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空白のワナ
ワナにかかった
流れゆく水
黄緑色が顔を出し
白い光が嘲笑う
梅の花に鶯の唄
枝には目白
ひらりひらりと
紋黄蝶の嘲り
ワナにかかった
微風と木洩れ日
ちろちろと滴り
流れゆく水
白い光が嘲笑い
黒光りする岩石
ひらりひらりと
紋黄蝶の嘲り
ワナにかかった
雪雲はもう去った
うき雲はどこにある
空白が嘲笑う
空は青
光は白
視線を戻せば
紋黄蝶の嘲り
ゆらりゆらりと
私を苦しめる
空白のワナにかかるくらいなら
あなたのウソのほうが良かった
解かないでほしかった
解けないでほしかった
雪雲はもう去った
氷は水に
黄緑色が顔を出し
黒光りする岩石
白い光が梅を照らし
青空に囀り
ひらりひらりと
紋黄蝶の嘲り
春はまた、そういう季節でもある。




