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遺跡の壊し方と闇の精霊のゆくえ

「あ、あ、あんた何なの、バッカじゃないの、信じられない……」


 遺跡にダメージを与えるべく、ついでにこの闇の精霊を呼び出すべく、木や民家や城や湖を投げ落としてみたが、残念ながら遺跡は壊れなかったらしい。

 再び姿を現した闇の精霊が、ギャンギャンと何か叫んでいる。

 ちなみに、下流が洪水になる前に、湖のモデルは消してある。


 しかし、頑丈だなぁ遺跡。

 いや、少しはダメージがあったのかもしれない。

 闇の精霊の姿が心なしかボヤけてるし。よくよく見ると遺跡自体にも少しヒビ入ってる気もするな。


 黄金竜の姿で、遺跡の上にフヨフヨと浮かびながら、これまた遺跡の上に浮かびこちらに向かって文句を言っている闇の精霊を観察する。


 うん、さっきよりボヤけてるし小さい気がするな。意図的に弱っているように見せているのでなければ、だが。


「さて、改めてまじめに話そうか」

「あああもう!私が悪かったわよ全部どうせ私がわるいのよおおおおぉぉ!でもその前に!ほんと、あんた何なのよ?!さっき、城とか塔とか出してなかった?!どこかから転移させてきたの?あんた、竜なの、人……な訳ないし、まさか神竜なの?」

「さあ……どうかな?先祖は神竜らしいけど」

「どうかなじゃないわよおおぉ!何なのよさっきの……異様な……水?っていうか湖?おかしいでしょおおオォオ?!」

「おかしいことは認める、それで?」

「認めるのかよおおおおぉ?!そ、そ、そ、それでって何よ……」


 少し首を傾げて聞いてみる。


「俺がちょっとおかしかったとして、まるで神竜のような力を持っていたとして、それでまだ俺をどうにかしようと思ってるのか?ってこと」

「…………???!!!!お、お、お、脅してるの……?」

「質問しているだけだよ」


 なかなか諦めの悪いやつみたいだからな、この闇の精霊。


「お前が捕えていたベニシアの仲間3人、……人じゃないけど、彼らが目覚めないのはお前のせいだとか?夢をつないでいるから目覚めないんだろう。彼らから魔力を吸い上げるのは諦めて目覚めさせてくれ」

「目覚めさせたらその瞬間に私を滅ぼすつもりなんじゃないの?!あんたならその無茶苦茶さで遺跡を壊したり出来そうじゃない!嫌よ!」

「その無茶苦茶さで今すぐにでも遺跡を壊すのを、やめてやってるんだとしたら?お前が消滅すれば彼らも夢から覚めるんじゃないのか」

「そ、そ、そ、そそそそそそんなことしたら彼らは永遠に眠ったままだからね!そのうち衰弱して寝たまま死んじゃうわよ!」

「めちゃくちゃ焦ってるみたいだけど?」

「うるさいわねえええぇぇ!少なくも私が死ぬ時には道連れにしてやるわよ!」


 うーん……どうしたら良いんだこいつ?

 しかしもう自主的に降参しそうにないな。

 いっそ遺跡を壊すか?

 俺が触れれば壊れるかもしれないし……でも万が一触れた途端に俺まで寝かされると危ないか……ん?


 安全に触れられれば良いんじゃないか?

 そういえば、まだ俺分身出せるんだった。

 分身というか、パーティーメンバー4人目が空いている。


 今のパーティーメンバーは、

 一人目は俺の本体、つまり今の俺。

 二人目はライラ。

 三人目は一応ソトリアの王城に置いてきている俺。

 四人目は居ない。


 四人目としてもう一人俺を出して、ステータスカンストしてから遺跡に触れればいいんじゃないか?

 もし寝てしまったらすぐにモデル表示を消せばいいし。うまくいけば、容量オーバーで遺跡が壊せるかもしれない。


 まだ何か叫んでいる闇の精霊を無視して、四人目のパーティーメンバーとして若者魔王のモデルを表示、ステータスをカンストする。


「んなっ……なにその人間、なんで突然現れたの、っていうかそれアンタの人間の姿じゃないの?!さっき変身してたわよね?!分裂すんの?!ちょっと意味わかんないんだけどっ……」


 焦っているらしい闇の精霊の様子に気をつけつつ、本体と新しく出した俺に最大の補助魔法をガンガンかける。


 邪魔される前に試してしまおう!


 視点を新しく出した俺に切り替えて、高速で移動して遺跡に触れる。


 すると、遺跡の奥から何かが移動してきて俺に触れようとしたように感じた。

 これは、前にリック少年の中にある遺跡の核を壊した時にも感じたものだ。まるで生き物のようにぐにゃりと動く。しかしリック少年の中にあったものよりも大きい気がする……この遺跡の核は、ライラの母であるシャーリーという竜やエルフの魔力を取り込んでかなり成長していたのかもしれない。


 万が一取り込まれないよう、意識を本体の黄金竜に戻す。


 意識を切り替える最後の一瞬に何かが見えた気がした。

 何か……プログラムコードのような沢山の文字列……?


 そして、遺跡と新しく出した俺の間から強い光が放たれる。

 遺跡の核は、無事に燃え尽きたようだ。

 4人目のパーティーメンバーとして出していたモデルを消す。


「いやあああああぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁーーー!!」


 野太い叫び声が聞こえてくる。

 間に合うだろうか。一応やってみるか……


 俺は、背景モデルビューワーからとある民家を選び、その中に飾られていた、クマのぬいぐるみのモデルを取り出した。


 それにザブザブと魔力回復薬をかける。魔法の杖も取り出し、そこに使われていた魔石も取り外して、ぬいぐるみの中にグサッと入れてみた。意味があるかはわからないが。

 それを、ポイと遺跡のあたりに放り投げる。


「まだ話がしたければ、それに乗り移ってみたらどうだ?別に死んだわけじゃなくて、遺跡の魔力が使えなくなっただけだろ。ベニシアの眼にも精霊が宿っているっていうし、何か拠り所があれば良いんじゃないのか?」


 話しかけつつ、しばし様子を見る。

 すると、聞き覚えのある野太い声……の口調で、可愛らしく高くなった声が聞こえてきた。


「あ、あ、アンタなにしてくれんのよおおぉーー!」

「あ、結構かわいいな、前の謎の姿よりずっと良い」

「なんっですってええぇぇ!!」


 壊れた遺跡の上あたりで、小さなクマのぬいぐるみが手をパタパタさせて叫んでいる。

 ガチマッチョな男らしい体型に濃い化粧とセクシードレスってなかなか挑戦的すぎると思う。それに比べれば、黒っぽいクマのぬいぐるみはとてもかわいい。中身は可愛くないが。


 クマを浮遊魔法をかけて近くに引き寄せた。


「魔石入れてくれたのは良いけど、なんでこんなずぶ濡れなのよぉ!重いし!だいたいアンタどうやって遺跡壊したのよ?!」

「遺跡が壊れたってことは、3人も目覚めたかな?よし、戻るぞ」

「戻るぞじゃないわよ、ギャアーー!人攫いイィ!!」

「人じゃないだろ、今は俺の出したクマのぬいぐるみだし」

「ウソっ私アンタの所有物?!何そのプレイ……?!」

「いやそういうプレイとかじゃないから、っていうかお前のその謎の知識とかあの挑戦的すぎる見た目とか、エルフとドワーフとシャーリーの知識から来てるんだよな?なんか不安になってきたな……」


 ゲームでの設定やセリフは知ってるけど、実際どんなキャラなんだよエルフとドワーフ……いやライラの母、シャーリーも会った事はないしな……一体……


「早く戻ろう……」

「いやぁん!こんな人外の男に囚われた、いたいけな精霊とか!何それ結構面白そうね!」

「馴染むの早いな!なんだよ人外の男って……お前に言われたくないな……」

「私男じゃないしぃ、あっ、この体結構動かせるわよぉ?!手を上げたりできるし、降ろしてくれたら歩けるかもしれないわぁ!」

「あとで降ろすから大人しくしててくれ……」


 横にクマを浮かべながら、ライラたちのところへ飛んで戻った。


突然ですが転職活動をはじめてみたため、超不定期更新になってしまっており申し訳ありません!

落ち着くまで不定期更新ですがお許しください……

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