6月20日 ペパーミントの日
ここはとある郊外のコンビニ。
「今日の店長のおすすめコーナー、気合入ってんな」
「このPOP全部店長が作ったんすかね?」
「ああ、あの人こういう作業得意だしきっとそうだろ。『どっちの商品SHOW あなたの選択はどっち?』か…負けた方が撤収させられる料理番組を思い出すな」
「購入者を派閥に分け争わせることで購買意欲を高めるわけっすね。理にかなってるっす」
「どこの立場からの発言なんだ…期間中の購入個数がそのまま票数になって勝ち負けを決めるのか。きのこの山とたけのこの里は定番だな」
「ぼくはたけのこ派っすねー」
「そうか。俺はきのこ派だな」
「そうなんすか。きのこの山もおいしいっすもんね」
「おっ、ちょっと意外だな。『きのこ派なんてありえないっす!この味覚オンチ!』ぐらい言ってくるかと思ったわ」
「ぼくをなんだと思ってるんすか!好みは人それぞれっす。ぼくの中での優劣や持論があってもそれを押し付けるなんてことはしません」
「すまん、悪かった。そして見直したわ。それはいい考え方だな」
「ふふーん、わかればいいんすよ!たけのこの里奢ってくださいね!」
「こいつ…まぁいいけど」
「他のラインナップは…赤いきつねと緑のたぬきっすか」
「俺は赤いきつね派だな」
「はぁ?緑のたぬきのサクサク天ぷらに勝てるわけないでしょ!頭沸いてるんすか⁉︎」
「お前は20秒前の自分の発言を思い出せ。たけのこの里は奢らんからな」
「はっ、しまった…アツくなりすぎたっす…」
「他は…サクマドロップスとサクマ式ドロップスか。これ派閥あるか?」
「えっ、これ同じ商品じゃないんすか?」
「いや、別々の会社が出してるぞ」
「なんでこんな似た名前のものを…」
「戦前に『サクマ式ドロップス』で有名な会社があったけど、戦争の影響で潰れたんだよ。戦後にその会社の番頭と社長の息子がそれぞれ会社をつくってドロップを販売したんだ。そのあと裁判やらあってそれぞれの会社が今の名前でドロップを販売してるってわけだ」
「知らなかったっす…でも懐かしいっすね、これ。兄がハッカ嫌いだったからいつもぼくが食べさせられてました」
「ハッカは好き嫌いわかれるからなぁ…あっ、今日はペパーミントの日だった」
「ミントの日っすか?」
「いや、ペパーミントの日。ミントの日は3月10日だ」
「またそういう細かいのが…そのペパーミントってのがハッカなんすか?」
「いやハッカはミント全体を指して使われる言葉だな。ニホンハッカって種類のハーブを指すこともあるけど。ペパーミントはミントの一種だ」
「こんがらがってきたっす…ハッカの日じゃなくてペパーミントの日なんすね。なんで6月20日なんすか?」
「北海道北見市の団体が制定したんだけど、6月なのは北海道の6月の気候がハッカのような爽やかさだからで、20日なのは『二十日』と『ハッカ』の語呂合わせだそうだ」
「…えっ、ハッカの日なんすか?」
「いや、ペパーミントの日」
「…ちょっと待ってください、頭がショートしそうっす…」
「発火しそうなのか?ハッカだけに」
「…」
「俺が悪かったからその冷たい目線やめてくれ。ハッカ油並みにひんやりするわ。」
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