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Germinal Platane 黄昏─魔王─

作者:「間が開いてしまってすいませんでした。ちょっと書きにくい所を書いてまして、暫く時間が掛かる日が増えると思いますがご了承ください」

私は、黄金の光が差し込む部屋で剣を振るっている。

 

かれこれ四時間ぐらい休憩を挟みながら、ゆっくりと浮遊してくるカラフルに光る球体を魔術が付与されて紫電を迸らせる刃で切り伏せる。

 

右から、前から、左から、後ろから

 

四方八方から隈無く襲い来るソレをあらゆる手段を用いて消滅させる。

 

もう十何度目かの表示が視界の上の端に表示される。

 

「Lv17からLv18に上がりました。称号:魂魄切断者(ソウルリーパー)を入手しました」

 

この球体はメルが魔法で作っている闇の眷属らしい。

なんでも魔力が尽きない限り無制限に魂も意思も無い、ただただ主人の命令に従う疑似生物を作り出す事ができるらしい。


今、私はその疑似生物と安全な戦闘をすることでレベリングをしている。

 

ラサールが間に合わせで用意してきた直剣を使って襲い来る(当たっても少し熱い程度の)球体を片っ端から斬って、殴って、倒しまくっていた。

 

因みに凄く弱く設定されているらしく、剣で殴った感じはそんなに固くないクッキーみたいだった。

 

それに加えて、レベリングの途中で獲得した称号「ルーンナイト」のアシストで剣に魔術を付与できるようになったことで、サクサククッキーはサクサクラング・ド・シャぐらいまで柔らかくなった。

 

いい加減私は疲れてきたが、メルは涼しい顔で球体を大量生産している。

 

ラサールは西日に照らされて黄金色にキラキラ輝く長髪を振り乱して何かを踊っている。

 

そんな事を考える間も球体は次々と量産され、私に向かってゆっくりと浮遊してくる。

 

私、なにやってるんだろう

 

着々と堆積していく疑問と矛盾から目を背けて迫り来る球体を斬り伏せる。

 

真っ二つに切り裂かれた球体は光となって砕け散る。

 

色取り取りの光の破片が空中で躍り、西日に当てられて金色に輝く。

 

疑問は絶えないが、この世界は美しいと私は思った。


 

 

そして日は落ちて、空は漆黒と朧月を讃える

 

「お疲れ様でした。今日の所はこのぐらいにしておきましょう。マキ様もお疲れでしょう?このあとは夕食をお召しになって、お部屋でお休みください」


白いエプロンを着けたラサールが束ねてポニーテールにした髪を揺らしながら入ってくる

   

「マキ様、お食事の準備が整いました。どうぞこちらへ」

 

「もしかしてラサールが作ったの?」

 

「確かに作りはしましたが、私ごときが作るものなど、そこまで大層なものではありませんよ」

 

そう言われて通された部屋には、テーブルクロスの敷かれた長机が置かれていた。

このテーブルと言い、置かれた燭台と言い、やっぱり北欧っぽいんだよね~

 

そして流れるように誘導されてすわった場所は長机の一番端

 

それもお誕生日席だ。

※お誕生日席とは長方形のテーブルの辺の短い方の席のこと。

 

更に二人が両脇に座る訳でもなく、ラサールは厨房とこの部屋を行ったり来たりし、メルは私の右後ろに控えている。

 

「メルも一緒に食べない?」

 

「魔王陛下と同席するなど、そんな畏れ多い事は私にはできかねます」

 

「マキ様、メルは立場上食べていい物が教典において定められているのです。どうか同席出来ない事をお許し下さい」

 

片手鍋をかき混ぜながら出てきたラサールが助太刀に入った。

 

「そうなんだ。無理を言ってごめんなさい」

 

「いえ、滅相もない。マキ様にのみ忠誠を誓えない私めをお許し下さい」

 

「いやいや、私の方がお世話になってて何のお礼も出来てないから、そんなに謙らないで」

 

「また、ご無理を仰る…」

 

これ以上は堂々めぐりだということで、私は大人しくラサールが料理を運んでくるのを待つことにする。

 

「お待たせいたしました。少々温め直すのに時間が掛かってしまいました。どうぞお召し上がりください」

 

私の前には琥珀色のスープが注がれた銀食器が置かれる。

 

私は地球におけるテーブルマナーを極力思い出して一番外側に置いてあるスプーンを手に取る。

 

「こほんっ。マキ様、このような場合カトラリーは内側から使うのですよ。初めてなのでしょうがないね。これから覚えていきましょう」

※劇中のみのマナーです。現代日本ではカトラリーは外側から使うのが正しいです

 

「あっ、そうなんだ。教えてくれてありがとう」

 

「いえ、王佐として当然の事を考えるしたまでです」

 

改めて内側のスプーンを持った私は、スープを飲む。

 

あまり見ない色だったからどんな味か気になっていたが、普通のコンソメスープだった。

 

「なんだ普通のコンソメスープか」と言いたくなったがソレは喉元で堪えて「美味しい」とだけ言っておいた。

 

そのあとは特にマナーで注意される事もなく過ぎて。

因みに献立は、先ほどのスープと、ちょっとこってりしたスープとビーフシチューっぽい(何の肉かは解らない)と、ステーキ(同じく何の肉かは解らない)と、デザートになんか梨っぽい実をカットした物だった。

 

話し相手は居たものの、一人誕生日会のような形式で初めての晩餐を終えた。

 

そして私は今、かなり豪奢な部屋のベッド(天蓋付き)で寝転がっている。

 

部屋は20畳程度でテラスは無いが大きめの窓はあり、ガッチリした鉄格子が嵌められている。

 

一応言っておくけど、寝室だけだよ?

 

リビング?リビングは無い。

 

なんでもここは魔王召喚の儀の為だけに作られた神殿らしい。

 

一日二日過ごす程度にしか作られていないらしく、故にその程度の設備しか備えられていないとのことだ。

仮にも一国一城、いや魔族全ての王を呼ぶ場所であるが故にここまでしっかりした設備が用意されているが、必要性が薄かったのかリビングは用意されていない。

 

ラサール曰く「この建物全てが魔王陛下の物なので何処で寛がれても構いませんよ?」

 

「この神殿の全てがリビングです」みたいな事を言われてしまった。


ベッドはめっちゃ大きい、窓もそこそこ大きい、でもテラスないし、もちろんの事テレビないし、と言うかソレっぽい家具がないし、ARgleないし、話し相手は居るけど…

口を開けば

「大人しくお休みになってください」

剣を振っても

「大人しくお休みになってください」

ステータスを表示しても

「半日足らずでかなり成長されたご様子で流石はマキ様」

いや、ステータスを表示した場合は違ったか…

 

と全く娯楽が無いので大人しく寝ることにする

 

あっ言い忘れた、お風呂は温泉かけ流しだったよ。



こうして私の1日目は場に流されてあっという間に過ぎていったのだ。

私は目尻に溜まった雫を拭き取り、左手を振り下ろす。

だが見慣れたステータスが表示されることはない。

私は一つ白い溜め息を八階から落として、部屋の中に戻った。

作者:「もっと更新ペース上げて欲しかったら評価に5をポチポチしてください。感想をポチポチしてくださっても嬉しいです」

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