二話 勇者を求めて
しばらく何も遮蔽物がない草原を馬車が本来私が降り立つ予定の場所を目指し進む。
その道中、後続の馬車や騎馬隊が事前に割り振られた捜索ルートに沿って散開する。
転移場所として決めていたのが、サイラン聖国の王都と近隣の大都市を繋ぐ街道沿いにある各方面への分岐が集中しているところの近くにある森にしており、勇者がその場に転移したのなら、街道沿いか森の中にいるということになる。
その考えの元街道沿い中心の騎馬隊と森の捜索に馬車で移動し担当エリアで散開するという作戦を取っている。
私自身は、一番可能性が高いとされる転移場所への直行部隊と共にしています。
先程の街での光景に少し引きずられるところもありますが、その他に冒険者らしき人々を見つけることができ、そういえばこの身体の能力はどのようなものなのか、どれくらいのレベルなのかというところに考えが巡っていた。
一応、魔術は好みでしたので存分に行使できるよう調整したのですが、この世界においてどれくらいの高さなのかという点は考慮していませんでしたね。
これは、どこかで確認するべきでしょう。
それに、文字として能力をリスト化すると、見覚えのないものがあるようですね。
スキル欄
魂保護
魔術の神髄
魔力増大
身体強化(弱)
召喚神の過保護(身体能力強化(特)…能力値の
強化と訓練次第でどの分野での成長しやすい)
召喚神の思いやり(召喚神との面会が可能…召喚 神の気分次第で はアイテムやアドバイスを授かることが可能)
召喚神の気遣い(言語翻訳)
召喚神の非常識(アイテムボックス(?))
召喚神のシリーズは確実に勇者用に用意したもののようですね。スキルの効果も私自身に適応されていないようで、召喚神の考えが先に出ているだけのようですし。
この分だと勇者さんは何もスキルが付与されていない危険な状態ということになりますね。
ここは、私の魔術を駆使して早急に探し出すべきです。
方法は私の魔力を薄く広く広範囲に飛ばし、人らしき反応をかたっぱしから確認しに行く。
もしくは、私か召喚神の魔力残滓を目印として捜索するという方法。
前者を行使したように見せつつ、後者で見つけるというのが得策でしょうか。
普通は、魔力がそんなに長く残留せずに自然に還るものですが、神である私や召喚神のものは長く残りやすいほど影響を与えるものですからね。
「セイゲン殿、私も魔術師の端くれですので、探知魔法を今使用してもいいでしょうか?」
「あまり魔法に詳しくありませんが、そのようなことができるのでしたらぜひお願いします。」
若干驚いたような表情のセイゲンに違和感を覚えつつも、今は勇者の安否が重要だと考え、魔術の行使に意識をむける。
まあ、表向きは術式を構築するふりで、自身から放出する魔力以外で自分の魔力を探すだけなのだからそう意識するだけで十分なのですけれど。