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Germinal Platane 昼過ぎ─英雄─

作者:「お久しぶりです。なんとか一話書けたので一話更新します」

俺率いるゴブリンズは池で魚の血抜きをして森まで戻ってきて、夕飯の準備を始めた。

 

そしてある問題に直面した。

 

火が使えない。

 

テレビとか小説とかで木を擦り会わせて摩擦で火を起こしたりするから何度か試してみたことはある。だが19年間生きてきて一度たりとも煙が出たことはない。

 

「なあ、お前ら火使える?」

 

「オデ ヒ ツカエナイ デモ マジュツシ ヒ ツカエル」

 

「ゴブリンにも魔術師がいるのか」

 

「ゴブリン ガンバッテ マジュツ ヲ ツカエル ヨウニ ナッタ」

 

奥から「いかにも魔術師です」って格好のゴブリンが出てくる。

こいつは他と違って頭が良さそうだ。

何てったって助詞を使ってる。

 

「えーと名前とかある?」

 

「ナイ ワレラ ゴブリン ハ ゼンタイイシキ ヲ タカメル タメニ コ ヲクベツ スル モノ ヲ ツクラナイ」

 

こいつ、もっもしかしたら俺より頭いいかも…

流暢とは言えないが助詞を駆使して難しい内容の話をするゴブリンに驚きつつ話に耳を傾け続ける 

 

「ダガ ニンゲン ハ コ ヲ クベツ スル 。ニンゲン ハ ワタシ ヲ ホカ ノ ゴブリン ト クベツ スル タメニ ワタシ ヲ 、 ゴブリンメイジ ト ヨブ」

 

「メイジか、メイジは火が使えるんだよな?」

 

「ツカエル 、 ツカウカ?」

 

「ああ、あそこの木が組んである所に頼む」

 

「ワカッタ 、 エンソウ ハジメロ」

 

「えっ演奏?」

 

ゴブリン達は各々、木の棒やボロボロの盾や車輪など思い思いの物を持ち、何らかの方法で音を鳴らす。

 

そのバラバラの音は一定のリズムを刻み始め、メイジは手に持った杖を振って踊り始める。

 

「踊るの?ありがちな呪文を唱えたりしないの?」

 

メイジは踊り続ける。

 

その踊りは荒々しく、燃え上がる炎を現している様だ。


すると杖の先端に小さい炎の球が出現する。

 

そして、メイジによって打ち出された火球はみごと組んだ木にあたって燃え上がった。

 

「おおー、魔法だー!始めてみた。こう言うのって幾つになってもテンション上がるもんだな」

 

「ウム オキ ニ メシタヨウ デ ヨカッタ」

 

「俺も魔法使えるかな?」

 

「オドリ ノ サイノウ ガ アレ バ レンシュウ シダイ デ ツカエル カモ シレナイ 。ソレト マホウ ジャナイ マジュツ ダ」

 

「魔術と魔法の違いって?」

 

「マジュツ ハ ワレラ マ ノ ケンゾク ニ ノミ ユルサレタ チカラ 。 ミズカラ ノ タイナイ ニ マリョク ヲ ヤドラセテ キセキ ヲ オコス 。 マホウ ハ ニンゲン ガ マジュツ ヲ マネテ ツクッタ モノ 、 エイショウ スルコト デ タイガイ ノマリョク ヲ イチジテキ ニ シエキシテ キセキ ヲ オコス 。」

 

「そうなんだ…」

 

「ワタシ ガ ツカッタノ ハ ドチラデモアリ ドチラデモナイ 。 ヒト ハ ゴブリンマホウ ト ヨブ 。」

 

「ゴブリン魔法か」

 

ピロン!

視界の上の端に「!」マークと小さい文字で「魔法、魔術に関する知識を取得したため、ステータスのMP確認欄が解放されました。魔法の使用が可能になりました。魔術の使用が可能になりました。」と表示された。

  

「 タイナイ ニ ヤドラセタマリョク ヲ ツカイ エイショウ ノ エイキョウリョク ヲ オオハバニ キョウカシテ 、 オンガク ト オドリ ヲ ジュモン ト シテ エイショウスル コトデ 、 ゴブリン ノ マジュツ ノ ヨワサ ト 、 エイショウ ノ エイキョウリョク ノ ヒクサ ヲ カバー シテ 、ホカノ シュゾク ノ マジュツ ト ドウトウイジョウ ノ コウカ ヲ ハッキサセル コト ガ デキル」

 

「ふむ、何故他の種族は真似しないのかな?」

 

「ニンゲン ハ ワレラ ヲ ウスギタナイゴブリン ト ヨブ ノハ シッテイル ダロ ? ソシテ ワレラ ハ マゾク カラモ チカラナキバンゾク ト ヨバレテイル 。 ヤツラ ハ プライド ガ タカイ 、ユエニ ワレラ ヲ ケイベツ シテ ワレラ ノ マネ ハ シナイ 。」

 

「人間からも魔族からも軽く見られてるのか…悲しい事実だな」

 

「ダガ ワレラ ハ コレデ ヨカッタ ト オモッテイル 。 ワレラ ハ ユタカナクラシ ヨリ ヒビノアンネイ ヲ オモンジル 。 」

 

「ふっ、爺臭い考え方だな」

 

「タシカニナ ワタシ モ ムカシ センダイ ニ キカサレタトキ ハ ソウイッタ」

 

「さて、ささっと晩飯の準備するか」

 

俺は魚が乗った鉄の盾を火に掛けた。

 

そして、焼き魚と果実という変な組み合わせの晩飯を食べてから俺は、メイジにゴブリン魔法を教えて貰った。

 

流石にいきなり踊れる訳もなく、三時間程付きっきりでミッチリ教えて貰った。

そしてやっとのことでさっきの火球の魔法の振付けをマスターした。

が、魔法は発動しなかった。

 

メイジ曰く

「フリツケ ハ カンペキダガ 、 アラアラシサ ガ タリナイ 、 モット ホノオ ヲ ヒョウゲンシナイト ダメダ」との事だ。

 

そのあと、複数の魔法の振付けとそれを発動させる為に意識すべき事を聞いた。

 

色々と教わったが一概に言えるのは確りとしたイメージを持つことだった。

明確かつ三次元的なイメージを強く意識して、それを踊りで表現することで魔法は発動するらしい。

 

一通り振付けを教わったあと


俺は一般人の剣を持って、ひたすら舞った。

 

時に炎のように荒々しく、時に海原のように雄大に、時に雷光のように鋭く、時に氷のように冷たく滑らかに


そして再び火球の魔法を発動させようと舞った。

既に教わった振付けは朧気になって半分以上自己流になっているが、今までで一番手応えがある。

 

すると遂に一般人の剣の切っ先に小さな火の玉が出現した。


 

「キタコレ!遂に成功!イェェーーイ!!」

 

俺はゴブリン達も寝静まった(見張りは起きてる)夜に一人ジャンピングガッツポーズを決めた。

 

そのあとはホイホイ魔法が成功するようになり、火球もさっきの五倍近い大きさで撃てるようになった。

 

その他の、属性魔法も続々と撃てるようになり、遂には幾つか称号まで手に入れてしまった。

 

「Lv1からLv2に上がりました。称号:炎魔法使い、水魔法使い、氷魔法使い、雷魔法使い、ゴブリンの先導者、奮闘する一般人、蛮族魔術師の弟子、ゴブリン魔法の使い手、新人釣り人を入手しました。職業欄に魔法使い、ゴブリンリーダーが追加されました。」

 

「一気に色々手に入ったな」

 

そして俺はレベルアップによる興奮でまともに眠れずにその夜を過ごした。

 

 

と言うのが、俺の異世界生活一日目だった。

まさか英雄になるはずの俺が初っ端ゴブリンのリーダーになるとは、神様も予想してなかっだろうな。

だが、俺の異世界生活においてコレは大切な思い出であるのと同時にただの序章に過ぎなかった。

 

俺はベンチから立ちあがり、家路に付いた。

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