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なろうラジオ大賞用 超短編集

子供部屋のおっさんは願う。

作者: 風柳

端的に言うならば、俺は子供部屋おじさんだ。

別にそうなりたくてなったわけじゃない。

社会が悪いのだ。


俺が今何をしているかって?

それは好きなソシャゲをしながらアニメを見ている悠々自適な毎日さ。


そんなある日、俺はSNSでとある書き込みを見つけた。

それは書き込み主が、付き合っていた彼氏と別れましたという御報告。

その数か月前、彼女と彼が付き合います宣言をした時、フォロワーは皆盛大に祝福した。

かくいう俺もその一人だった。

いつもの俺だったら、ふーん別れたのか、で済ませていたかもしれない。


本来ならまったく無関係な俺が首を突っ込む話ではないのだろう。

しかしその時の俺は何を思ったのかついつい首を突っ込んでしまった。

何故別れることになったのか?

どうしてそんなことになってしまったのか?

関係者から大雑把ではあるが聞いてしまった。

そして俺は、自分が犯してしまった過去の過ちを重ねて見てしまった。

そしてこう思った。

この人たちには自分達の様になって欲しくはない……と。


俺は彼女にコンタクトを取り、精一杯元気が出るよう毎日のように励まし続けた。

それは過去に俺が犯した過ちの贖罪をするかのように。

過去に犯した過ちを清算するかのように。

それでも彼女は彼のことが忘れられない、思い出して泣けてきてしまうという。


確かに彼女にも悪いところはあった。

けれど彼の言葉に、行動に俺は怒りを覚えた。

彼が恋愛中に彼女にかけ続けた言葉は、そんなものだったのか。

たった一度の彼女の過ちで、それは崩れ去るようなものだったのか。


俺は彼にコンタクトを取り自分の思いのたけをぶつけた。

しかし、彼の心には俺の言葉は響かなかった。

『無理なものは無理だから』

それは俺が過去に使っていた言葉だった。

どうしようもない後悔の。

自責の念が再び俺を襲う。


だから俺は彼女には早く立ち直って欲しかった。

どんなことをしていても彼を思い出してしまうという彼女に立ち直って欲しかった。

彼女にそんな白状な彼の事は忘れて欲しい。

そう願った。


何故SNSでしか繋がりのない彼女の事をこうまでして思ってしまうのか。

俺にはこの感情が理解できなかった。


しかし今思えばそれは恋だったのかもしれないと、俺は思う。

彼女に俺が傷つけて去って行った『彼女』を重ねて見ていたのかもしれない。

淡く切ない恋心。

決して実ってはいけない恋心。


けれど今日も俺は彼女に声をかけるのだろう。

「今日は元気になれましたか?」と。

ちょうど1000文字になりました(笑

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