表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/22

Germinal Asperge 早朝─英雄─

作者:「戦闘シーンだけだからちょっと短いかな~」

俺は跳躍して見張りの女に接近して銃を炎の剣で叩き切る。

炎で伸びた分の刀身で切り付けたため、銃とぶつかることはなく、すり抜けて銃身を赤熱させる。

そして水の短槍で銃身の赤熱していない部分を突いて、水流で銃身を折り曲げる。

 

「これで一つ脅威を片付けた」


横から突き出された槍を躱して、舞う

 

ここで唯一の俺のアドバンテージは詠唱内容が分かりにくいゴブリン魔法だけだ。

 

ならばそのアドバンテージを最大限に活かすしかない。

 

俺は雷をイメージして舞う。


思ったよりも直ぐに雷球が生成された。

俺はそれを舞いながら打ち出し、続けざまに打つ。

 

そうしながら森の奥へと移動する。

 

「くそっ逃げるぞ!」

 

集団は何とか魔法の障壁で耐えながら俺を追ってくる。

 

杖を持った魔法使いは、常に何かを詠唱している。

 

きっと魔法障壁だろう。

 

そして銃の女は短剣を抜いているが、槍も届かない距離から雷球を飛ばしている俺に当たる訳がない。

 

ドッ

 

俺の後ろの木の幹に短剣が刺さっている。

 

投擲は想定外だった。

 

俺は短剣の投擲にも警戒しつつ、雷球を飛ばす。

 

そんなこんなでゴブリン達の気配がする場所まで来た。

 

集団も来た。

 

「よし、迎撃開始」

 

四方八方から飛び来るのは小石だな。

 

「ちっ、嵌められた。全員防御体勢を取れ」

  

集団は各々、盾や自分の得物で身を守る。 

 

そして一際大きな雷球がゆっくりと飛び、炸裂して辺りを満遍なく焦がす。

 

流石に魔法障壁で防がれたがそれでいい。

 

さっきまでの戦闘で判ったことだが、魔法障壁は魔法しか防がないようだ。

 

だからゴブリン達の投石は通るということだ。

 

そして詠唱している魔法使いは無防備になる、そこにゴブリン達が投石して、魔法障壁が切れた所に俺が行って杖を焼き切るって戦法だ。

 

そして再びゴブリン達の投石の嵐が始まる。

 

そして魔法障壁が消える。

 

俺はそこで突撃したが、槍男の盾に防がれた。

 

「ふっ終わりだな」

 

槍が俺に迫る。

 

だが槍男は直後吹っ飛び、紫電を迸らせて痙攣したのち、動かなくなる。


後ろを見るとメイジが、したり顔で枝を振っている。

 

俺は急いで下がる。

 

俺の居た場所にはナイフが突き刺さっている。

 

「危ない危ない…」

 

「ちっこんな足場の悪いとこでよくまあちょこまかと」 

 

剣男が悪態をつく。


「汝は水、汝は槍、その急流の如き力と、その矛を持って貫け 水龍槍」

 

女の杖の前に水が現れて、鋭利な先端を形作り激流のような勢いで飛ぶその水は長い尾を引いて飛んでいき、幾本もの木をなぎ倒すまたは貫いて飛んでいった。幸いゴブリン達は何とか避けたが、ずっと向こうまで飛んでいって見えなくなった。

 

「こえー、でもいい呼び鈴になったな」

 

森は狭い、あの激流はきっと森を貫通しただろう。

 

とりあえず隣の群れの縄張りには入った筈だ。

 

その群れが来るのも時間の問題だろう。

 

「呼び鈴だと?」

 

「お前らはまんまと俺の戦略に嵌まったんだよ。ここの向こうは別のゴブリンの群れの縄張りだ。魔法使い、お前はそこに強力な魔法を撃ち込んだんだ。追加のゴブリンが来るのも時間の問題だな」

 

「そこで取り引きだ。俺が要求するのはコイツらの安全と魔王についての情報だ、それを確約するのならお前達を逃がしてやってもいい。要求が呑めない場合は戦闘を続行する、言っておくがその場合は手加減は止める。確実に仕留めてやるから覚悟しろ?」


「どうしたもんかな…まさかゴブリン退治で命賭けることになるなんてな…このまま帰ってもゴブリンすら殺せないって笑われる、このまま戦っても死ぬだけか…わかった要求を飲もう。但し、お前にも来てもらおうか」

 

「はっ?お前、自分の立場解ってないの?」 

 

「まあ、話を聞け。ゴブリンに優秀な指揮官を与えると危険だと言うのが先の戦闘で証明された。これ以上お前を文字通り野放しにすることはできない。それに俺らだけを帰せば、町から俺らよりも強い人間が送られてくる、下手をしたら騎士団が動く。そうなればお前もゴブリン共も皆殺しだろうな。だから俺らはゴブリンの指揮官を連れて帰ることで笑い者になることを防ぎ、お前が消えることでここの森の危険度は上がらず騎士団も動かない。互いの要求をより良く満たすいい案だと思わないか?」

 

「んで、俺を連れ帰ってどうするつもりだ?処刑でもするのか?」

 

「さあな、俺らの知った話じゃない」

 

俺的には望んでもない展開だった。

これ以上ここで寝泊まりするのは無理だし、ここに居ても魔王に近づくことは無いだろう。

 

それは俺的には問題大有りだ。

 

そして機会を見計らって町に行くつもりだったから正直な所凄く嬉しい展開だった。

 

だが面倒なことに、現状俺は人間の立ち位置から見ればゴブリンを指揮した者、良ければ罪人、悪ければ魔物呼ばわりされる。

 

まあ、最悪の場合は町を滅ぼして隣町にでも転がり込むか…

 

と脳内で今後のことを予測した俺は行動に移す。

 

「それじゃあ交渉成立だな。元リーダー、これからはまたお前がリーダーだ、皆を守ってやれ。メイいや師匠、お世話になりました。皆も世話になった。これからも達者でやれよ」

 

ゴブリン達が各々片言で別れを告げる。

 

「ボス オデ ガンバル 、 ボス ミタイナ ボス メザス 」

 

「ああ、頑張れよ」

 

俺は左手に持っていた、短槍を新リーダーに渡す。

 

魔法が解けて、元に戻ってしまったが新リーダーにはおあつらえ向きだろう。

 

そして俺はさっきまでの殺し合いをしていた集団と行動を共にすることになった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ