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デートの後にて②

 ブラッド・レッドラッド。レッドラッド家の現当主であり、敵の頭領にあたる魔族。ずっと敵として会ってきたのに、どういう運命か今は俺が住む屋敷の主人だ。




 ソファに座る俺の目の前にいるのは、俺とそんな歪な関係をもつ男だ。




「ブラッド……お前が助っ人なのか」




「ははっ、そんな嫌そうな顔をしないでくれよ。僕だって吐き気がするほどいやなんだよ?」





 彼は爽やかな顔でそんなことを言いながら、部屋の中まで入ってきた。





「お前、怪我はもういいのか?」




 ブラッドは、ペイジブルでの戦いでボロボロになっていたはずだ。今は、その治療中だとも聞いている。





「まだ、あの男にやられた傷は残ってるけどね……今は、僕の姉さんを守るためにそんなこと言ってられないんでしょ?」  





 あの男……間違いなくリューのことだろう。





「どうやらそうらしいぞ。ブラッド、お前、インバスのこと、知ってたのか?」





 下からブラッドを見上げながら、俺はそう尋ねる。見たところ、ブラッドに目立った傷はなさそうだった。





 すると、それに返事をしたのは俺の前に座るインバスだった。






「ええ、私の『インバスとしての特性のことは』ブラッドちゃんに伝えたもの」





「なるほど……特性のことは、ね」





 つまり、地獄に関することは何も伝えてないのだろう。恐らく伝えたのは、誰かを好きになると、夜に襲って殺してしまうということくらい。




「インバス、お前もともとこうなる予想はしてたんだな」




「ええ、だから予めブラッドちゃんにはお願いしてたのよ」





 その言葉を聞いてブラッドの方を見るが、彼は否定もせずにそこに立っていた。この反応を見るに、インバスの言うことに嘘はないのだろう。





 しかし、姉に危害が加わるかもしれないのにそれでもインバスを手元に置くとは、よほどこのおかま野郎には利用価値があるのだと見た。

   



 とにかく、これからのことだ。これから目の前の男が暴走すると言っているのに、対策をしない手はない。






「なあ、インバス。俺は……いや、俺たちはどうしたらいいんだ?」




 時間がない。単刀直入に聞く。





 すると、インバスは悩むまでもなくさらりと告げた。






「簡単よ、自殺すらできなくなっている私を、貴方たちが殺してくれたら、いいのよ」





 こいつ、自分の命をなんとも思ってないのか?



 まぁ、殺せとお願いされているなら殺すだけだ。




 しかし、そう単純に考えたのは俺だけだったらしい。この場にいるもう一人、ブラッドがインバスへと声をかけた。






「インバス、僕は君に沢山助けられているよね。正直、個人的にはこれからも同じように君を利用していきたいと思っているんだけど……」






 ブラッドは、シルクハットのつばをグイッとあげて、尋ねる。





「ダメかな?」




「ダ、メ、よ」





 ダメらしい。インバスは、ここでお別れするしかなさそうだ。


 俺は最後に確認する。






「お前、もう善行はいいんだな」





 俺もこいつも地獄に落とされた者同士、善行をこの世界で積まなければ、次もまた天国に行けることはないのだ。それが運命。




 すると、彼は悩むまでもなく即答した。





「ええ、もちろん足りてないけど、愛した人を無くすよりは……ね」





 なるほど、こいつは地獄の運命に抗うらしい。






「そうか……」






 俺は黙ってブレッドの方を見る。俺の視線を感じてか、彼もシルクハットを浮かせながら、こちらを見た。





「おいブラッド、お前の姉ちゃんを守るためだろ? やるぞ」





「……。」




 

ブレッドからの返答はない。






「おい、聞いてんのか? 正直、俺一人でインバスを止めるのは無理だぞ」 






 目はしっかりあっているはずなのだが、ブレッドからの言葉は返ってこない。俺が一方的に投げた言葉のボールがそのままブレッドに当たって落ちたようだった。







「ちっ、お前の姉ちゃん助けてやるって言ってるんだぞ?」



「なんで……なんだい?」



「ああ?」





 ようやく言葉が返ってきた。





「だから、なんでなんだい?」




「なんでって……何が?」





 そこまで言うと、ブレッドはツカツカと俺の目の前まで歩いてきて、こちらを見下した。





「なんで、人間である……敵である、君が、ルージュを助けるなんてこと、言うのかな?」





 ああ、なるほど。それはもっともな疑問だ。

 その質問に対しての答えは幾つかある。





 そこで選んだ回答。





「そりゃ、今回の事態、俺にも多少の責任があるからな」





 そう答えるが、それでは満足しなかったようだ。






「それなら、元はと言えば妹のベリーが仕向けたことだって聞いたよ? それに、君は責任を感じて自分を犠牲にするような性分じゃないでしょ?」






 ふむ……どうやら不正解の選択肢を選んだらしい。俺は適当に誤魔化せないと、正直に答える。







「……俺はな、『善行』を積まなきゃならないんだよ。それが理由だ」





 善行は、来世は天国に行くためにしなければいけないことだ。




 すると、ブラッドは眉を顰めて俺の顔を覗き込んできた。彼の整った顔が目の前に来る。







「君、今『善行』って言ったのかい?」





「……? ああ、言ったがなんだ?」





 そこで、ブラッドはこれまでに聞いたことのないような低い声を出した。





「人間の……いや、魔族の敵である君にとって」





 そこで、ブラッドはゆっくり息を吸い込んで、言葉を続ける。





「僕の姉を助けることが善行になるのかい?」






 ……たしかに。






「確かに……善行……なの、か?」






 俺は特に深く考えずに、ルージュを助けることが善行だと決めつけていたが……




 果たしてそれは善行なのだろうか?




 良い行いとは、誰にとってだ?

 今回のルージュを助けるという行為は、魔族にとっては間違いなく助かることで、俺の行いは善行になるだろう。






 だが、人間側にとってはどうだ……?





 俺の行いは、敵である魔族の大将の姉を助けることになるのだ。



 それは、善行になるのだろうか?




 いや、ならないよな……






「俺は、いつからルージュを助けることが善行だと思ってたんだ?」






 沈黙。






 それに対する答えは誰からも返ってこない。





 

 俺はすかさず同じく善行を突き詰める者、インバスへと目を向ける。






「なぁ、インバス……こいつの姉を助けることは、善行なのか?」





 俺が求めたのは肯定か否定の二択。それ以外の選択肢など求めてはいない。





 しかし、返ってきたのは望まぬものだった。






「さあ?」





 ……さあ? こいつ、今、そう言ったのか?





「おい、お前に頼まれてルージュを助けようとしてるんだぞ? はっきり答えろ。はいかいいえ、でだ」





「ふふっ、そんなこと言われても私は知らないもの。何が良い行いか……なんて」




「知らないって……」




「シルドーちゃん」






 インバスがいつになく真面目にこちらを見る。自分の顔のすぐ近くにブラッドの顔があるのに、それはもはや気にならなくなっていた。

 俺の目線はインバスに飲み込まれる。




 彼は口を動かす。






「善行なんてね、結局『一部の人にとっての』善行でしかないの。誰かにとって嬉しいことは、別の誰かにとってはどうでも良いことだし。なんなら、その結果が別の誰かにとっては悲しいことになることだってあるもの」





「お前、そんな無責任なこと言うな!」





「無責任……そう、そうね。でも、シルドー。貴方、私がこちら側に引きこまないとそんなことにすら気づかなかったでしょ?」





 インバスはそこで黙るが、俺は言い返すことができない。その通りなのだから。



 魔族領での過ごした経験がなければ、俺は間違いなくルージュを殺すという選択をしたはずだから。






「ここで過ごす前の貴方は、人間を救うことこそが『善行』であり、それを邪魔する魔族は『善行』のもと粛清する対象だったじゃない」






「お前、痛い部分ついてくるな……」





「そういうの、図星をつかれるっていうのよ」







 ああ、まさしくその通りだ。まさしく。






 すると、それをすぐそばで見ていたブラッドは、大きくため息をついた。







「はぁ……ねぇ、シルドーと言い合っていたのは僕だったと思うんだけど?」





「……ああ、そうだったな。で、なんだっけ」






 とぼけたようにそう言うと、ブラッドはまたため息をついて、俺から離れて向かいのソファにどっかりと座った。






「君にとっての善行について聞いたんだよ」






「ああ、それなんだが、今絶賛迷走中だ。俺も何が善行か分からなくなった」





「なにさ、それ」







 そこで訪れるしばらくの沈黙。それを打ち破ったのはインバスだった。彼は、さっきまでとは打って変わって、優しく笑いながら俺に話す。






「シルドーちゃん。人間にとって、魔族にとっての善行が難しいなら、私からもう一つ選択肢をあげるわ」





「もう一つの選択肢?」





 俺が尋ねると、インバスは両手をパチンと合わせて、にっこり笑顔になった。





 なんだ、この不気味な顔……







「シルドーちゃん、私にとっての『善行』をしてくれないかしら?」





「お前にとっての善行?」




「ええ、私にとってルージュを助けてくれることは間違いなく善行なのよ。だから、私のために善行を積んでくれないかしら」





「ほぉ、インバス、お前うまく俺を利用するなぁ」





 素直に感心してしまう。ようは、インバスは自分を救うと思って、ルージュを助けろと言っているのだ。






「だが、まぁ、悪くない」





 俺自身、このままインバスにルージュを殺させるのは流石にどうかと思っていたのだ。





「というわけだ、ブラッド君。俺は、インバスのために善行を積む」



「なんだい、それ……人間領の領主のくせして、適当なんだね」



「ああ、でも、いいだろ? タダで俺という戦力か加わったんだから」





 そう言い返してやると、ブラッドは参ったというように肩をすくめた。





「僕一人じゃインバスを止めるのに苦労しそうだからね! 僕としても助かるけど……けど、裏切らないで、ね?」





 最後に釘を刺される。

 現状、この件に関して裏切る予定はない。






「ああ、少なくともルージュの命を助けるまでは裏切らねぇよ」





 ここにきて、俺とブラッドは共闘を認め合った。まだ関係としては歪だが、今だけは味方になると……少なくとも建前上はそうなったのだ。




 その瞬間だ。




 先ほどまでことの行く末を黙って見ていたインバスが、急に喋り出した。





「あのぉ……盛り上がってるところ、悪いんだけど……そろそろ、限界かも。今にも身体が走り出しそうなの。ルージュのもとにむかって」






 言われてすぐに俺とブラッドはインバスの方へと目を向ける。そこには、何かに必死に争っているインバスの姿があった。




 よく見れば、その端正な顔からは冷や汗を流している。苦しそうだ。






「おい、まて! まだなんの作戦も……」





「ふふっ、信じてるわよ? 二人とも」






 いや、信じてるも何もまだどうすればいいのかさえ決められていないのに。




 ブラッドには何か案があるのかと彼の方を見るが、彼はソファから立ち上がっただけだった。体をインバスの方へと向けて、悔しそうに歯を食いしばっている。






「インバス……どうしても、我慢できないんだね」





「ええ、これは私がこちらの世界に生まれた時から与えられた罰なのだから」






 そこまで笑顔で言い切ったインバスは、最後に一言だけ……





「じゃ、あとは……よろしくね?」




 そう言って、バチンッとウインクした。






「え、お、おい、まて、よろしくって……」





 その瞬間。



 インバスの様子がおかしい。



 ソファに座ったまま、腹痛を訴えるようにうずくまってしまった。






「お前、うそ、まじか」




 こんなお手本みたいなタイミングでさっき言ってた覚醒とかするなよ!?





「シルドー、構えろ!!」






 ブラッドの声が頭に響く。






 呻き声をあげるインバス。

 最後の自我の中で、彼は俺の瞳を見た。



 


「シルドー、ちゃん……私を、殺して」



「了解」





 俺はインバスの指示を聞くべく、刀を抜いてインバスに振りかぶった。もともと、『人を愛せない』とかカッコつけておいてモテモテなこの男に個人的な恨みもあったのだ。



 そこに躊躇いはない。





「死ねやぁ!!」





 机を挟んだ相手に刀を振り下ろす……





「……かかっ」




「ちっ」





 インバスはもはや自我を失ったらしい。彼は真っ赤な瞳を光らせて、俺の持つ刀を片手ナイフで簡単に止めた。





「何でお前の相手をせにゃならんのか」



「シルドー、お遊びはおしまいだよ。今から、インバスを倒す」




 ブラッドもいよいよ決意したのか、己の指をガリっと噛み、血を垂れ流した。





「かかかかかかかかかかっ ルージュ、ルージュはどこかしらん?」





 インバスは恍惚たした表情で立ち上がると、自ら持つナイフをペロリと舐めた。





「リアルでそれするやつ初めて見たぞ」




「行かせないよ」





 ブラッドは、血の滴る右手をインバスへと向けると、マシンガンのように血飛沫を発射した。




 しかし、インバスはひらりと体を捻ってそれを避ける。




「お前、避けられてやんの」





 言葉と同時に、刀の先をインバスに向けて、突っ込んだ。





「ふふっ、危ないわねぇ」





 インバスはそれをひらりと躱すと、流れてきた俺の肩に、ポンっと触った。





「君だって避けられてるじゃないか」





 ブラッドから声が聞こえるが、それどころではなかった。





「なに……をっ!?」




 インバスに触れられた瞬間、一気に襲いくる眠気。



 どうやら夢魔特有の催眠系の魔術らしかった。





「だぁぁぁぁあああああ」





 俺は叫ぶ。できる限り大きな声で。





「あら? 眠気を飛ばすために叫んでるの? 健気ねぇ」




「あぁぁぁぁあああああああ」





 無視して、落ちゆく瞼を必死に開きながら、刀を横に振るう。





「ふふっ、私の催眠は気合いでどうにかなるものじゃないわよ? それに貴方の刀、もうブレブレじゃないの」




 視界が歪む。ぼやける。頭が働かず、このまま倒れてしまいたい感情に支配される……が、俺はインバスの懐へと走る。





「黙れ、拗らせオカマ野郎!!」





 刀を下から上に一気に切り上げる。インバスの頬を掠った。





「ふふっ、貴方はしこたま丈夫みたいだけど、それだけよねぇ?」




「ウルセェ、黙ってろ!!」




 悔しいがインバスの言う通りだった。俺は防御力が高いが、それだけだ。睡眠効果に抗体があるわけではないし、なんなら寝付きはいい方だと自負している。





 二、三人にぼやけて見えるインバスに向けて、刀を右に左にと振り続けるが、一向に当たらない。






「シルドー! しゃがめ!!」






 眠気マックスの頭に響く大声。俺は、反射的にしゃがんでいた。




 声のした方を見れば、インバスの向こう側で、こちらに向けて真っ赤な槍を持つブラッドがいた。おそらく血で作ったものだろう。






 理解した瞬間、槍が放たれた。





 ビュンッと音がしてこちらに飛んでくる人間サイズの槍。





「だめだ、かわされた」





 霞む視界。そこに映ったのは、かわされたと嘆くブラッドと……






「避けろ!!」





 一瞬でブラッドのそばに移動……いや、転移したインバスだった。





 遅かった。俺が叫ぶ頃には。






「インバス……やっぱり、君は強いね」






 ブラッドが倒れた。叫び声をあげることもなく、静かに。



 



 その時だ。インバスが消えた。





「……!!」





 俺が言葉を放つより前、背後から声がした。






「貴方も、おやすみ、なさい」





 インバスだ。





「なっ!?」






 くるりと反転した時にはもう遅かった。インバスの右手が、俺の頭を掴んでいたのだ。





 インバスの掌によって真っ黒になっていく視界。


 落ちゆく脳の思考。


 




「くそ……が、よぉ」





 このまま俺は眠るのだろうか。ブラッドと同じように。





 眠気に抗おうとするが、そこでふと考える。




 まぁ、ルージュが死んだところで俺に何のデメリットがあるわけでもないし、無理に起きる必要すらないのかもしれないな……



 インバスが俺から手を離した。



 足音が遠のいていき、この部屋の扉に手をかけたのがわかる。



 このままインバスは、己の愛した女を殺しに行くのだろう。



 馬鹿な男だ。嫌いになりたいなら、そもそもこの屋敷から離れれば良かったのに……




 いや、違うか? 自ら離れられるなら、それはその人を好きになったとは言わないのか?




 まぁ、どちらにせよ今回の件はインバスの『甘さ』が引き起こした結果だ。




 俺には関係ない。



 そう、関係ない……。



 インバスのための善行はここで終いだ。結果はどうであれ、過程は善行そのものだっただろう。





 朝になれば、インバスは自責の念から自らも死を選ぶのだろうか?



 そうすれば、あの男も『地獄』の『刑』から逃れられるのだから。



 あの世で愛する彼女と二人で……


 



「……? ちょっとまて」





 そこまで考えた俺は、気合いで手に持ち続けていた刀を、落ちゆく己の膝にグサリと刺した。





 痛い……痛い痛い痛い痛い





 いつか勇者に刺された時のことを思い出す。

 俺の刀も、俺の防御力を突き破るほどの力を持っていたらしい。





 痛みで思考が、感覚が覚めていく。





 あいつ、一人だけ刑を終わらして閻魔様のところに帰るつもりなのか?


 俺があんなに鍋の上で我慢してきたのに?




「おい……インバス」




 俺は、インバスの真後ろに立っていた。



 握り拳を作り、それをグゥッと後ろに引く。





「あ、あら? 起きたの?」




「ああ、おかげさまで、めちゃくちゃ眠いがなぁ!!」




 拳を振るい、インバスの頬に思いっきりのめり込ませる。


 扉の前にいた彼は、扉に正面衝突した。




 ガンッッッッ




 衝撃音が部屋に響く。





「はぁ、はぁ、はぁ……」





 膝の腿を駆け巡る痛みのおかげでこうして立てているが、気を抜けばすぐにでも眠ってしまいそうだ。




 すると、インバスがこちらを向いた。その頬は赤く腫れ上がっており、見るからに痛そうだ。





「ふふっ、痛いわぁ……」



「そりゃ、良かった」




 俺は余裕な笑みを浮かべるが、それはあくまで強がっているだけで、本当は今にも死にそうなくらいに眠かった。




「ねぇ、シルドーちゃん」




 インバスは腫れた頬を押さえながら、ニヤリと笑った。




「貴方はここで潰す必要がありそうねぇ」




「あん?」




「ふふっ、夜はこれからよぉ……少しだけ遊びに付き合ってあげるわ」

 



 インバスはそう言うと、反対の手で俺の頬を触った。





「貴方も私の夢の世界にご案内するわね」




「……ははっ、勘弁して……くれ……」





 眠気を自覚する前に、俺は眠りについた。



 それは深い深い眠りに。

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