9月18日 かいわれ大根の日
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。貝割大根は割と好き。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。えっ、「かいわれ」って「貝割」って書くんすか⁉︎
ここはとある郊外のコンビニ。
「最近野菜が高くないっすか…?」
「あー、そうだな。あんまり買わない俺ですらそう思うぐらいだし」
「豚肉と白菜のミルフィーユ鍋が食べたくなったんで白菜買いに行ったんすけど、あまりに高くて諦めました…1玉800円はあんまりっすよ…」
「そんなにするんだ。それは高いな」
「なので代わりに豚ロースを買って、豚バラと豚ロースのミルフィーユにして食べたっす」
「斬新だな…他の野菜じゃダメだったのか?」
「他の野菜も軒並み高いんすよ…ぼくには豚ロースか食パンしか選択肢がなかったっすね」
「白菜の代わりがなんでその2つになるんだよ…まだなんかあるだろ。たとえば…そうだ、スプラウトはそんなに値段変わらないんじゃないか?年中あるものだし」
「スプラウトってブロッコリースプラウトとかっすか?」
「そうそう。豆とか野菜の種とかを人工的に発芽させて、芽を食べるものをまとめていうらしい。もやしとかかいわれ大根とか」
「たしかにもやしは家計の味方っすね。そういえば店長のおすすめコーナーにもやし炒めセットって売ってますよね?あれぼったくりじゃないっすか?」
「あー、あのもやし一袋と塩胡椒が入って200円のやつか」
「だってもやし一袋なんて100円しないじゃないっすか。あんなの売れないでしょ」
「実はあれ意外と人気商品なんだぞ」
「えぇ…嘘でしょ…あれのどこにそんな魅力が…」
「もやしは店長の知り合いが元の大豆や発育方法にこだわって作ったもので、味わいが全然違うらしい。そして塩胡椒はカンボジア産の高級胡椒に、店長が自分でとってきたヒマラヤの岩塩を絶妙なバランスでしょ混ぜたものなんだよ」
「めっちゃこだわりの一品なんすね。…ん?ヒマラヤに自分で取りに行ったんすか⁉︎」
「ああ、らしいぞ。そして実は塩胡椒だけじゃなくて謎の調味料が入ってるらしい。それがうまさの秘密だそうだが、詳細は何一つわからん」
「…それほんとに合法のものなんすかね…?とりあえずひとつ買ってみます。でもパッとスプラウトが出てくるあたり、高橋さんって謎に野菜に詳しいっすよね」
「そうでもないぞ。俺の知識は記念日に関したものだけだよ。スプラウトについても今日がかいわれ大根の日だから少し知ってるだけだし」
「かいわれ大根の日っすか。またピンポイントな記念日があるんすね」
「ああ。日本かいわれ協会が1986年のこの日に行われた会合で制定した記念日だ。かいわれ大根にもっと親しんでもらうことを目的にした日だそうだ」
「日本かいわれ協会…」
「今は日本スプラウト協会になってるけどな。でもかいわれ大根ってそんなに使い道あるか?サラダぐらいしか思いつかないけど」
「いろいろ使えますよ。薬味代わりに使ってもいいですし、肉巻きとかも美味しいっすよ」
「へー、今度やってみよう」
「あっ、じゃあ今度また高橋さんの家で飲み会しましょうよ!そのときにぼくが作りますよ!」
「いいのか?それは嬉しいが」
「もちろんっすよ!」
「じゃあお願いしようかな。うん、楽しみだ」
「何がいいっすかね〜 サラダと肉巻き、あとお味噌汁に入れても美味しいっすよ!それと…豚バラと豚ロースのミルフィーユっすかね」
「いや、最後のはいいや…」
「豚バラと食パンの方がいいっすか?」
「白菜にしてくれ…俺がお金出すから…」