Germinal Platane 昼前─魔王─
作者:「今、行き詰まってます」
ラサール(以後ラサ):「それはどんな風に?」
作者:「ネタバレになっちゃうけど、マキちゃんとシアン君をどんな形で会わせるか迷ってるんだよね~」
ラサ:「シアン?どなたの事ですか?まさか英雄!」
作者は徐にペンライトを取り出し
作者:「お前は何も聞いていない、気がつけばここでの事は忘れている事だろう」
ラサ:「よくわからないが英雄はシアンと言うのだな!すぐに探さねば」
作者:「…お前は知りすぎた」
グキャッ
ラサ:「…ぁあ…」
作者:「召喚する奴間違えたな。早くアレ出ないかな~アレが出たらもうちょっと楽しめるのに」
気がつくとそこは豪奢な広間だった。
床全面に磨き上げられた黒い大理石が使われており、柱や壁にも凝った装飾が施されている。
私はその広間の一段高くなった場所に置かれたこれまた黒い大理石から削り出されたと思われる玉座に座っている。
「ここは…」
「お目覚めですか?」
その男は玉座の横に立っていた。
「お初にお目にかかります篠崎 槇様。私はジョエルと申します。魔を司る神、人風に言えば魔神をしております」
「はあ」
「唐突で大変申し訳なく思っては居るのですが、既に巻き込んでしまった事なので最後まで付き合ってください」
「私、何かに巻き込まれたんですか?」
「ええ、大変厄介なものに」
「稼働中の生産ラインのベルトコンベアーよりも?」
「ええ、走行中のパンツァーのキャタピラーに巻き込まれたのと同じくらい面倒な事に巻き込んでしまいました。私、双子の妹が居るのですが」
魔神ジョエルは身の上話を始めた。
「それがまた跳ねっかえりの強い妹で、ことあるごとに向こうから突っ掛かってくるんですよ」
ふーん
「それでこないだ喧嘩になりまして、流石に私共がガチバトルしたら、この世界も滅びかねないので、お互いに代理を立ててゲームで競うことにしました。妹は魔を打ち払う勇者を私は魔を率いて魔を守る魔王を代理として召喚して代わりに戦ってもらうことで勝敗を決めようと言うことになりまして…幸か不幸かあなたは魔王に選ばれました」
「選ばれたんじゃなくて選んだんじゃないの?」
「確かに選んだのは私ですね。RDDと似た方々によりランダムに作成したメールアドレスを対象に『下を見ろ』とだけ書いたメールを送って、下を見てかつその直後に致命傷を負って瀕死の状態に陥った人間を更に『阿弥陀籤』で選りすぐってこの場に召喚させて頂きました」
「要するにほぼほぼランダムに選んだんですね」
「そう言うことです」
「それでここは何処何ですか?」
「ここは私が次代の魔王様とお会いするに相応しい場所を用意しようと考えて作った『魔王城の謁見の間のレプリカ』です」
「それで私はこれから何処へ行くの?」
「あなた様を呼ぶ者達の所です」
「だいたいわかった。要するにあなたはランダムに魔王を選んで、それが私で、私はこれから異世界で魔王をする。ここまでO.K.、で私の元の世界の体は瀕死なのね。このままこっちの世界に居ると元の世界の体はどうなるの?」
「このゲームが終わった時にあなたが死んでいた場合、元の世界の体も死にます」
「ゲームの勝敗の基準は?」
「あなた様が勇者の驚異から魔族を守れば、あなたの勝利。あなたは元の世界に戻ります。あなた様が何かしらの理由で死亡した場合、あなたの敗北です。あなたは死に、元の世界の体も死にます。単純で明快なデスゲームですよ。では健闘を祈ります」
そして私は一言言う間もなく光と轟音に包まれた。
光と轟音が治まると、私は先程と変わらず玉座に座っており。
そこは、さっきのレプリカの部屋と同様に床全面に磨き上げられた黒い大理石が使われている。
だが先程の部屋と違って、窓がなく、床に薄く白い線で大きな魔法陣が描かれている。
「魔王様、ようこそいらっしゃいました」
私の前には背中まである白い長髪を下ろした男性と髪を肩で切り揃えゆったりとした黒いローブを着た女性がそこに跪いている。
「あなた方が、私が守るべき人ですか?」
「いえ、私の使命は魔王様をお守りすることです。魔族ではございますが、私を守る等と言う事はお止めください。申し遅れました、私はラサール・フォンシュメールと申します。前任魔王陛下の下で王佐として勤めておりました。この度は次代の魔王陛下にお仕えする為に魔王召喚の儀に参加させて頂きました。お会いできて光栄です。どうぞこのラサールを手足のように扱き使ってくだ」
「ラサール長い、少し黙って。お初にお目にかかります次代の魔王陛下。この度の魔王召喚の儀を執り行いましたメル・サマリカルトと申します。第23代魔神教大司教を勤めております。召喚の直後で驚かれていらっしゃると思いますので、今の内に存分に驚いておいてください」
「えっ、今の言葉に驚きなんだけど」
「民の前で驚かれては魔王として示しが着きませんからね」
「じゃあ、民の前で驚かなくても良いように現状を説明してくれる?」
「ええ、勿論です」
再びラサールが喋り始めた。
「我々、魔族はこれまで幾度となく我らを守護し導いて下さる魔王様の召喚を行いました。ですが何れの魔王様も人間と戦い、滅びていきました。そして今でも人間は魔族を襲い、魔族の命を削り続けています。そして我々は今度こそ真の魔王様をお呼びするためにこの度の魔王召喚の儀を執り行いました。そしていらっしゃったのが、マキ・シノザキ様あなたなのです」
「なっなんで私の名前を?」
「身分確認の魔術を使用させていただきました」
「身分?」
「身分です。人間共はステータスと呼ぶらしいですが」
「ステータス確認ってどうやってすれば?」
「まさか身分確認の方法を知らないのですか?」
「ラサール、陛下は今しがた異界よりいらっしゃったばかりです。彼方と此方では異なることも多いでしょう。そこをカバーするのが本来の私共の役目であった筈ですよ。」
「ではマキ様、左手で下に向かって線を書いてください。いえ、上の方にある板を指先で下ろすと言えば宜しいでしょうか」
私は普段ARgleを操作する時と同じ要領でウインドウを引き出す。
そこにはARgleのメニュー画面のように無数のアイコンが並んでいる訳ではなく、代わりに「ステータス」という見出しの表が表示されていた。
ステータス
name:Maki・Shinozaki
gender:female
age:19
job:the Princess of Darkness
Lv:1
STR:13
VIT:14
DEX:28
INT:27
MP:48
equipment
・coal-black Mantle
・coal-black Pants
・coal-black Boots
・coal-blackhairornament
「あれ?私、いつの間に着替えたんだろう?」
「マキ様はこちらにいらっしゃった時には既に今のお姿でしたよ」
私は羽飾りの下にあるだろうARgleを外そうと右耳に触れる。
がそこにはなかった。
「あっARgleがない!」
「アーグルとはいったいどのような物なのですか?」
「このぐらいの大きさのこんな形の白いやつ」
「見当たりませんね」
「そうだジョエルさんだ!私の体は今、元の世界で瀕死の重症を追ってるってことは、私の体はここには来てないから、ここにARgleがなくて、服が変わってるんだ!」
「瀕死の傷とはどう言うことですか?」
「魔王召喚における代償です。ジョエルさん、魔を司る神が私を選ぶ時の選定条件に瀕死の状態に陥るというのがあったので」
「魔神様にお会いになられたのですか?」
「ちょっと話を聞くぐらい時間でしたけどね」
「これであなたが真の魔王である可能性が増しましたよ。とりあえず魔族の現状についてご説明ししましょう。メル」
「私も国外まで把握している訳ではないので国内の情報だけですがご説明させていただきます」
そこから約30分、確りと魔族の現状についての内容の濃いお話を聞きました。
要約すると、
現状、魔族はバラバラに動いており、魔王を名乗る不届き者が後を絶たないとのこと。魔王城は先代魔王が滅んで久しい為に廃墟同然となっている。不思議なことに魔王を名乗る者は後を絶たない割りに魔王城跡地に住み着くものは以外にもいないらしい(魔王城跡地に住み着く者は居なくても城下町に住んでいる者は多いらしい、何でも先代魔王の加護を信じてるとか)。現在、私の配下はラサールとメルの二人とラサールの配下(約500人)と魔神教信者達(数えてないから正確には解らないらしいが約50,000とのことだ)だけらしい。
私的には魔王就任一日目にしては十分な数だと思う。
ラサール曰く、「人数的には十二分に居ますが、戦闘員の数が少なすぎて他の似せ魔王を一掃するには力不足でしょう」との事だ。
メル曰く、「とりあえず、民の心を掴むためにも魔王陛下のレベルを上げましょう」との事だ。
と言うことで魔王城に行くまでに「れべりんぐ?」をすることになった。
作者:「前書きの通り行き詰まってます。行き詰まってますがあまり放置するのも良くないので前の発言を破って投稿しました」
ゴブ:「オマエ ガチ クソヤロウ」
ゴッグチャッブシュッ
作者:「発言には気をつけたまえ。俺の獲物は五寸釘とハンマーだ覚えておけ」
ゴブ:「モウ シヌ」
作者:「と言うことでストックが1話減りました。感想とか評価とかで今後の展開へのそれとか文章の改善点とか教えて下さい。あ、『英雄と魔王のどっちかが死ぬはずだろ!』って言う指摘は受け付けません、そういう仕様ですので。感想と評価待ってまーす」