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ネガティブ 2連発(二編)
メランコリック
すっからかんの壜が羨ましい
僕のなかじゃ、
群青色とか深緑とかのペンキが絶えず回っている
容器さえも溶け出して、混沌とした海になりそうだ
瑞々しい果物を投げ入れてみても、
すっかり染められて、ねとねとになるだけさ
そんな僕だから、
すっからかんの壜が羨ましい、
あの塀の上にある……
渇望の手
手を伸ばしても、得られない
掴んだものは、砂となって落ちてゆき、
くたびれた手は、君のもとへと返る
「そこに、それはない」
その事実を、君は知っているのだろうか
知っていながら、手を伸ばさずにはいられないのだろうか
時間が短すぎるのか、
短すぎて、他へは目を遣れないのか
あるいは、どれだけ時間があろうとも、
他の場所を求めることができないのか
「そこに、それはない」
君は、手を伸ばす
くたびれた手は、君のもとへと返る……
たまには……、ね。