相棒の名
ロボットの鷲と引き合わされた後、驚きが覚める間もなく瑛から課されるリハビリ内容は、文字通りスパルタの一言に尽きた。サイボーグ化したため、筋力トレーニングは意味がないとのことで除外されたが、その分が全て実践的なトレーニングに費やされた。相手に合わせた力の出力地の割り出しとAIへのインプットが重点的に繰り返された。
「力加減が甘い。加減を間違うと必要以上にエネルギーを使うことになって後で後悔するよ」
トラップだらけの部屋でひたすらトラップを躱す、破壊するを繰り返しトラップの見抜き方と解除・対処法を覚え込む。しかもそこに、エネルギーの効率的な使い方の体得迄組み込まれている為、精神的・頭脳的な疲労感は半端ではない。
「だいたい身に付いたようだね。じゃあ次は鷲の使い方に移ろうか」
瑛は俺の動きに無駄がなくなったのを確認し、次のリハビリ内容にシフトした。
「煌希、それじゃ鷲に名前をつけてくれるかい?名前をつける事で、君と鷲の間に通信回路が構築される。今後は、テレパシーのように頭の中で会話が可能になるから他人に変な目で見られなくてすむようになるから頑張ってね」
瑛の言葉に、煌希はじっとロボットの鷲を見つめて考え込んだ。考えること三十分、煌希は鷲を見つめ口を開いた。
「煉はどうかな?」
煌希が告げた名を吟味するように、首をかしげた鷲は暫くして嬉しそうに頷いた。
「煉か。いいんじゃないかい?自分の名と造りを揃えたんだね」
二人?の様子を見守る様に眺めていた瑛も、煌希が考えた鷲の名に賛成の意を示した。