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俺、○○を助ける

新キャラ登場!

注:シュール過ぎて途中意味がわからなくなるかもしれませんが、お使いの端末は正常です。あらかじめご了承ください。


「タクヤン! ニュースだニュース!」


朝、俺が教室に入るといきなりサラダが天井から降ってきた。


「まず俺はお前の登場のしかたにビックリしてるよ。それでニュースって?」


するとサラダは内緒話をするように俺の耳元に顔を寄せた。

なんか呼吸が耳に当たってゾクゾクす……


「今日転校生が来るんだってよぉぉぉっ!!!!」


んあああああああああっ!!!? 耳がぁっ!!! 耳がぁぁぁぁっ!!!



「なふるほほれーらろ(訳:殴ることねーだろ)」

「ビンタで済んだだけありがたいと思えよ?」


まだ耳がキーンとして痛い。

今頃、俺の耳のカタツムリ君はビックリして自分の殻に引きこもっていることだろう。

カタツムリや、ここに晩御飯置いておくからね?

いつまでも引きこもってないで顔を見せとくれ……。


「それで話の続きなんだけどさ」

「復活早いなお前」


サラダはニヤニヤといやらしい笑顔(スマイル)を浮かべた。

イヤな予感しかしない。


「その転校生ってのがスゲー美少女なんだってよ!」


やはりか……。

何故コイツはいつもいつも女の話しかしないのだろう。


俺が呆れているとすぐに担任の教師が教室に入ってくる。


「おはよう、全員席につけー」

「おっと、噂をすれば来たみたいだぜ!」


そう言って阿波踊りをしながら席に戻っていくサラダ。

……お前のそういうワケがわからないところ、俺は嫌いじゃないぜ?


「突然だが今日はみんなに転校生を紹介したいと思う。さぁ入りなさい」


教壇に立った担任が教室の外にそう呼び掛けると一人の少女があらわれた。

瞬間、教室内の全員がその姿に目を奪われる。


銀色の髪、彫りの深い整った目鼻立ち、そしてモデルかと思うほど抜群のスタイル。

おそらくハーフか何かなのだろう、まさに美少女と呼ぶにふさわしい完成された容姿だった。

欠点らしい欠点といえば少し眠そうな目をしている事くらいである。


「……(ひいらぎ)アリス、よろしく」


彼女は小さいがよく通る声でそう自己紹介をするとペコリと頭を下げた。


「じゃあ柊の席は……あぁ、確か木目杉(きめすぎ)の奴がちょうど大麻やって退学してたな。ほら、そこの席だ」


そして柊は俺の隣の席に座った。


「……よろしく」

「うん、よろしく」


マジかよオイ、ていうかあんたは受け持ちクラスで大麻使用者が出たことをもっと重く受け止めろよ。


「佐藤! お前羨ましいなチクショウ!」「その席ゆずれ!」「タクヤンの隣は俺の場所なのに!」「お前には茨姫がいるだろうがクソッ!」「もげろ!」


うるせぇなオイ。



その放課後、自転車で下校していると見たことのある少女が俺の家の近くで一本の木を見上げていた。

何かあったのだろうかと思い、俺は彼女に声をかける。


「どうかしたの?」


その少女とは今日転校してきたばかりの柊アリスだった。

柊は眠そうな瞳でこちらを見ると木の上を指差す。


「……あの子、木からおりられなくなったみたい」


見れば会社帰りと思われるオッサンが木の上で縮こまり震えていた。

手には書類のようなものを握っており、おおよそあの書類が風かなにかで木の上まで飛ばされ、取ろうとしたら木からおりられなくなったのだろう。


「待ってろ、今助けてやるからな」


俺はブレザーを脱いで柊に渡すと、勢いよく木に上り「ミャーミャー」と鳴いているオッサンに手を伸ばした。

当初オッサンはこちらを警戒して近付いてもくれなかったが俺が根気よく呼び掛け続けたところ、最終的には俺の手をつかんでくれた。

そのまま震えるオッサンを背負い木から下りる。

そして無事にオッサンを地面に下ろしてやると彼はお礼のつもりだったのか俺の頬をチロリと舐め、走り去っていった。

それを見送ったあと、俺は頬を撫でながら呟く。


「オッサンじゃねぇか」


柊がさっき脱いだブレザーを俺に返した。


「……あなた優しいね」

「俺さぁ、てっきり猫かと思ったんだよ? そしたらオッサンじゃねぇか」

「……でもノリノリで助けてた」

「……」


きっと周りのイカれた奴らの影響なんだ……。

絶対そうなんだ……。

俺は悪くねぇっ!

俺は悪くねぇっ!


「……隣の席、だよね?」

「覚えててくれたんだ」


意外だった。

あれから一度も話していないのに。


「……名前は?」

「佐藤拓也だよ」


すると柊は少し考えたような顔をしたあとに口を開く。


「……じゃあタクって呼んでいい? ……そのほうが呼びやすいから」

「えーと」


なんと、いきなりあだ名を決められてしまった。

これは反応に困るな。


俺がどう返そうか悩んでいると電柱の陰から突然何かが飛び出してくる。


「何がタクよ、彼の名前をそんな気安く呼ばないでくれるかしら?」


霧島さんだった。

俺は驚くよりも先に呆れてしまう。


「君、もしかしてずっと俺をつけてたの?」

「当たり前じゃない、新ヒロインに少しだけ出番をあげるため待機していたのよ。まぁぶっちゃけると作者の都合ね」

「一体何を言ってるの?」

「とりあえず、これ以上拓也君とフラグを立てられては困るのよ、転校生さん」


それに柊はムッとした表情になった。


「……誰と仲良くしようとアリスの勝手」

「なんですって?」


……あー、これ面倒くさくなるやつだ。


二人はバチバチと視線を交わしながら口論を開始した。

一方、俺は匿名で通報したあと帰宅した。



ちなみに後日気付いた事なのだが柊の家は俺の家の隣の隣だった。


━━そして何よりも一番驚いたのはあの時助けたオッサンが柊の父親だったということである。

もうこの世界にマトモな人間は存在しないのかもしれない。

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