Germinal Asperge 昼前─英雄─
作者:「すいません、ちょっと短いです」
志庵:「なんだと!?こんな詰まらん文で短かったら使い物にならないぞ!!」
作者:「…主人公禁制だぞ」
「んで、こっからどうする訳?」
俺はさっき森で殺し合いをした集団と一緒に草原で休憩している。
「その槍の人、見事に感電してたけど生きてるの?死んでるの?」
「生きてる」
「んで銃の人もいい加減どっちか決めてくんない?俺にその短剣を向けるのか、下ろすのか」
銃の人は渋々な顔で短剣を鞘に納めた
「あっ、そう言えば自己紹介してないんだよね」
剣男はうんうん唸るばかり。
銃の人も、魔法使いさんも黙りを決め込んでいる。
槍男は───ときどき痙攣してる。
「じゃあ一先ず俺は名乗っとくぞ?俺の名前は志庵、名字は深瀬。深瀬 志庵、シアン・フカセだ。年齢は19、職業は一般人と魔法使いとゴブリンの先導者、武器はこの剣だ」
「俺はダンだ。ダンと呼んでくれ。年齢は17、職業は剣士と冒険者、冒険者ランクは一番下から二番目のD。武器は見ての通りこの剣と盾。このパーティーのリーダーも努めている。少し前に冒険者になったばかりだ」
俺より年下だったようだ。
「んでもって銃士のミアと魔法使いのサラ、そこで寝てる槍使いがディックだ。俺ら全員一ヶ月前に冒険者になったばかりで、やっとのことで魔物退治の依頼が受けれるようになって、初めての魔物退治のゴブリン狩りでついさっき見事なまでの惨敗を納めた所だ。予想外に優秀な指揮官が居たせいでな!」
「ふーん、大変だな。それより魔王の話は?」
「魔王?ああ、つい先日教会が発表したんだ。二つの異質な存在がこの世界の何処かに落ちたってな」
「何処に落ちたかとか解ってるのか?」
「片方は大体検討がついてるらしい」
「片方は何処に落ちたんだ」
「魔族の領域にある呼魔の神殿に落ちただろうって言われてる。彼処は言い伝えでは魔王を呼ぶための神殿らしいからな。ついでに破壊不可能な鉄壁の城砦らしい。だから魔王が何処に落ちたかは容易に解るんだが、問題は英雄だよ」
「何処に落ちたか解らないと?」
「ああ、人を司る神リフィア様はとても気紛れな方らしく、英雄を落とす場所も適当らしい。だから人類領域は今現在、絶賛英雄捜索中だよ」
あちゃー、俺が英雄とは言い出しづらいな。
「なんでも英雄は成長する剣を持ってるらしい」
「んで、お前はなんで魔王の事なんか気になったんだ?英雄じゃない俺らには関係ないだろ?」
「単なる好奇心だ」
「そうか。それで頼みがあるんだが、家のパーティーに入ってくれないか?」
『はぁっ!?』
声を荒立てたのは女性二人だ。
「なんで殺し合いした相手と仲間にならなきゃいけないの?私は反対」
「この人、私のアルバトロス折ったんですよ!そんなゴブリンモドキとパーティーなんか組めません」
銃に名前つけてるのか…厨二な雰囲気がするな。
ピクピクッビクンッピクッ・・・
ディックは痙攣するばかり。
「んで、君たちは俺をどうするつもりなの?何もないなら俺一人で町に行って良いか?今日晩の寝床探さないと…」
「あのさー!人が必死になって反対してるのにその態度って酷くない!?え?」
「はあ、なんで朝からこんな不毛な会話してるんだろう。しかも殺し合いした相手と…」
「だから俺が一人抜けて町に行けばいいじゃん、それで丸く収まるっしょ?」
「いや、それだとここまで連れてきた意味が…」
「まずなんで俺を引っ張ってきた訳?」
「それは戦力増強に調度いい即戦力が森に落ちてたから…」
「はあ、あの騎士団云々の話と町に連れてった後の話はなんだった訳?」
「咄嗟に考えたはったり。一般人に負けるような成り立て冒険者が騎士団の伝なんか持ってるわけないだろ?」
「とりあえず、敵を引き込もうって考えは止めた方がいいぞ」
ミアもサラも呆れてなにも言えない。
ディックは痙攣している。
「お前も何時まで痙攣してるんだよ!」
俺はディックに目覚ましの往復ビンタをプレゼントする。
「はっ、ここは天国?」
「残念ながら、天国ではない」
「ひっ、レイス!」
「誰がレイスだ!」
サラの杖が振り下ろされて、ディックは再び静かになってしまった。
「せっかく起こしたのにな」
「人を生霊呼ばわりするからよ」
「ダン、とりあえず早く決めてくれ。入れるのか入れないのか、よく話し合ってくれ。どっちでも俺は構わん」
そして会議は二対一でPK戦にもつれ込んだ。
そして結論はディック次第になった。
ディックは痙攣するばかりだ。