9月26日 “くつろぎ”の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。自宅のくつろぎポイントはトイレ。それ以外は人(幽霊)の目があるから。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。自宅のくつろぎポイントはリビングの人をダメにするクッションの上。
ここはとある郊外のコンビニ。
ウィーン ピンポーン
「ありがとうございました」
「ありがとうございましたー またお越し下さいませー」
「ふう」
「…」(じー)
「ん?どうした?俺の顔に何かついてるか?」
「高橋さん、なんか疲れてます?」
「えっ、なんで?そんな顔してたか?」
「いえ、なんとなくなんすけど…」
「でもそうかもしれん。ここ2日家に帰ってなくて、研究室で寝てたからな」
「そんなに忙しいんすか?」
「いや、この前の洗剤のせいで家に入れないだけ」※9月24日参照
「あー…じゃあご実家に帰ればいいじゃないっすか?」
「なんて説明したらいいかわからなくてな。実家に帰っても泊まることなんて滅多にないから、変に勘繰られてもいやだし」
「でもそれで体調崩したら元も子もないじゃないっすか…ゆっくり休まないと」
「まあそうなんだけどさ…でも今日は家に帰れるから問題ないよ。店長からもお墨付きをもらった」
「それならいいんすけど…ん?お墨付きってどうやって判定されたんすか?」
「なんか変な禍々しい棒みたいなのを近づけられてな。昨日は棒が勝手に砕けて、ダメって言われて、今日は砕けなくてもう大丈夫って言われたぞ」
「…どういう仕組みなんすかね…?」
「多分聞いてもわからないだろうから聞いてない。知らない方が良さそうな気もするし…」
「そうっすね…とりあえず今日はゆっくり休めるってことですね!あっ、そうだ、店長のおすすめコーナーにあるお香とか使ってみたらどうっすか?リラクゼーション効果があるんじゃないっすかね」
「ああ、あれか…あれもたしか店長印って書いてなかったか?」
「えっ。…あっ、ほんとっすね…」
「何があるかわからんからやめとくわ…まあ家で思う存分くつろぐよ。今日は“くつろぎ”の日だからな」
「くつろぎの日?9月26日…あっ、もしかして親父ギャグっすか?『926ぎ』って感じの…まったく…お疲れみたいだから見逃しますけど、普段なら滅殺されてもおかしくないっすからね?」
「なんでそんなに厳しいんだよ…ていうかギャグじゃなくてほんとにある記念日だからな」
「えっ、くつろぎの日が?」
「いや、“くつろぎ”の日」
「だからくつろぎの日でしょ?」
「“くつろぎ”の日だって」(クイッ クイッ)
「うわっ…なんすか、そのカニみたいなポーズ…キモッ…」
「ストレートに心抉ってくるのやめてくれ…英語圏の人たちがやるジェスチャーなんだよ、引用とか強調のときに使う点々を表した。たしか…ダブルクォーテーションマークだったかな?」
「ああ、なるほど。“くつろぎ”の日ってことっすね?」(クイッ クイッ)
「そうそう。うーん…たしかにそのジェスチャー、俺がやるとキモイかもな…気をつけよう。田中くんがやると可愛いのにな」
「かわ…!///」
「“くつろぎ”の日はコメダ珈琲店を全国に展開する株式会社コメダが創業50年を記念して制定した記念日だ。『くつろぐ、いちばんいいところ』を目指していく日だそうだ」
「まったくこの人は…不意打ちで言うんだから、もう…///」(ブツブツ)
「コメダ珈琲って行ったことないんだよな。田中くんは行ったことある?」
「へっ⁉︎な、なんですか?聞いてなかったっす」
「大丈夫か?コメダ珈琲って行ったことあるかなって」
「え、ええ、ちょくちょく行きますよ。ゆっくりできていいっすよねー 朝はモーニングが付きますし。何よりシロノワールが最高っす!」
「ふーん。モーニングってあの、名古屋では定番の飲み物頼んだら軽食もついてくるってやつだよな。明日の朝にでも行ってみるかな」
「ぜひぜひ!おすすめっすよ!ぼくはカツパン、ビーフシチュー、シロノワールをデフォルトで食べますね。どれも美味しいっす」
「なるほど。でもあそこって量が多いんじゃなかったか?そんなに食べ切れるのか」
「あー、まあたしかにちょっと多いかもしれないっすね。といってもちょっとだけ限界超えなきゃいけないだけっすよ」
「そんな簡単に限界を超えるなよ…なんでくつろぎに行ったのにフードファイトしなきゃなんないんだ…」