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7/22

1/14 夜─英雄─

作者:「八月入ったら夏期休業ボーナスでストックが出来上がってなくても週一(もしかしたら週二)ぐらいのペースで不定期にポチポチ更新します。拡散希望です。感想下さい、評価欲しいです。お願いします!」

志庵:「ん?何んで土下座?」

作者:「感想をねだるポーズだよ」

俺はバイトが終わって帰り道、公園の池の周りに置かれたベンチに座っている。

空には濁色の雲が立ち込めており、俺の心には空の雲と似たような感じの不安が漂っている。


今日はテストだった。

正直な話、そんなに点数が取れた気はしない。

 

昨日のメールが気になってテストに集中出来なかったのもあるが、二週間の冬休みの間に一年近い期間で旅行に行った結果、冬休み前の事が朧気になっていたり、学び方を忘れてしまった事が原因だと思われる。


後者はそこまで酷くなかったが、前者はとても深刻な問題になっていた。


もしもあなたが、「一年前なにしてた?」って言われても大まかに答えられるだろうけど、それを詳細に解答しなさいと言われると微妙な筈だ。

その解答をする前に復習をしたとしても、やはりそこまで正確には解答できないと思う。

少なくとも俺は正確に答えられなかった。


俺は、今日のテストと重ね合わせてあの世界での初めての対人戦を思い出した。

 

朧気に覚えている振付けを元に幾つもの魔法を舞って死線を潜り抜けた。


その頃の俺にはかなり刺激的な体験だった事もあって、かなり鮮明に覚えている。

 

「浮かない顔だな、なんかあったのか?」


目の前に立っている茶髪の男性がそう言った。

彼の名は「泉 敦也」、大学の先輩でバイトの先輩でもある。

俺の住んでいるアパートから程近いマンションで一人暮らしをしている。

似たような境遇からか、とても気が合う。

そして色々な面で俺より長けていて、とても便りになるからついつい依存してしまっている節もある。

 

まあ、一部俺とは真逆な所もあるけど。

 

「敦也先輩はどうしてここに?」

 

「ああ、俺に明日のテスト勉強を手伝ってほしいって言うやつの家で細々解説してきたとこだ」


先輩はそう言いながら俺の隣に座った。

 

「また女ですか」

 

「別に女だけ優遇してる訳じゃないんだがな」

 

俺とは真逆な所はコレである。

 

敦也先輩は非常にモテる。

「万年モテ期なんじゃないか」と思うぐらいにいつも彼女?が居て、ストーカー被害も日常茶飯事、彼的にはかなり迷惑しているらしいが、「モテ期?なにそれ田舎のバス?」って感じの俺には羨ましい限りだ。

 

「それで何が有ったんだよ?お兄さんに言ってみなさい。金関係以外はどうにかしてやれるぞ?」

 

「今日のテスト、いまいち自信が無くて」

 

「なら、別の機会に単位が取れるように教えてやるよ。でも、それだけじゃ無いんだろ?」

 

「それだけですよ」

 

「嘘だな、お前の嘘は顔に出る。さっ言ってみろ何とか出来るかもしれないし」

 

「コレばっかりは先輩でも無理ですよ」

 

「まあまあ、とりあえず言うだけ言ってみればいい。無理かどうかは俺が決める」


あっちゃー、俺とは真逆な所「その二」が出てきた。

彼は俺と違って自信を持て余してる。

故にこうしてなんでも自分で判断しようとするのだ。

 

だが、異世界に行きたいとは口が裂けても言えないので適当な事を言うことにする。 

 

「全然モテないんですよ。せっかくもうすぐ春休みなのに…」

 

「なんだそんな事か、なんなら俺が二三人紹介してやろうか?」

 

「一人で結構です」

 

「お前ってほんと謙虚だよな」

 

いや、平気で浮気するのはマズイっしょ


そして俺は再び思い出に浸る事にする。



俺はしっかり眠ることが出来ずに朝を迎えた。

 

春とは言っても早朝は冷える

 

こんな寒いところで、毛布も無しで眠っていた、冬だったらどうなっていたか判らないな。

 

幸い森の中だから風はないけど、代わりに霧が立ち込めている。

 

ゴブリン達は見張りを除いて眠っている。

 

見張りがこっちを見る

 

「いや、起こさなくていい。少し散歩に行ってくるだけだ、護衛は必要ない」

 

見張りは一度だけ頷いて視線を元の位置に戻した。

 

俺は特に気にすることもなく足音を立てて森を歩く。

 

半日以上も森に居た事で、森の中を歩くのも、ほとんど舗装された道を歩くのと同じ感じになってきている。

 

ヒュッ、ドスンッ!!

 

目の前に何か振ってきた。

 

それは体長1mはあるだろうデカイムカデだった。

 

「デカっ、あっ刑事じゃないよ」

 

俺は距離を取って舞う


素早く、鋭く、キレッキレに


「称号:雷魔法使い、ゴブリン魔法の使い手が発動しました。職業:魔法使いにより補正が掛かります。」

 

すると昨日より数秒早く雷が一般人の剣の先端に集まった。

そしてその数秒で雷球は更に大きくなって、ムカデに命中。

 

ムカデの全身を電流で焼き、神経系を蹂躙した。

 

ムカデは暫く痙攣した後、静かに黒煙を上げた。

 

俺はステータスを確認する。

 

ステータス

name:Shian・Fkase

gender:male

age:19

job:common people、sorcerer、goblin leader

Lv:2

STR:18

VIT:16

AGI:17

DEX:20

INT:15

MP:74/86

equipment

・Plain Clothes

・Plain Pants

・Plain Shoes

cognomen

・fire sorcerer

・water sorcerer

・ice sorcerer

・electric sorcerer

・goblin's leader

・a struggling common people

・goblin-mage's apprentice

・user of goblin's sorcery

・adjectival angler


色々増えてる

俺が特に気になったのは「MP」だ。

魔法と魔術があるならあるだろうと思っていたが、やはり自分に魔力があると思うとテンション上がる物だな。


更に職業欄に二つ追加されていて、RPGでもあまり見ない表記の「cognomen」が追加されている。

その下はズラーっと英語表記が連ねられている。

 

心なしか一般人の剣の柄が伸びたような気もする。 

俺の成長に合わせて成長するって神さま言ってたからな、そう言うことなんだろう。

 

俺はそのまま歩みを進めて森を出る。

 

草原は晴れており、草が風に揺れている。

 

遠くに白煙が見える。

 

どうやらこんなところで一晩明かしたやつが居るらしい。

まあ、俺もそうだけどさ


俺は白煙の根本が何とか見える位置まで森を進んで、霧に紛れつつ様子を伺う。

 

武装した女が一人、眠っているやつが三人、猟犬と思われる犬が二匹

 

置いてある武器は、剣が一本と盾が二枚と杖が一本と槍が一本、そして銃?が一丁

 

明らかに獣を狩りに来た訳ではなさそうだ。


「草原には特に何もないし、有るとしたら森の中か…」

 

そして森の中には俺が世話になっているゴブリン達の他にも幾つかゴブリンの集団が有るらしいが、それ以外に強力な魔物は居ないらしい。

 

デカイムカデは魔物じゃ無いから除く。

 

これはさっさと戻って移動した方が良いか

 

俺はパパッと考えを纏めて歩きだす。

 

パキッ

 

あっ小枝踏んだ。

 

見張りの女がこっちを見る。

 

目があっちゃった…

 

俺はオイッスのポーズをして、一礼して、手を振って森に入った。

 

そのあとは必死こいて走った。


後方から爆発音がしたが気にしない。

気にして戻ったら間違いなく殺される。

 

そして元の森まで戻ってきた。

 

「ぜぇ…はぁ…ぜ、全員起こせ…い、移動する…」

 

「ドウシタ ?」

 

「武装した人間が来ている。狙いは恐らくお前らだ」

 

「ニンゲン マタ キタカ 。」

 

「だから急いで逃げる準備しろ」

 

「ニゲル ムダ 、 モリ セマイ 、 ホカ スムトコ ナイ」

 

「森はそんなに広くないんだな?」

 

「モリ セマイ スコシ アルク ベツ ムレ イル」

 

「なら森の奥まで入ってきてもらうか、一先ず全員起こして戦いなれてないヤツを連れて森の奥まで行け。元リーダー、起きろ!」

 

「ワカッタ オキル ナンダ ?」

 

「戦いなれてないヤツを連れて森の奥に逃げろ。近くの違う群れの所まででいい。戦い慣れているヤツは俺と一緒に人間を誘導するぞ!メイジ、元リーダーに従え。」

 

「ワカッタ 、 オク デ マッテル」

 

そして寝起きのゴブリン達はゴブリン二人を残して、他はキビキビ動いて森の奥に向かった。

 

「んじゃ、今から来る人間に一泡吹かせるぞ」

 

「ワカッタ ドウ スル ?」

 

「オデ シジ シタガウ」

 

「それじゃあ俺にこの剣を突きつけて外縁を歩いてくれ」

 

俺はゴブリンに一般人の剣を渡して森の外縁まで出る。

 

おっ、来た来た。

 

確り武装した集団が向かってきている。さっきの女が先頭だ。

 

さっそく二人に演技を始めてもらう。


集団が走って向かってくる。 

 

おっ、引っ掛かったな。

 

俺は森の中へと走り出す。

 

ゴブリン二人はそのまま俺に殺気を当てまくって走る。 

驚きの演技力だ。

 

そして元の場所まで来たら。

 

一人には残って貰い、もう一人には皆に迎撃の準備をするようにと伝言を頼んだ。

 

俺は足元の枝を拾う。

 

先端に石が括り付けられている。

 

元リーダーの枝だ。 

いや、他にもたくさん落ちている。

いよいよを持って謎だ。

 

走ってくる音が聞こえる。

 

「んじゃ、そろそろ剣を返してくれ。それと俺が合図したら皆の所に行って、元リーダーに伝えてくれ、『もし俺がそっちに行かなかったら、次のリーダーはお前だ』って」 


「ワカッタ」 

 

俺は剣を受け取り、迎撃の準備を整える。

 

走ってきた集団は剣を持って隣にゴブリンを侍らせる俺を見て止まる。

 

「ど、どう言うことだ?なんでゴブリンと一緒に…襲われてたんじゃなかったのか?」

 

「なんで、もう一匹のゴブリンは何処?」

 

「くははは、傑作だな。こうも容易く引っ掛かると笑いが止まらないな」

 

「どう言うことだ?」

 

「さあな、まだ教えるには早い。さっお前も奥へ逃げろ。行け!」

 

ゴブリンはジグザグに走って森の奥へ消えた。


「そうか、お前が魔王か」

 

「魔王?その単語には興味がある。後で生きてたら教えてくれ」

 

俺は片手に剣、もう片方に元リーダーの枝を持って舞いながら走る。

 

片やメラメラと燃える炎のように、片や池に揺蕩う波のように

 

「ちっ、魔法が来るぞ。障壁展開!」

 

集団の前にガラスの壁のような物が表れる。


俺は剣に炎を纏わせて炎の刀身を形作り、枝の先端の石に水を纏わせて短槍にする。

 

「造形か、随分小洒落たゴブリン魔法だな」

 

「俺流だ、一宿一飯の恩義は全力で返さないとな」

 

俺は生まれて始めての命を賭けた対人戦に挑むことになった。

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