10月16日 世界食糧デー
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。不必要な食材は買わないようにしている。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。食材の買い溜めをするが、きっちり使い切るのがうまい。
ここはとある郊外のマンションの一室。
「こっちは盛り付けて出しとくぞ」
「ありがとうございます!こっちももうすぐ出来上がりますんで」
「コップと箸と…取り皿もいるか」
「お待たせしました!これで全部完成っす!」
「壮観だな…かいわれサラダにかいわれ大根の肉巻き、味噌汁、焼うどんに松茸ご飯、土瓶蒸しと松茸のホイル焼きか…」
「あっ、あと豚バラと豚ロースのミルフィーユもありますよ」
「ほんとに作ったのかよ…白菜にしてくれって言ったのに…」
「安心してください!豚バラと白菜のミルフィーユ鍋もありますよ!」
「いや、たしかに全部作ってくれって言ったやつだけどさ…いっぺんに作らなくてもいいだろ…」※9月18日 10月14日 10月15日参照
「買い物の段階でなんか楽しくなっちゃって。行けるとこまでいっちゃいました。でもなんだかんだ高橋さんも楽しそうに手伝ってくれたじゃないっすか」
「まあ否定はしないけど。次々に料理ができていくのはエンターテイメント感あったな」
「でしょ!さあさあ、あったかいうちに食べましょ!」
「うん、ありがとう。飲み物はなんにする?」
「ぼくはお茶で!」
「わかった。…そういやホッピーとかもあるけど、お茶でいい?」
「この前やらかしてるんでさすがにアルコールはいいっす…」
「ああ…俺もお茶にしとくか。武さんたちの飲み物を準備して、っと。よし、じゃあいただきます」
「めしあがれっす!」
1時間後
「さすがに腹いっぱいになってきた…でもやっぱり田中くんは料理上手いね」
「ふふふ、褒めたってデザートしか出てこないっすよ!」
「デザートがあんのか…ちなみに何?」
「バケツプリンっす。店長のおすすめコーナーで買いました」
「またフードファイト御用達みたいなメニューが…」
「でもお腹いっぱいなら残していいっすよ。ぼくが責任持って食べ切りますので」
「いや、今日は腹がはち切れようと食べるぞ。もぐもぐ、うん、うまい」
「強情っすねー…あっ、もしかして今日何かの記念日だったりします?」
「今日?今日は…世界食糧デーだな」
「世界食糧デー?」
「国連食糧農業機関、略してFAOが1981年に制定した記念日だ。開発途上国などでの栄養失調や飢餓について考える日らしい。日付は1945年のこの日にFAOが設立されたことに由来してる」
「栄養失調や飢餓っすか…日本にいるとあんまり感じないことっすね」
「日本はむしろ飽食だからな。2014年の統計だけど、世界で7億9500万人が栄養失調の状態らしい。その人数聞くと俺たち一人一人が何か取り組まなきゃって気持ちになるな」
「それはすごい人数っすね…でも、合点がいきました。高橋さんが意地でも残さず食べようとするのは世界食糧デーだから、ロスを減らそうって魂胆っすね!」
「あー、いや、それは考えてなかった」
「へっ?そうなんすか?それならどうして?」
「えっ、だって…その…田中くんの手料理だから…出来るだけいっぱい食べたいし…残したくないというか…」
「えっ、あっ、そ、そうっすか///…ふふふ、嬉しいっす///」
「お、おう…///」
「でもほんとに無理しなくていいっすよ!料理ならまた作りますし。このくらいの量ならぼくは余裕で食べられますよ!死線を2回ぐらいくぐるぐらいで済みます」
「君の余裕の定義がよくわからないんだが…」
投稿が遅れてすみません。