56.おカマ?
俺の依頼を無事に受注できたリンたち『アトラスの牙』とは、冒険者ギルドを出たところで別れることにした。
「ところで、なんで『アトラスの牙』なんだ?」
「アトラスは、アトラス山から」
俺が気になっていたことを聞いてみると、リンがポソリと答えた。
「いや、それは分かってるんだけど、なんでアトラス山から?」
「だって、リンの描いたあの絵、カッコいいじゃん!」
キースがそう言って、ニカッと笑った。
「それに、ああいう大きくて立派なパーティーになれば良いなと思いまして」
ポールが、少しだけはにかんで付け加える。
「ふーん。じゃあ、牙は?」
「強い獣や魔獣には、鋭くて立派な牙があるだろ?それに・・」
ネイサンが、なんとなくどや顔で言ってくる。
「それに?」
「カッコいいじゃん!」
「結局それかよ!」
「「「「あはははは!」」」」
「じゃあ、俺はこれからドンクさんの工房に行くから、ここで!」
「わかった!俺たちは西の森へ、ビジルの葉を探しに行ってくるよ」
「ああ、頼むな」
「任せとけって!」
「リンも無理するなよ」
「うん!」
西門へ向かって行く、『アトラスの牙』の面々を見送り、俺は村はずれの丘の方を目指す。
「こんにちはー!」
いつもの、重厚な木の扉を開けて中に入る。
「お~う!」
しばらく間を置いて、2階から声が聞こえた。
「「なんだ坊主か」」
おんなじ顔が2つ、2階からベロンと飛び出して言ってくる。
「あれ?ダンクさん、まだいたんですか?」
「当たり前だ!領都には、銭湯も冷えたエールも無いからな。ダントン村に引っ越すことにした」
「えっ!じゃあ、むこうの工房はどうするんですか?」
まあ、理由はどっちかというと冷えたエールの方だと思うけど・・。
「あっちは、1番弟子に任せた」
「そんな簡単に任せちゃっていいんですか?」
「なあに、あいつも一人前になってもう100年も経つからな。問題ないだろう」
「はあ。そうですか・・。」
100年って・・時間感覚が違いすぎる・・・。
「ダンク兄のことはどうでもいいが、今日はどうした?坊主」
どうでもいいって・・・ほら、ダンクさんが怖い顔してるし。
「あ、はい。また、銭湯の方でお願いしたいことがありまして」
「「ほう!今度は何をつくるんだ?」」
2人して目を輝かせ、2階から降りてくる。
「あ、いや。作っていただくのは、とくだん変わったものではなくて、石窯なんですが・・」
「なんだ石窯か」
「パンでも焼くのか?」
「いえ、ピザというエールによく合うツマミをですね・・」
「「なに!!」」
その風体で、左右から挟み込んで迫ってこないで!
「作りたいな~と思いいまして・・」
「「よし、分かった!石窯はどこに作るんだ?」」
「え、え~とですね。2階のお休み処の一角を改装してですね・・」
「「フム!」」




