9月30日 宅配ピザの日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。宅配ピザはドミノピザ派。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。宅配ピザはピザーラ派。
田所 バイト仲間。親戚が亡くなったことにしてバイトをサボる常習犯。
店長の息子 小説家。突飛な内容の作品が多い。
チョコ コンビニの常連の黒猫。とても賢い。
ここはとある郊外のコンビニ。
「…」
「どうしたんすか?店長のおすすめコーナーを見つめて?」
「いや…今日は包丁が売ってあるんだが…」
「包丁?もしかして店長の手作りとか…?」
「ああ、そうらしい」
「へー…」
「…」
「…はっ。なんすか、この包丁⁉︎なんか…じっと見ちゃうんすけど…」
「田中くんもそうか…なんかすごい惹きつけられるんだよな…刃が綺麗だからかな…?」
「かなり欲しくなってきたっす…そこそこ値が張りますけど、むしろ安く感じるくらいっすね」
「そういや最近金物も作るようになったって言ってたんだっけ?これはもう刀鍛冶の領域だろ…」
「違いないっす…あっ、金物で思い出したんすけど、もしかしてぼく、ピザ切丸を高橋さんの家に置き忘れてます?」
「ピザ切丸?…ああ、あのピザカッターか。そういやうちにあるな」※9月14日参照
「やっぱりそうっすか。なんか見当たらないなーって思ってたんすよね」
「今度持ってこようか?」
「いえいえ、取りに行きますので。そしてあわよくばそれを言い訳にして、またピザを食べるのを狙ってますので!」
「それバラしちゃダメなやつだろ…でもピザか…今日の夜宅配ピザ取ろうかと思うんだけど、もし暇だったら一緒にどうだ?」
「マジっすか⁉︎超ヒマっすよ!ぜひ行きます!でも高橋さんの方からそういうお誘いがあるのは珍しいっすね!…もしかして何かの記念日だったりとか?」
「実はそうなんだ。日付変わって今日は宅配ピザの日なんだよ」
「なーんだ…でも、ピザの日とはタイムリーっすね!」
「宅配ピザの日な。ピザの日は11月20日だ」
「しまった…油断したっす…ぐぅ…そんなブービートラップに引っかかるとは…」
「そんなに悔しがらなくても…宅配ピザの日は株式会社ドミノ・ピザ・ジャパンが制定した記念日だ。日付は1985年のこの日にドミノピザの一号店である恵比寿店が開店したことに由来してる」
「へー。でもドミノピザの日じゃなくて宅配ピザの日なんすね。他のピザ屋さんから怒られないんすかね?」
「ドミノピザの一号店が日本初の宅配ピザらしい。それもあって認定されてるんだろ」
「なるほど、それは納得っす。じゃあ今日はドミノピザで頼みましょう!あっ、でも、カットされてたらピザ切丸使えないっすね…」
「たしか注文の時にお願いしたら、カットせずに持ってきてもらえるはずだぞ」
「そうなんすか!それなら大丈夫っすね!じゃあLサイズ4枚くらいでいいっすか?」
「頼み過ぎだろ…そんなに食えんぞ」
「えー、でもいろんな種類食べたいですし」
「せめてサイズを小さくしろ。SとかMとか」
「うわ、いきなりS,Mの話するとかセクハラっすよ」
「そっちの話じゃねーよ!まったく…なら他にも人を呼んでパーティーみたいにするか?」
「えっ…ま、まさか『陰キャが人の形を成したもの』として有名な高橋さんからそんな提案が出るなんて…高橋さん…成長しましたね…ぼくは嬉しいっす!」
「君は俺の親か何かか?」
「朝になったらバイトの他のメンバーに声かけてみます!高橋さんは誰に連絡します?」
「といっても俺が連絡先知ってるの限られてるからな…田所さんと店長、店長の息子さんとチョコさんぐらいだな」
「…今おかしな名前が挙がりませんでした?」
「店長の息子さんか?実は何回かバイトの飲み会に参加したことがあるんだよ」
「いえ、その人ではなくて…」