〜自キャラは天文学的な確率でできたチートキャラだった〜
チートのチートによるチートなVRMMO。
アストロノミーオンライン。
今日からサービス開始される、大規模VRMMOのタイトルだ。
某大手システム会社が発売するこのゲームは、
最先端のAIを用いたゲームシステムが売りで、
発売前から世間を賑わせていた。
自立したAIによって生成されるNPCとの自然な会話、
高性能なシステムによりリアルタイムで変化するシステム、
そしてオンラインで遊ぶ多くのユーザーによって作り上げられる
ゲームの世界。
これまでのMMORPGとは一線を画す期待のタイトルだ。
僕はサービス開始と同時に始めるべく、自宅で全裸待機していた。
明日の大学?そんなものは当然自主休講だ。
2019/9/16 0:00、グリニッジ天文台の時刻+9:00に正確に設定された
PCが刻を告げる。
僕はヘッドギアを被り、ゲームを起動した。
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#ユーザーIDを識別
#生体データを認証
;初回プレイにつきキャラクターメイクへ移行します。
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背景には深い藍色のような暗闇。
遠くに輝く星。
そして、中心にはキャラクターの姿。
視界の左端には、各部のパーツ選択アイコンが表示されている。
このゲームは、キャラメイクの自由度の高さも前評判になっていた。
基本パーツの多さはもちろんのこと、規制パーツのサイズや形状、色味を
自由に変更できるため、無限ともいえる組み合わせが可能となっている。
効率厨なら、キャラメイクはサクッと済ませて、レベルあげに勤しむの
だろうが、僕は違う。
これから長い時間、自分の分身となるキャラクターだ。
妥協せずに作り込みたい。
リアルでは男子大学生の僕だが、ゲームではもっぱら女性キャラクター
を作ることが多い。別にネカマプレイをしたいわけではなく、
眺めるなら可愛い女の子がいいという単純な理由だ。
事前に作成イメージは固めていたものの、実際に作り出すと
ああでもない、こうでもないと、キリがない。
髪の毛の長さ、カラーバランス、パラメータを1つずつ
ずらしながら、理想のイメージに近づけていく。
・・・
・・・
・・・
やっと満足のいくキャラができた頃には、日は沈み、
時計は再び0:00を回ったところだった。
朦朧とした頭でキャラメイクを終え、確定ボタンを押す。
作成時ボーナスとして、初期パラメータボーナス、
追加パラメータボーナスと、スキルが配布される。
キャラ作成は一人一キャラのみ。
そしてボーナスは作成時にランダムに付与される値だと噂されていた。
俺の目の前には、ボーナス値が表示されている。
初期パラメータボーナス:ALL +1,000
追加パラメータボーナス:+1,000,000
スキル:天地創造(レア:Astronomical)
追加が1,000,000ということは初期ボーナスの1,000は少ないのかな。
ゲームバランスは未公開のため、どの程度の影響があるのかまだわからない。
ひとまず、意識が飛びそうなので、今日は一旦ここまでにしておこう。
目が覚めたらゲーム三昧だ。
1日の遅れを取り戻すぞ。