プロローグ
~???の神域~
私がこの世界を作ってからどれだけの時間が過ぎ、どれだけの魂が循環したことか…
この世界を維持し、発展させていくこともいつの間にか、私の役目ではなくなっている。
既にこの世界にとって私は必要ないのだろう。もうこの世界は自立したのだ…
それに、私以外の神はこの世界に降り立ち過ごしている。
ならば、創造した責任者として残り続けた私も自由に過ごしていいのではないだろうかと考え続け、幾星霜。
管理している世界内で様々な生命体が文明を築いては、滅びゆく。
「よし、空からこの世界を眺めるのにも飽きた…私がいない間に何かあったとしてもそれがさだめなのだろう。」
そうと決めたら早速行動開始といこうか。
先に降りた彼らがどのような降り方をしたのか参考にするとしよう。
ふむ、やつは神としての存在を一切隠さずに降臨したのか。
お、彼は一般家庭に赤子として生まれ落ちたのち、様々な人生を繰り返しているのか。
ほう、彼女は一から体を創ってそこに意識を落としこんでいるのか。普段神域の中で寝ていることが多かったから、
あの頃からずっとしていたのかな?
よし、適当な容姿と出身、能力は目立たない程度にしつつ、神域に戻るための力を別に蓄えて所持しておくかな。
この神域にほとんどの力を置いておけば目印になるだろう。
よし後は、新しい身体に移るのと同時にこの世界に降り立つ術式を組まないとね。
ふむ、この誰かが以前使用したであろう転生魔術と召喚魔術を転用すれば、調整するだけで済むな。
………
全ての準備が整った、今回は用意した身体が朽ちた時点でこの神域に戻るようにして、
「いざ、愛しい者達が暮らす世界へ!」
まばゆい光に包まれ己の行使した術式に眠るように身を委ねる。