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キザ(二編)
スペルバウンド
蝶が飛んでいる
鴨が泳いでいる
椿が咲いている
風が吹いている
鳩が鳴いている
雲が流れている
犬が吠えている
砂が舞っている
ああ、うっとりさせるね
そして、隣のテングに言ってみる
「あなたなんて、大したもんじゃないですよ」
歪んだリアリズムのサングラス
君は、この世のロジックをみんな知っているかい?
答えは明白、だから言わなくていい
多くの人間は忘れているんだと思う
知らないことだって真実でありうることを
歪んだリアリズムのサングラスをかけて
疑うことなく信じているのも
人間の趣の一つなのか?
「そんなの信じられない」って、
君は自信満々に言っていたね
まあ、そういう君の態度に対して、僕が感じた嫌悪のほうも
負けないくらい堂々としていたかもしれないけど
お互い、そんな傲慢さなんか洗い落としてさ、
「僕には信じられないんだけど」って、
恥ずかしげに言ってみないかい?