10月1日 メガネの日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。中学まではメガネ。以降はずっとコンタクト。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。実は伊達メガネを持ってる。インテリぶりたいときに使う。
前回の話のピザパーティー後です。
ここはとある郊外のマンションの一室のトイレ。
「う、うう…おえぇ…きもちわるい…」
「大丈夫か?ほら、水。口ゆすいだら?」
「すびません…」
「なんでこんなになるまで飲んだんだよ?俺が来たときにはすでにかなりできあがってたし」
「いろいろあったんすよ…いろいろ…というか自分の家でパーティーやるのに高橋さんが遅れてくるのが悪いんすよ!こんな日ぐらい早く帰れるように調整するもんでしょ!」
「いや、それは悪かったけどさ…でもなんで君が酒を飲むことにつながるんだよ?」
「そ、それは…うっ、おえぇ…」
「あー、あー…水、新しいの持ってくるぞ」(さすさす)
「うぅ…ありがとうございます…あれ?みんなは…?」
「とっくの昔に帰ったよ。みんな心配してたぞ。でも、俺が看病しとくって言ったら、なんかニヤニヤしてたな…なんだったんだろ?」
「うぅ///そ、そんなことより今何時なんすか?」
「もう日付変わってるぞ。1時くらいかな」
「マジっすか…すみません、こんな遅くまで。もう帰りますので…」
「バカ、こんな状態で帰れないだろ。泊まってっていいぞ。ベッド貸すから」
「い、いえ、そういうわけには!ほら、もう大丈夫ですので!」(フラフラ)
「フラフラじゃねーか。無理するなって」(ガシッ)
「あ///だ、大丈夫ですから!うっ…おえぇ…」(オロロロ)
「…」(びちゃびちゃ)
「…す、すみません…」
「…大人しくベッドで寝とけ。な。ちょっとシャワー浴びて着替えてくる」
「…はい」
「ふぅ…」
「あの…本当にすみませんでした…」
「うおっ、まだ起きてたのか。寝ててよかったのに」
「さすがに人に吐物をかけておいて寝ていられるほど図太くないっす…」
「気にしなくていいって。早く寝なさい」
「すみません…申し訳なさと恥ずかしさと情けなさと恋しさとせつなさと心強さでいっぱいっす…」
「途中から篠原涼子になってんじゃねーか」
「あと1/3の純情な感情…うっ、おえぇ…」
「冗談言ってないではよ寝ろ。ほら、新しいビニール袋とティッシュ」
「すんません…あれ…?メガネ…?今日メガネの日でしたっけ…?」
「ん?ああ、そりゃ寝る前はコンタクト外すからメガネかけてるんだよ。たしかに今日はメガネの日でもあるけど」
「どういうことっすか…?」
「メガネの日っていう記念日なんだよ、日本眼鏡関連団体協議会ってとこが制定した。10月1日を『1001』と書くとメガネの形に見えるから」
「オロロロ…」
「っと、無駄話してる場合じゃなかったな。大丈夫か?」(サスサス)
「うぅ…高橋さんって…」
「ん?」
「メガネ似合わないっすよね…」
「なんでいきなりディスってくるんだよ…」
「いつもの方がカッコいいっす…おえ…」
「お、おう、ありがとう。吐きながら言われるのは微妙な気持ちだけどな…」
「はぁ…少し楽になったっす…あれ…?ぼくがベッド使ったら…高橋さんはどこで寝るんすか?」
「リビングで寝るよ。店長のおすすめコーナーで買った店長お手製のタオルケットもあるし」
「タオルケットって自分で作れるんすか…?…いや、それは…それはダメっす…ぼくが…ぼくが床で…」
「そんなフラフラで何言ってんだ。はいはい、おやすみおやすみ」
「それならせめて…一緒に寝ましょう…ほら…」
「…は?い、いやそれは…」
「どうしたんすか…?ほら…シャ乱Qみたいに…」
「たしかにシングルベッドではあるが…ん?」
「zzz…」
「寝たか…びっくりした…変な汗かいたわ…しかし、一緒に寝る、ねぇ…」
「ゴボッ」(びちゃびちゃ)
「…寝てなくてよかったな…」
(追記)
前日譚を番外編に投稿しました。