10月22日 パラシュートの日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。パラシュートは長方形より丸形が好き。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。「らっかさん」ってなんかお菓子っぽくないっすか?
ここはとある郊外のコンビニ。
「スカイダイビングってしたことあります?」
「スカイダイビング?いや、ないなぁ…どうして?」
「実は同じゼミのメンバーの中で、みんなでスカイダイビングをしに行こうって話が出ててですね…」
「へー、アクティブだね。海外にでも行くの?」
「いえ、国内でもできるとこがいくつかあるらしいっすよ。近いとこだと埼玉とかに」
「えっ、そんな身近でできるんだ。それは知らなかった。いつ頃行くの?」
「なんか近々らしいんすけど…」
「あんまり乗り気じゃなさそうだな。…そういやジェットコースターとか苦手って言ってなかったっけ?」※7月9日参照
「そうなんすよ…スカイダイビングとか考えただけで吐きそうっす…」
「そんなにか…でもパラグライダーはやってみたいって言ってたような」※7月31日参照
「ああいう滑空する感じのは大丈夫なんすよ。急に落ちたりするのが苦手で…」
「なるほどな。じゃあゼミの人たちにも苦手だから無理って伝えたら?」
「それがですね…スカイダイビング怖くないかって話になったときに、思わず強がっちゃったんすよね…『この世でぼくが怖いものは自分の才能だけっす!』って…」
「どんな強がり方だよ…」
「若気の至りっす…高橋さん、実は怖いってカミングアウトする以外になんとかスカイダイビングを回避する方法はないっすかね…?」
「正直にいうのが1番だと思うけどな…うーん…店長のおすすめコーナーに店長お手製のコピーロボットの人形が売ってるけど…」
「パーマンのやつっすね。なるほど、これを身代わりに…ってほんとに変身機能がついてるわけないっすよね…」(ポチッ)
「まあさすがにな…鼻のボタンを押した人の情報を人形に記録する機能はつけたって言ってたけど」
「えっ、これ木彫りの人形なんすけどどうやって記録するんすか?というより、記録してなんに使うんすかね…?」
「さあ…?ちなみにみんな得体が知れないって言って鼻のボタン押す人いなかったから、今のところ押したの君だけだぞ」
「そ、そういうことは先に言って下さいよ!ぼく、なんだか怖くなってきたんすけど…」
「おっ、スカイダイビングの恐怖が薄れたんじゃないか?」
「いえ、そっちはそっちであるんで、ただ吐き気が増しただけっすね…」
「そうか…でもスカイダイビングか…個人的にはやってみたいけどな。今日はちょうどパラシュートの日だし」
「そりゃ記念日ジャンキーの高橋さんはそれでいいでしょうけど…」
「どんどん俺の異名が酷いことになっていくな…」
「それで…パラシュートの日っすか?」
「ああ。1797年のこの日、フランスのアンドレ=ジャック・ガルヌランって人が、高度約8000フィートの気球から直径7mぐらいの布製の傘みたいなのを持って飛び降りたそうだ。これが世界初のパラシュートによる人間の降下っていわれてる」
「へー。8000フィートってどのくらいっすかね?」
「約2400mくらいだな」
「…想像しただけで死にそうっす…」
「やっぱり正直に無理だって言った方がいいと思うぞ」
「ぐぬぬ…」
「それか…どうしても外せない予定をねじ込んで断るとか」
「はっ!その手がありましたか!よし、それじゃバイト先のぼっちでぼくしか友達がいない先輩から、どうしても旅行について来てほしいと泣いて頼まれたってことにして断ります!」
「おい、それ誰のことだ」
「お願いします、助けて下さい、埋め合わせになんでもしますから」(土下座)
「土下座はやめてくれ…わかったよ。もうなんとでも言ってくれ。今後田中くんのゼミの人たちに会うことなんてないだろうし」
「ありがとうございます!じゃああっちの日程が確定したら伝えますんで、その日にどこか行きましょうね!」
「あっ、ほんとに旅行行くの?」
「もちろんっすよ!アリバイを作っておかないと!あっ、もちろん日程があえばですけど。無理にとは言いませんので…」
「急にしおらしくなられると罪悪感があるな…ああ、わかった。できるだけ調整するよ。楽しみにしてる」
「ふっ、ちょろいな」
「おい、聞こえてんぞ…」
「まあまあ、高橋さんもぼくと旅行行けて嬉しいでしょ!ウィンウィンっすよ、ウィンウィン!」
「…なんでもするって言ったよな?バンジージャンプの名所巡りに付き合ってもらうからな」
「すみませんでした、マジで調子乗りました、本当に勘弁してください」
投稿が遅れて申し訳ありません。