト終わったらでいいっすかね!今日ぼく4時半あがりでいいっすか?食パン買って7時にここに来ますんで!」
「トントン拍子で話が決まるな…まあいいけどさ。それならマーガリンも買って帰らなきゃな」
「マーガリン?何かに使うんすか?」
「マーマイトだけトーストに塗ると、塩辛いし塗り広げにくいんだよ。本場のイギリスでもバターかマーガリンを塗ってから、マーマイトを塗るそうだ」
「へー。…マーガリンっすか…」
「あれ?マーガリンは嫌いか?ならバターにするけど」
「あっ、いえ、むしろ好きなんすけど…マーガリンってなんか体に悪いとか噂されることが多いじゃないっすか…?全部鵜呑みにするつもりはないんすけど…実際どうなのかなって…」
「あー、製造の仕方からプラスチックって言われたり、トランス脂肪酸のことで槍玉にあげられたりするよな。うーん、どうなんだろうな…」
「高橋さんはそういうのあんまり気にならないっすか?」
「そうだなぁ。どんなものにも体にいい面と悪い面があるだろうし、なんでも食べすぎなければいいんじゃないかと思ってるかな。何よりバランスが大事だろ」
「なるほど…」
「まあ正解なんて人それぞれだろ。いろんなことを見聞きして、田中くんが正しいと思うものを選べばいいんじゃない?つーか、俺がバターじゃなくてマーガリン買おうとしたのは今日がマーガリンの日だからだし」
「あっ、そうなんすか。…高橋さんはブレないっすね」
「まあな。ちなみに日付はマーガリンの生みの親であるメージュ・ムーリエ・イポリットさんの誕生日からきてるぞ」
「へぇ。…うん、マーガリンについてはもう少し調べてみようと思います。自分が納得できるように」
「それがいい。とりあえず今日はバター買うようにするわ」
「えっ、でもせっかくの記念日なのに…」
「バカ、田中くんの悩みより重要なわけないだろ」
「う…///」
「それに俺はなんでも食べられるからな。なんだっけ?『俺に食えぬものなどない…』だっけ?」
「ふふふ、そうっすね!…あっ⁉︎それ言ってたの高橋さんじゃなくて、昔男塾筆頭だったって言ってた人でした」
「あっ!あのスイーツの話したときの!ちなみに何者なんだよ、その人?」※9月9日参照
「たしか…同じ町内会の人だと思うんすけど…詳しくは思い出せないっす…すみません…」
「君の町内会はすごいメンバーが揃ってるな…」