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勇者来たりて

「まあ、そんなこと言っている間にそこの馬鹿は逃げなきゃならないだろうがな」

顔を上げてまたエイブラハムは小さく笑った。

大きな音を立てて広間のステンドグラスが嵌った窓が割れる。


(ディーノ、遅い)

文句を言いながらちびドラゴンは嬉しそうに尻尾を振った。

私もほっと胸を撫で下ろす。外の光に目が慣れてけぶる金色の髪の勇者が笑いながら凄まじい怒りを表現するのを見るまで。爪を立てて瓦礫に捕まる大きな黒竜から降り立つとディーノは言った。

「久しぶりだな。バルトロ。どんな方法で殺されたい?僕のものに手を出したんだ。覚悟は出来ているな?」


ガンっと音を立てて長剣がバルトロの足元へと刺さった。ふわっとその剣を中心にして魔法陣のようなものが浮き上がり、光の縄がバルトロの動きを縛る。

「…ディーノ、待ってくれ。これはルクレツィアの…」

「ルクレツィアがどうした?」

若草色の冷たい目がバルトロを射抜く。その覇気が絶対に許さないと、伝えてきた。

「これはルクレツィアの依頼だ。彼女を殺しても僕には何の益もない」

「面白い冗談だな。それで言い訳が通ると思ったか?エイブラハムまで巻き込んで何をするつもりだった?」

「そこの馬鹿は聖竜の加護を持つそこの女の子の加護を解けと言ってきた。底抜けの馬鹿だな」

「シャルロッテの?」

不思議そうにディーノは私を振り返った。

「ええっと、ディーノさん、その、私はまだ何もされていませんし、今バルトロさんを殺すのは性急過ぎませんか」

私は勇気を出して言った。これを言えるのは私だけと分かっていなければ震えて口出しすることは出来なかっただろう。


「君の前では流石に殺さないよ…」

ふっと笑うと殺気を消して私のところまで歩いて来た。

「…怪我は?何もされてない?」

いつも通りの優しい声に私はほっと息をついた。

「はい。助けに来てくれてありがとうございます」

(ちょっと遅かったけどな)

「セイン、お前丸焼きにするぞ」

(父さん聞いた?ディーノも二言目にはそれなんだから。もっと巧く言いなよ。これだからお姉さん口説くのもへたくそなんだ)


「ディーノ、今代の勇者のお前でも、セインには形無しだな?」

ククっと少年の姿をしたエイブラハムが笑う。その姿と口調がアンバランスですごく違和感を感じた。

「ジークの子だ。甘やかしてもしょうがないだろう」

「お前に大事な物が増えると魔王は喜ぶだろうが」

「…エイブラハム、何が言いたい?」

「いや?気をつけろと言っている。そこの女の子は人類を滅ぼせる鍵だからな」

「シャルロッテが…?」

私を見つめる若草色の目は困惑していた。


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