ネガティブ 2連発 II(二編)
ジンジャーエール
凍てついた冬の町
ふらふらと歩いていく
ほの暗い午後の道
明かりが灯ってはいるけれど
ポケットに手を入れる
この寒さを凌ぐため
何か物が指に当たる
一月前の映画の半券
川は凍らずに忙しく流れているけれど
ウィンカー出した車は横切る者を待っている
向かうべきところはわかってる
進むべき道には道標
かなり目立つとこに立っている
なのに足は同じ枯れ葉の上に下りる
冷え入る身体にジンジャーエール
でも震えるハートに気が滅入る
そんな自分にエール送ろうと
声張り上げる
けれどすぐ消える
ほらすぐそこに自販機の光が
必死のエールに気が滅入る
踏み入る勇気なく困り入るけれど
それでもこの地に立っている
雪解ければ花はまたすぐに咲くだろうけれど
橋の錆びついた手すりはきっと今のままだろう
向かうべきところはわかってる
進むべき道には道標
かなり目立つとこに立っている
なのに足は……
向かうべきところはわかってる
進むべき道には道標
迷うことはない、と立っている
なのに足は同じ枯れ葉の上に下りる
眼鏡が壊れた
あなたへの愛情?
あったとしても、それは
ヤドリギがエノキに感じるくらいのもの
私たちは、そんな関係でしかなかった
でも、ぼろぼろになったあなたを見ると
どういうわけか、悲痛な感情が沸き起こってくる
まるで、あなたが
私の心の唯一の支えだったような気さえしてくるの
でも、それは
私自身がぼろぼろだから
だから、ちょっとしたことに
鋭く反応してしまうだけ
トイレの窓から射し込んだ光が、
私の肌を綺麗なオレンジ色に染めていた
そんなことに感動してしまう私だから
光を染めたオレンジ色は、
窓につけられた目隠し材の色だった
そんなことに落胆してしまう私だから
だから、
ぼろぼろになったあなたを見ると
悲痛な感情が沸き起こってくる
眼鏡は大切に。