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第17話 人質救出

 

 縛りあげた推定裏ギルドメンバーは道外れの木陰に放り投げつつ、キースに再び馬に乗ってもらい、俺もキースの前を陣取る。浮遊魔法兼馬とキースで支える事で何となく2人乗り風だ!キースは抱えようとしてくるので、結果まだ抱っこ状態だが。


「キース、まずはお前の実家に行ってお母さんと兄弟達を回収するぞ!」

「か、回収ですか……?」

「そう、俺は道わからないからな!さっさと行くぞ!」

「は、はいっ……」


 幸い、町からそんなに離れていなかったので、しばらく馬をかけさせるとキースの家に着いた。

 町外れの、広そうだが古い家だ。


「もしかするとこの家にも裏ギルドの見張りがいるかもな、キースを脅すための人質だもんな……」

「そうですね……どう、しましょうか」

「まぁ、出てきたら倒そう!人質の救出優先だ!」

「はっ、はい……」

「じゃあキース、救出すべき家族を集めてくれ!」

「……はいっ!」


 急いで馬を降りて家の門につなぎ、家の戸を叩くキース。


「母さん、俺だ、キースだ!急いでみんなを……集めて……」

「あらキース、どうしたの〜そんなに慌てて……あら可愛い赤ちゃんね〜!」


 キースのお母さんらしき人が家から出てきた。

 後ろから数人の子供もこちらをのぞいて、あれっキーちゃんだーとか言ってる、キース、キーちゃんって呼ばれてるのか……無口キャラとのギャップが凄いけど微笑ましいな……


「あとで、説明するから、全員集めて欲しい、母さんと、兄さん達は居ないから、……トーヤとミナも呼んできて!」

「どうしたの、とりあえず入ったら?こんな玄関先で何だし……」


 あと2人が足りないようで、呼びに行っている間にキースのお母さんは室内に案内しようとしてくれる。が。


「キース、トーヤとミナも連れてきたよー」

「殿下、揃いました、これで全員です」

「わかった!じゃあ……」


「何をしている!お前は王子を攫っているはずだろう!……それが王子か?どういうつもりだ、何故指定の場所に向かわずにここに来た?!お前に付けていた見張りはどうした!」


 2人ほど、どこからともなく俺たちの後ろから男が現れた。この家の見張りか。


「はい気絶!」

「なっ、……」


 マックス気絶魔法をかける。

 あっさり掛かってくれて、2人の男はその場に倒れた。


「えー、ここは危なそうなので移動します!みんな集まってー………あ、キース通訳して」」

「……えっ?」

「キース以外には俺の言葉通じてないから!バブバブとしか聞こえてないから」

「そ、そうなんですか……えーとみんな、ここは危ないので移動します、こっちに集まって!」

「ねえキース、その男達は何?!王子を攫うってどういう事なの?それにその赤ちゃんが王子って、まさか、キースそんな」

「移動しまーす!俺に触れてないと移動できないので、みんな俺に触ってー!置いていかれるよ!」

「……えっ?は、はい、みんな、とにかく全員、この方に触れてくれ!置いていかれるらしい!」

「え、触ればいいの?キースそれよりちゃんと説明して……」

「全員触ってるな、じゃあ行くよー!とりあえず宿に戻るから!」


 あ、あとでここに戻ってこれるようにここもセーブしておこう。

 今夜の宿もセーブしておいたので、位置座標がわかるので移動できる。ライラとの実験で、俺に触れていると移動できることはわかっているのだ。


 座標移動、ポチッと!


「殿下、でん……うわあ?!」

「うわヴィクター、ごめん!」

「えっ?!ここはどこ?」

「で、殿下、ここは……宿の部屋ですか?!一体……」


 どうやら移動した先の座標あたりにヴィクターがいたらしく、俺とキースがヴィクターを押しのけて上に倒れ込んでしまった。

 良かった両方無事で……モノや生き物がある座標に移動したらどうなるかが意図せず実験出来てしまったかもしれない……同じ座標に生き物がいたら、押しのける!ってことかな。良かった、スプラッタな事にならなくて……どうもツメが甘いよなー俺……いや、だがしかし!今回は結果オーライだ!


「殿下どこ行ってたんですか?!それにキースに……この……人たちは一体……?」

「あ、探してくれてたのかヴィクター、ありがとう」

「部屋の護衛は倒れてるし殿下は居ないし、こっちは大騒ぎで探してたところですよ!誘拐なのか、自分の意思で出て行ったのか、もう、………はあぁ……ご無事で何よりです……」

「うん、心配かけて悪かったな」

「本当ですよ……他の探してる奴らにも知らせないと……で、この人たちは何です?」

「うん、キースの家族。裏ギルドに狙われてるらしくて、とりあえず安全なところにと思って」

「え、家族?多いっすね」

「まだ上にもいるんだよな?多いよなー。ま、それはさておき、急いでサミュエルとアレン呼んでくれるか?相談があって」

「今2人も殿下を必死で探してるっすよ!じゃあ呼んできますけど!この部屋にいて下さいね!すぐ戻りますから!」

「うんわかった、よろしく」

「くっ気楽に……!おーいアレンー!サミュエル様!殿下いましたー!部屋に戻ってくださーい!」

「あ、キース、家族に説明しておいて、とりあえず裏ギルドに狙われてるから移動したって事で」

「ででででんか、ここは元の宿ですよね?どうやってあんな一瞬で移動できたのですか?!」

「え、えーと竜の魔法で?」

「り、竜の……」


 嘘だけど、そういう事にしておこう……


「殿下!どこにおられたのですか!勝手に居なくなられては困りますぞ!」

「殿下、心配いたしました!いえ、殿下がどうこうなるとは考えにくかったのですが、だからこそ何が起きたのかと……!」

「サミュエル、アレン、心配かけて悪かったな!」

「それで、何があったのですか?」

「えーとそれなんだけど。今から夜明けまでの間に、この辺を拠点にしてる裏ギルドを潰しに行きたいと思います!」

「裏ギルド、ですか?」

「そう、何故ならば!裏ギルドが、キースを脅して、俺を誘拐させようとしたからです!俺に手を出すと痛い目を見るってことをわからせておかないとな、今後のためにも!」

「キースが?!殿下を誘拐?!お前なんてことを!」

「まぁまぁ落ち着いて、無事に戻ってきた訳だし。キースは夜明けまでに俺を攫って連れて来いって言われてるらしいんだ。だから、まぁ一旦さらわれたフリでもして、待ってる奴らのところに行ってそいつらをやっつけるだろ。で、その後本拠地に乗り込んで親玉を倒すって感じかな!」

「な、何ですかそのザックリした計画は……!」

「え、殿下わざと捕まりに行くってことか?!」

「いや捕まるところまではやらなくて良いけど。とりあえず裏ギルドの手下が確実にいるなら捕まえておこうかなと。あと、本拠地聞き出せると良いよな!無理だったら……どうしようかな。キースは裏ギルドの本拠地わかるか?」

「はっ、はい、いえ、わかりません……」

「そっかー。しかしわざと捕まっても、本拠地に行くとは限らないっていうか行かないだろうしなー。やっぱ手下に聞くしかないかな!あ、道とキースと家にも転がしてる裏ギルドの奴いるし、これから捕まえる奴もいるし、誰か知ってるだろ!」

「知ってはいるかもしれませんが、素直に吐くとは……」

「うーむむむ……何かいい方法あるかなぁ。ま、時間もないし、まずは待ち合わせ場所に向かうぜ!あ、そんでキースだけだと後始末とか大変だし、3人も付いてきて。いやここの守りに誰か残ってた方が良いかな?」

「……では、儂は残りましょうか……魔法では殿下のお役に立てるとは思えませんし……」

「そうだな……あ!でも俺が魔法を使ったのをサミュエルのせいにできなくなると困るから、一緒に来てくれ!」

「殿下……!儂ができない事を儂の手柄にするのは後々困るのでやめてくださいませんか!」

「ええー、それは困るな……」

「儂も困ります!」

「うーん。今回は対人だし、気絶させるくらいの話だからまぁ、物理で勝ったってことで、騎士3人でいいかな……アレンも魔法使えるんだよな?」

「使えますが、私もできない事を私のせいにされるのは困りますよ……!」

「うんうんわかった。じゃあ騎士3人で行くか。あ、一応無事に裏ギルドの奴と対面できるまでは2人は離れて隠れといて。防御とか強化する魔法かけておくからさ」

「はい、わかりました」

「えっそれ、このあいだの、やたら力が強くなったやつの防御バージョン?効果オカシイ感じのやつですか」

「安心だろ?ヴィクター」

「安心っすけど……やり過ぎ感が凄いアレですよね……」

「安全第一!いのちだいじに!でいくから!」

「はぁ……ありがたいっすけど……」

「じゃあ行こう、あ、ヴィクターとアレン馬出してきて。その間にキースの家に馬置いてきちゃったから回収してくる。宿の前に集合な!」

「はっ!」

「キースは俺と、馬取りに行こう。家族に説明できたか?ここでサミュエルとか護衛に守ってもらってて。あ、ここに居るみんなに防御アップ魔法かけておくな!」

「は、はい、一応説明はしました、が、馬を取りにですか?……ま、まさか?」

「座標移動を解禁します!サクサク行くぞ!キース俺を抱っこして」

「ざ、ザビヨイド?ですか?それが先ほどの……」


 ここに残るメンバーに防御アップ魔法をかける。

 そして、俺を抱き上げたキースとともに座標移動でキースの家の前へ。再び驚いているキースを急かして、馬と一緒に再び宿……の室内だとまずいので、町の入り口あたりの道でセーブしておいた位置データを使って移動。そこから馬で宿まで戻った。キースの目がグルグルしてる感じだが、時間がないので仕方ない!


「殿下早かったですね」

「用意できてるな?じゃあ2人は後ろから付いてきて、敵に気づかれないようにな!」

「よし、キース、待ち合わせ場所に移動!今からなら間に合うよな?夜明け」

「……はっ、はい、大丈夫だと思います」

「よーし、出発ー!」


 こうして俺はキースに攫われたフリをしつつ、裏ギルドの指定場所に向かった。


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