10月5日 レジ袋ゼロデー
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。マイバックは無地。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。マイバックはキン肉マン柄。
田所 バイト仲間。親戚が亡くなったことにしてバイトをサボる常習犯。頑としてマイバックは持たない。
ここはとある郊外のコンビニ。
「地球環境を守りたいんすよ」
「…いきなりどうした?」
「人間による環境破壊が目に余ると思うんすよね。ここ最近の異常気象もその影響なんじゃないかと思ってます」
「いつになく真面目な話だな」
「大真面目っすよ!聞こえませんか?ガイアの叫び声が!環境利用闘法とか言ってる場合じゃないっすよ⁉︎」
「それ軍人の方のガイアだろ」
「というわけでぼくはぼくのできる環境保全活動をしていきます。そこにガイアの夜明けがあるはずっすから」
「テレビ番組になってんじゃねーか。それで具体的に何をするんだ?」
「まずは廃棄物の量を減らすとこからっすね。というわけでこの廃棄のお弁当を食べるのはしょうがないことなんすよ。節制中でもしょうがない。地球のためっすから」
「どこに話を持っていくのかと思ったら…君、なんか定期的に節制してないか?」
「ちょっとまた暴食の限りを尽くしすぎまして…」
「うーん、前も言ったけどそんなに変わってないと思うんだけどな」
「そんなことないんすよ…脱いだらすごいっすよ。高橋さんは多分二子山部屋に来たかと錯覚すると思います」
「そんなわけないだろ…しかし、節制か…店長のおすすめコーナーにある防風通聖散飲んでみるとか」
「な、なんすかその覇王翔吼拳みたいな奴は?」
「別に必殺技の類じゃないぞ。肥満に効くっていう漢方薬だよ。田所さんは毎日飲んでるって言ってたな」
「えっ、あの人…言っちゃ悪いっすけど太ってるじゃないっすか。ほんとに効き目あるんすかね…」
「逆に飲んでるからあれで済んでるのかもしれんぞ」
「なるほど、そういう考え方もありますか…いや、でもぼくはいいっす。そういう飲んだら痩せるとかいうのは好きじゃないんで。ダイエットは極限まで体を追い込んでなんぼっす!」
「俺の知ってるダイエットと違うな…まあ体壊さない程度にな。でも理由はどうあれ、ゴミを減らしていくってのはいいことだな」
「でしょ!高橋さんは何か地球を救うためにやってることあります?」
「地球を救うっていうと大袈裟だが…マイバックは持つようにしてるぞ。レジ袋を断るために」
「あー、最近よく見るようになりましたね。レジ袋が有料になったってのも大きいっすよね。ちなみにいつ頃から持ち始めたんすか?」
「えーっと…5年くらい前の今日からかな」
「そんな前からなんすか⁉︎…ん?今日ってのは?」
「今日はレジ袋ゼロデーっていう記念日なんだ。日本チェーンストア協会ってとこがマイバックの推奨のために2002年に制定した日だ」
「へー。その記念日だからマイバックを買ったってわけっすか」
「ああ」
「…高橋さんの行動って記念日に依存しすぎじゃないっすか?」
「たしかにそうかも…まあ記念日のことを調べ出す前はそれこそ毎日無為に過ごしてたから、それよりはいいだろ。さて、そろそろ休憩時間だな」
「あっ、今日先に入ってもいいっすか?ちょっとお腹すいちゃって」
「ああ、もちろん」
「ダイエット中っすけど、これは地球のためっすからね!しょうがないっす!」(ヒョイ ヒョイ ヒョイ)
「何個食べるつもりだよ…」