53.冒険者ギルド
俺たちは、ネイサンを先頭に薬屋のあった大通りから中央広場へ移動し、前に来た商業ギルドの隣の建物の前に立った。
目の前の建物は、この村で1番目に立派な、3階建の石造りの重厚な建物だ。
「やっぱりここは避けて通れないのか」
異世界定番とは言え、暴力は苦手だから来ることは無いと思ったんだけど・・。
クエストの発注者側になるパターンもあるっていうことか。
「じゃあ、入るぞ?」
ネイサンが確認すると、他の3人も無言で頷いた。
まあ今までは、遊びの延長・・とは言わないけど、あくまで自分たちで自主的に修行を積んでいただけだからな。
本当に冒険者になるとなれば、それなりに緊張はするだろうな。
やっぱり、こういう世界だと死と隣り合わせの仕事だろうし。
『ギギギギギ・・』
ネイサンが両開きの扉を押し開く。
商業ギルドの扉が重厚とすれば、こちらは堅牢といえばいいだろうか。
高さもこちらの方が更にでかい。
「ほう・・・」
建物の中に入ると、大きな空間が広がっていた。
天井はかなり高い。
入り口を入って正面にはカウンターがあって、窓口がいくつか並んでいる。
定番のパブのようなスペースは無いみたいだ。
もっと大きな町のギルドだとあるんだろうか?
この時間(午後2時過ぎ)は、冒険者はみんな出払っているのか、ギルドの中は割と閑散としている。
「あれ?窓口がいっぱいあるぞ。どこへ行けばいいんだ?」
ネイサンが立ち止まって、キョロキョロする。
「あっちの一番左端の窓口ですよ」
ポールが指をさす。
「ほら、ネイサンがパーティーリーダーになるんだろ!」
キースが、まごついているネイサンの背中を押した。
「わ、わかったから押すな!」
『登録』と書かれた窓口にネイサンが立つと、すぐに声をかけれらる。
「こんにちは!新規登録ですか?」
そこにいたのは、20代前半くらいの黒に近い茶髪の、緑色と金色の中間のような色の瞳をした、綺麗な女性が座っていた。
「どうしました?」
棒立ちになっているネイサンに、にっこり微笑んでくる。
「あ。す、すいません!そ、そうです、新規登録です!」
「フフ、じゃあこの申し込み用紙に、それぞれ必要事項を書いて下さいね」
「分かりました」
商業ギルドで渡されたような、A4サイズの紙だ。
分かりましたと言ったわりには、ネイサンは手間取っているようで、途中からポールが代わりに全て書き込んでいる。
キースもリンに手伝ってもらっていた。
「で、できました!」
記入し終わったのか、ネイサンが4人分の申し込み用紙を、職員さんに勢いよく差し出す。
「はい、確認しますね」
受け取った書類を順番に確認していく。
「それとぉ・・申し訳ありませんが、皆さんパーティーを組まれるんですよね?」
「は、はい!もちろんです!!」
「それでは、こちらの用紙にパーティー名とメンバー名、リーダーになられる方の名前もご記入ください」
そう言って、もう一枚用紙を渡してきた。
渡されたネイサンは、今度もポールに手伝ってもらいながらなんとか書き込んでいる。
「はい、はりがとうございます。えーと、パーティー名は『アトラスの牙』、リーダーがネイサンさんですね。メンバーが・・・あら?4名でよろしいんですか?・・皆さん16歳ということは、そちらの方はよろしいので?」
職員さんが、書類から目線をこちらに向けて小首を傾げる。
「え?あ、ああ。私は付き添いというか、商業ギルドの方に所属していまして。それと、今日はクエストの発注に・・」
「ああ~、そういうことでございましたか!では、窓口は2つ隣になっていますので」
「あ、ありがとうございます。あとで、そちらにまわります」
「よろしくお願いいたします」
俺に一礼すると、職員さんは改めてネイサンに向き直る。
「では、こちらで登録させていただきますので、少々お待ちください。ギルドカードが出来るまでの間、当ギルドの仕組みと、会員の規約などをご説明させて頂きます」
「「「「よろしくお願いします!」」」」
4人が元気に返事をする。




