10月18日 フラフープ記念日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。フラフープを回すと腸捻転になるというガセを最近まで信じていた。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。同時に10本のフラフープを回せる。
ここはとある郊外のコンビニ。
「田中くん、ちょっと痩せた?」
「ふふふ、気がついてしまいましたか、高橋さん。この世界の真実に!」
「いや、そんなに大層なことではないと思うが…なんかシュッとしたなぁと思って」
「そうでしょう、そうでしょう!ここ最近の節制と運動の甲斐あって、先日目標体重をクリアしたんすよ!これからはまた暴食ターンっすね!」
「いや、ほどほどにしとけよ…しかし…見た目でわかるくらい急に体重を落として、体調悪くしたりしてないか?」
「むしろ絶好調っすね。昔から体絞ってるときの方が調子いいんすよねー」
「ストイックな体だな…」
「まあ節制といってもバランス考えて、人並みには食べてますし。運動もほどほどっすからね。調子も良くなりますよ」
「君の『ほどほど』はちょっと信用ならないんだが…」
「まあいろんなダイエット法がありますけど、基本は食事と運動っすよ。それプラスαなら効果あると思いますけど、プラスαだけで痩せようってのはただの甘えっすね。うちの兄みたいに」
「運動とかに関してはアスリート的な考え方だよな、田中くんは。店長のおすすめコーナーに置いてある簡単ダイエットグッズとかはあんまり好きじゃなさそうだな」
「あー、嫌いっすね。巻くだけで運動効果とか乗るだけでOKってやつとかでしたよね。許せないっす。鏖殺するしかないっすね」
「殺意高いワードチョイスだな…実際に言ってる人、初めて見たわ」
「高橋さんは最近ちゃんと運動してるんすか?」
「まあ軽い散歩くらいはするようにしてるぞ。前に君に怒られたからな」
「えらいっすね!頭なでなでしてあげましょうか?」
「いらん」
「ちぇー。軽い散歩っていうと…20kmくらいですかね?」
「何時間歩くんだよ…その10分の1ぐらいだよ」
「えっ…それは短くないっすか?大丈夫っすか?うちにある20kgのアンクルウェイト貸しましょうか?」
「サイヤ人の修行かよ…一般人には十分な運動量だから大丈夫だ。それに今日フラフープを買ったから、それも追加でやるようにするよ」
「フラフープ?たしかに体幹のトレーニングにはいいっすけど、なんでまた急に…はっ!これは記念日の予感がします!」
「なんだ、記念日の予感って…でもその通りだ。今日はフラフープ記念日。1958年のこの日に日本で初めてフラフープが販売されたことに由来してる」
「なるほどー それでフラフープを買ったんすね」
「うん」
「…やっぱり高橋さんの行動は記念日に依存しすぎっすよ…」
「諦めろ。そういうもんだ」
「いやいや…あなたの行動次第でしょ…」
「まあまあ。フラフープは健康にもつながるし、いいじゃない」
「…まあそうっすね。でもフラフープはいいっすね!意外と運動になりますよね。高校生のときに2時間ぐらい連続で回したら汗だくになりました」
「それ日本記録じゃないか…?そんなにはできないが、毎日回すようにするよ」
「頑張ってください!…高橋さんは別にダイエットしてるわけではないんすよね?」
「ああ。幸い体重はあんまり変動しないんだよな。高校の頃から変わってない」
「羨ましいっすね…ぼくはすぐに体重が変わるんで…今の体重がベストなのは高校生の時から変わらないんすけど」
「ベストってのは体調的な話?」
「いえ、総合的にですね。なぜかこの体重の時はなんでもうまくいくんすよ。テストもいい点取れるし、部活ではレギュラーになれるし、恋人もできるし」
「進研ゼミかよ」