10月10日 ちくわぶの日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。ちくわぶはそこそこ好き。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。ちくわぶ…?
ここはとある郊外のコンビニ。
「…」(ゴシゴシ)
「やぁーケイティ。何をしてるんだい?」
「ん⁉︎ああ、前にもあった深夜のテレビショッピング風のやつか…」
「おでんコーナーの掃除だね。しきりも多いし、大変だろう?」
「ええ、そうね。もううんざり」
「ぷっ…ふふふ、ちょ、ちょっと待って下さい…高橋さんがそんな喋り方してるのが…ツボに入って…あははは!」
「ノッてやったらこれかい…もう二度とやらんからな。んで、何を持ってきたんだ?」
「えー、そう言わずにまたやりましょうよー えっと…これっす!店長のおすすめコーナーにあったお手製アクリルたわし!洗剤なしで汚れを落とせる優れものっすよ!」
「あー、これも販売するようになったんだな。というかそれ、ここのシンクにも置いてあるし。なにより今使ってるぞ」※7月2日参照
「あっ、そうでしたね。これすっごい使いやすいっすよね!買って帰ろうかな」
「いいと思うぞ。よし、これでおしまいっと」
「お疲れ様です!でも今って年中おでん売ってますよねー 前は冬場だけのイメージだったんすけど」
「なんだかんだ年中売れるしな。それにコンビニのおでんって地味に美味しいし」
「そうなんすか。実は食べたことないんすよね、コンビニのおでんって。どれを食べたほうがいいとかありますか?」
「そうだな…ここのおでんなら大根とかたまごとかの定番はもちろんうまいし、個人的にはロールキャベツがおすすめかな」
「ロールキャベツっすか?」
「ああ。おでんのつゆもよく染みてるんだけど、噛んだ瞬間中の具からもまた別の旨味が溢れて、そのハーモニーが抜群なんだよな。ここでおでん買うときは必ず一個は買って帰るわ」
「それは美味しそうっすね…というかそれ、おでんを引き上げる前に教えて下さいよ!今すぐ食べたくなったじゃないっすか!」
「そんなこと言われても…しかも今日はロールキャベツ売り切れてたぞ」
「ちぇー…」
「あとは…個人的にはちくわぶとかも好きなんだけどな。若干好みが分かれるかも」
「ちくわぶ?なんすかそれ?」
「えっ?あ、ご両親は愛知出身だったっけ。じゃあ家では食べることないかもな。関東では割と定番の具材なんだよ、ちくわぶってのが」
「へー。ちくわの仲間なんすか?」
「いや、ちくわの形をしてるってだけ。中身は小麦粉を水で練って焼いたものだ。漢字で書くと『竹輪麩』」
「なるほど、ちくわの形をしたお麩なんすね。合点がいきました」
「厳密にいうと麩じゃないんだがな。麩は小麦粉に水を混ぜてできるグルテンだけを固めてるけど、ちくわぶは小麦粉全部使うからな。うどんに近いかも。ちなみに今日はちくわぶの日って記念日だ」
「えっ⁉︎記念日まであるんすか⁉︎」
「ああ。ちくわぶ料理研究家の丸山晶代さんと宮城県塩釜市で『東京ちくわぶ』って商品を作ってる株式会社阿部善商店が共同で制定した記念日だ。日付は『10』をちくわぶの棒状の形と穴があいていることに見立てて10月10日としたそうだ」
「へー…ってちくわぶ料理研究家なんて人までいるんすか⁉︎記念日もあって、専門の研究家もいて、それでいて関東ローカルって…聞けば聞くほど謎の食べ物っすね…」
「言われてみればそうだな…」
「すごい気になってきました…では早速実食してみましょう!」
「だからおでん引き上げたから今はないって」
「そうでした…じゃあ次回に続くってことで!」
「いや、そんなに引っ張るようなものじゃないぞ、正直…」
「次回予告!ついに姿を現した伝説のちくわぶ!」
「なんか始まったぞ…」
「迎え撃つは前日から飲まず食わずの田中!死闘の火蓋が切って落とされた!」
「ちゃんと飯食えよ…」
「次回『田中、ロールキャベツの美味しさに目覚める』 お楽しみに!」
「ちくわぶ関係なくなってる⁉︎」