9月20日 お手玉の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。お手玉は不得意。お手玉を作る方が得意。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。お手玉はやったことないが、ジャグリングは得意。
ここはとある郊外のコンビニ。
「今日の店長のおすすめコーナーは昔の遊び特集っすか」
「独楽に羽子板ねぇ。正直見る機会ほとんどないよな」
「そうっすね。お正月ぐらいっすよね」
「お正月にもあんまりみなくなったと思うが」
「えっ、ほんとっすか⁉︎うちのお正月といえば、あの歌みたいに羽根つきして、こま回しして、蛸の唐揚げ食べるのが定番なんすけど」
「蛸の唐揚げ…?いや、お正月のうたの『たこあげて』はそういう意味じゃないと思うんだけど…でも、独楽とかほんとに小学生の頃に総合学習みたいな授業で触ったくらいだな」
「そうなんすか。ちなみに回し方とかわかります?」
「いや、正直回せないと思う。紐の巻き方も忘れちゃったな…田中くんは?」
「ぼくめっちゃうまいっすよ!やってみせましょうか?」
「見てみたいけど、店の中で回すのは危なくないか?」
「まあ見ててくださいよ。よっ、ほっ」
「おお!すげえ、手の上で回ってる!」
「ふふふ、ここから綱渡りもできちゃいますよ!」
「おおー!すごいね、めっちゃうまいな!」
「任せてくださいよ!なんたってぼくは町内会こま回し大会大学生の部で3位の実力者ですからね!」
「君で3位って君の住む町内はどんな強者が住んでるんだよ…でもほんとにすごいな!今度回し方を教えてくれよ」
「ふふーん!ま、いいっすよ。でも最初はこっちの独楽の方が回しやすいと思いますよ」
「この小豆の隣にある奴?」
「そうっすそうっす。…ん?なんで昔の遊び特集なのに小豆が置いてあるんすか?妖怪小豆洗いごっこ用っすかね?」
「なんだその意図がよくわからない遊びは…これは多分お手玉を作るためのものだろうな。ほらその隣に布もある」
「あっ、ほんとっすね。…この布、お手玉用(国際公認規格)って書いてあるんすけど、お手玉にそんな規格があるんすか…?」
「ああ、あるぞ。日本のお手玉の会が競技用として規定してる大きさがあるんだ」
「お手玉の競技があるんすか⁉︎お手玉っていったら歌を歌いながらジャグリングみたいなことをして遊ぶものってイメージしかなかったっす…」
「基本的にはジャグリングに近いルールみたいだぞ。お手玉の数と片手か両手かが決まってて、先に失敗した方が負けらしい。個人戦と団体戦があるみたいだな」
「団体戦⁉︎」
「柔道とか剣道とかの団体戦みたいな感じだ。5人1チームでそれぞれ戦って3勝した方の勝ち。でも団体戦は1人目は両手でお手玉2個、2人目は片手でお手玉2個って具合に種目が固定されてる」
「へー、全然知らなかったっす。でも高橋さんがこんなに詳しいってことはお手玉の日とかいう記念日があったりするんすか?」
「その通り。1992年9月20日に第1回全国お手玉遊び大会が開かれたことから、9月20日はお手玉の日とされている。それこそ今日だな」
「そうなんすね!うん、これはお手玉を始めろと神が言ってるに違いないっす!どこで始めたらいいんすかね?道場とかあるんすか?」
「そこまではわからないな…日本のお手玉の会のホームページとか見てみたらどう?そういや、段位があるって書いてあった気がする」
「お手玉のっすか⁉︎段位を取ると黒いお手玉とか使えるようになるんすかね?」
「それはわからんが…6段まであったんじゃなかったかな。こま回しにも段位がなかったっけ?」
「えっ、それも初耳っす。ちなみに何段まであるんすか?」
「こっちも6段までじゃなかったかな…多分」
「いいっすね!昔から剣道柔道合わせて何段みたいなのに憧れてたんすよね!ちょっとどっちも6段目指してみます!」
「お手玉こま回し合わせて12段か…得体は知れないが、強そうではないな…」