田は作らぬが詩は作る

31〜40

斯くして隠して逃げ去った

閣下の飼い猫は

閣下の飼い猫は

閣下がお相撲を

テレビで見ている隙に

閣下の飼い猫は

閣下の飼い猫は

閣下のディナーを

食ったのさ

後々（のちのち）閣下はかっかかっか怒る

だけれど今は、はっけよい

はっけよいよいホッケはうまい

うまいホッケは残らない

全部閣下の飼い猫の

大きなお腹に

あ、やばいぞやばい

飼い主（ぬし）閣下がやってくる

はっけよいよい大股に

ホッケを食いにやってくる

跡形なく、バレないようにしなければ

僕はたちまち、かっかかっかの餌食（えじき）

骨が残っちゃバレちゃうぞ

テーブルの下に隠さなきゃ

あー、もうちょい待ってよー

飼い主閣下がドアを開け

入ってくるとほぼ同時

飼い猫は

可愛い猫は

にこりと笑って出ていった

斯くして隠して、逃げ去った

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そうです、部長と道化の詩の、猫視点バージョンです。