45.結果
「まあ!きれい!!」
「ほう!素晴らしい景色だ!!」
「まるで本物の様!」
「アトラス山?!」
初見の人が、浴室に入ってまず驚くのが壁一面の絵だった。
その声は脱衣所まで聞こえてきて、俺は思わずガッツポーズをしてしまった。
あとでミーナさんに教えてもらったところでは、リンがその声を聞いて顔を真っ赤にしていたとか。
そして、もちろん一番称賛されたのは大きな浴槽だったのだが、その次に特にお金持ち連中が食いついてきたのが、なぜか蛇口とシャワーだった。
「マモルさん!あれは何なんですか!!」
「あんな便利なもの見たことも聞いたこともないですぞ!」
「あれを、うちに付けてもらえませんか?金なら出します!」
「いいですけど・・っていうか、ダンクさんにお願いしないと作れませんよ?それに・・・」
「え?ドンクじいさんじなくて?」
「そうです、ダンクさんです。それに、あれだけ付けたって使えませんけど」
「そ、そうなんですか?」
「ええ、ここみたいに貯水槽が必要ですし、なにより貯水槽に水を溜めるのは人力ですよ?」
「か、かまいません!それは、使用人にやらせればいいんで」
「そうですか、一応ダンクさんに聞いてみますけど・・」
「ありがとうございます!」
あーでも、下水施設とか無いしなー・・・。
どうすればいいんだろ?
そして、ハイライトは冷えたエールだった。
「いや、そっちかよ!」
って思わず突っ込みを入れたくなったけど、入浴後に2階のお休み処で出した冷えたエールが大好評で、結局本番では、これと冷えた果実水を販売することにさせられてしまった。
まったく表情を変えずに飲み続ける、ザイル婆さんの視線に負けたとも言える・・。
次の日から、銭湯の新規オープンのチラシを配ることになった。
これについては、リンたち4人組にも手伝ってもらうことにした。
ただ、羊皮紙さえも貴重品ではあるので、木の皮をなめしたものに宣伝文句を書き、リンにイラストを入れてもらって、100枚ほど用意した。
木の皮は、ドンクさんのところで用意してもらったんだけど、これはこれで、結構な作業だった。
「じゃあみんな、手分けして配ってくれるかな?」
「「「「は~い!」」」」
4人には村内の各戸をまわって、80軒分を配ってもらう予定だ。
銭湯の前から中央広場を横切って、散らばっていく4人を見送った。
「さて、俺も配るかあ!」
「うん!」
「って、なんでミミもいるんだ?」
「えーだって面白そうだもん!」
さよですか・・。
俺は、残りのチラシをミミに持たせて、一緒に中央広場へと足を踏み出した。
道行く人たちに声をかけるために。




