10月15日 きのこの日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。きのこといえば椎茸。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。きのこといえばエリンギ。
ここはとある郊外のコンビニ。
「高橋さんは松茸って食べたことあります?」
「あるといえばあるかな。国産の高い奴じゃなくて外国産だけど」
「なるほど…国産のお高いのってそんなに美味しいんすかね?」
「どうなんだろう…?あれか?店長のおすすめコーナーに売ってるやつか?」
「そうっす。ひとつひとつが桐の箱に入っててカッコいいっすよね!お値段も桁違いっすけど…」
「あれでも相場よりだいぶ安いらしいぞ。店長の知り合いの山で取れたのを仕入れてるそうだ。店の利益はほとんどない、サービス品だって」
「たしかにデパートで見たりするのよりはだいぶ安いっすね。というより店長の人脈広すぎでしょ…今にFBI捜査官とか出てきそうっす」
「さすがにFBIの知り合いがいるってのは聞いたことないな。元CIAはひとりいるらしいけど」
「えっ」
「でもこれ、多分明日には売り切れてるんだよなぁ…毎年の恒例行事だし…よし、今年はひとつ買ってみよう」
「マジっすか⁉︎えっ、ぼくも食べていいですって⁉︎高橋さん、マジで神っすね!夜神月っすよ!」
「新世界の神じゃねーか。そしてしれっと食べることにしてんじゃねぇ」
「くっ…お見通しですか…さすがですね、高橋さん。ぼくの負けです。ぼくの分は半分でいいっすよ」
「半分以上食べるつもりだったのかよ!しかも譲歩したようにみせて、要求は変わってないし」
「これにも気がつくとはなかなかやりますね…冗談っすよ、冗談。どんな味だったか今度教えてくださいね」
「つーか普通に一緒に食べないか誘うつもりだったんだが…まあ無理にとは言わないけど」
「えっ⁉︎ほ、ほんとにいいんすか⁉︎ぜひお願いします!あっ、じゃあ代金少し出しますよ」
「いや、いいよ別に。それより調理法を知ってたら教えてくれ。どうせなら美味しく食べたいし」
「任せてくださいよ!母にも聞いておきます!でもどうしたんすか?いきなり奮発しちゃって」
「たまたま今日がきのこの日だからな。思い切るにはちょうどいいと思って」
「きのこの日っすか?」
「ああ。日本特用林産振興会が1995年に制定した記念日だ。10月はきのこの需要が高まる月で、その真ん中の日である15日からPRをしていこうって目的で作られたそうだ」
「たしかにきのこといえば秋って感じですもんね。そのおかげで松茸が食べられるし、きのこの日さまさまっすよ!」
「現金だなぁ。まあいいけど」
「ちなみになんすけど、きのこの日があるってことはたけのこの日もあるんすよね?ねっ⁉︎」
「おお…圧がすごいな…そんなに気になるところか…?」
「当然っす!我々たけのこ里人としては、キノコには負けられんのですよ!」
「そういやたけのこの里派だったな…一応あるぞ。7月7日は竹・たけのこの日だ。かぐや姫が生まれたのが7月7日だと言われてることに由来して作られた記念日だな」※6月20日参照
「竹・たけのこの日…たけのこ単体の記念日はないんすか⁉︎」
「それはなかったと思う。でもたけのこが育って竹になるんだから、一緒でよくないか?」
「全然良くないっすよ!アナキン・スカイウォーカーとダース・ベイダーみたいなもんっすよ⁉︎」
「…そう聞くとたしかに印象変わるな…」
「ぼくは『たけのこの日』ができるまで戦い続けますからね!」
「何と戦ってるんだよ…」