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俺、色々と折れてしまう

「なんじゃこりゃ……」


顔のあちこちに力を入れてみる。

口は動く。


「……凄く」


━━だが。


「無表情です」


凄く無表情だった。


まるで自分がモナリザにでもなったかのよう。

何故こんなことになったのだろう。

色々あってストレスでおかしくなってしまったんだろうか?

もしかして顔面神経麻痺?

だけどまぶたは普通に閉じるし……。

考えれば考えるほどわからなくなる。

そして考えに考えた結果。


「まぁ、別に無表情でも困らないしいっか!」


という結論に達した。

明日の事は明日の俺に任せるのさ。

というわけだから、俺は今から昼寝するぜ!

じゃあな!



夜、俺は浴槽に浸かりながら今日の事を思い返す。


「女ってこわいなぁ。あんなに手のひら返すとか……流石、男はフォルダ保存女は上書き保存って言われてるだけあるよ。俺には理解出来ないね」


そして「あーあ」と何気なく自分のグ●ンラガ●を見つめる。


「ん?」


俺はそれを見て違和感を感じた。


「あれ? これ折れてね?」


折れていた。


普通、男のドリルというのは本物のドリルのように硬くはなるが、芯となる骨は存在しない。

神経や血管がなんやかんやあってあの硬さを実現する事が出来るのだ。

故に骨折などありえない場所である。

だというのに、だ。


俺のグレ●ラ●ンは折れていた。

中間からポッキリと。

それはもう見事な天元突破をしていた。


「兄貴ィィィィィィッ!!!!!」


俺は泣いた。


「うるせぇな! 父ちゃんも入りてぇから早く出ろよ!」


俺はすぐに風呂を出た。


「兄貴は死んだ……もういない……」


そして俺はもう一度布団で泣いた。

いつの間にか俺は寝ていた。



翌朝、目を覚ますと俺はスッキリとしていた。


「いってきます」


登校しながら一人考える。


理由は分からないが俺はどうやら色々と折れてしまったようだ。

●レン●ガン、そして「心」も。

昨日、一応泣きはしたが特に悲しくはなかった。

自分の兄貴が一度の「ギガドリルブレイ●!」を実戦で放つことなくお亡くなりになったにも関わらずだ。

病院に行くことも考えたがやめた。

恥ずかしいのもあるが、日常生活を送る上では支障がなかったためだ。

まぁ一番の理由はめんどくさいからだけど。


「ま、分からないこと考えたってしょうがないよな。ん?」


今も宇宙に漂っているであろう誰かと同じように考えるのを止めたそんな時、俺は路上で不良に絡まれている女子生徒を見つけた。


「は、離してください……!」

「オラァッ! 俺が昨日寝ずに考えた一発ネタを見ろやぁっ!!」

「イヤァッ」


さて、学校行くか。


「フッフッフ……おかげで今日は頭がクラクラするぜぇ!」

「誰かぁっ!」


あー無理だわこれ。

声かけないと通れないやつだわこれ。


「誰も助けになんか来やしねぇよ! だからおとなしく」

「助けてぇっ!」

「聞けやコラァッ!」

「あの、すいません」


急に割り込んだ俺を睨みつけてくる不良。


「何だお前オラァッ」

「いやここ通りたくて、通学路なんで」


二人が立っていたのは俺の通学路だった。

しかも結構狭い道。


「おう、そうなのか。スマンな」


意外に物わかりいいなこの不良。

顔コワイけど。


俺が歩きだそうとしたその時、絡まれていた少女が俺の腕に抱きつく。


「助けてください! この人に絡まれてるんです!」


ちょっと、今それはまずいですよ!


退こうとしていた不良もそこで動きを止めた。


「おっとそこの女をかばうってんなら話は別だなぁっ! お前にも俺の一発ネタを見てもらうぜぇっ!」

「お願いします! 助けてください!」


ジリジリと詰め寄られる俺。


どうする俺!?

どうすんのよ、俺!?



「ありがとなお前ら! またくるぜ!」


不良は一発ネタを披露し帰っていった。

面白いかどうかはわからなかったが、なんかこう……ガッツは感じた。


「おう、もう来なくていいぞ」


俺はそう言って不良に手をふる。


「あの、さっきは助けていただいてありがとうございました!」


振り向けば女の子が俺に頭を下げていた。


「いや、俺全然頭を下げられるようなことしてないから」


これは本当で俺はさっきの不良の一発ネタを見ただけである。

ていうかこの女の子も最初から一発ネタを見ていればすぐに解放されたのではないだろうか?


「あの、ワタシ天野原高校1年生の西園遥(にしぞの はるか)っていいます。その制服ってウチの高校のですよね?」

「あぁ、うんそうだけど。君、俺の後輩だったんだ」

「えっ!? ということは2年生なんですか!? ちなみにお名前を伺っても……?」

「佐藤拓也だけど」

「……ウチの学校に……しかもこんなにクールで素敵な先輩がいたなんて……」

「え?」


よく聞こえなかったので聞き返す。


「いーえなんでもありません! これからよろしくお願いしますねせ・ん・ぱ・い」


彼女は首をふりニコッと笑ってそう言った。

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