天魔領
≪天魔領≫
連邦にも帝国にも属さない中立国家。天魔王国、ドワフロト、クルスの三国を中心とした都市国家連合である。基本的に争いには介入せずに、対魔物を謳った国家である。
救援要請が有れば連邦だろうが帝国だろうが関係なしに魔物退治に向かい活動していた。
国内の派閥では、連邦派、帝国派が2分して拮抗しているが、代表議長にそのどちらでもない中立派のバニング・クルスが就いていた。バニング議長は魔物が現れれば自ら前線に赴き指揮を執り戦果を上げている為に民衆からの支持が80%以上と高く、連邦派や帝国派も苦い思いをしていた。
「うむ、帝国軍は降下ポットを大量に降下させ各地で戦果を広げているか・・・」
モニターを見ながらバニングは呟いた。
「議長、先日の調査の件ですがカリーナ様の行方が分かりました。」
秘書官のスーツに身を包んだお堅い感じのエルフの女性がバニングに話しかけると
「そうか・・・それで?」
「はい、カリーナ様はセイントキングダムの連邦軍に身を寄せていることが分かりましたが・・・ご子息のシェルド様の行方が・・・」
机に置いてあった家族写真を手に取りバニングは
「そうか・・・」
「しかし、気になる点が有ります。」
「それは何だね。」
「はい、カリーナ様が代表であった組織の代表が、いつの間にかご子息に変わっているのです。」
「何!」
バニングは立ち上がり大きな声を上げた。
(カリーナが代表を務めていたというと・・・ガーディアンエンジェルか!)
「すぐにガーディアンエンジェルに連絡を入れろ!」
「地上のでよろしいでしょうか?」
「ああ、構わん!」
秘書官がパネルを操作して通信を繋げるとモニターに赤髪のスーツに身を包んだ男が映し出され、
『これはこれは議長閣下お久しぶりであります。議長閣下に置かれましては・・・』
「カノープス挨拶はいい!シェルドは、シェルドは無事なのか!」
『・・・代表ですか?ご無事ですよ。数日後には地上へ降りてくる予定となっております。』
「そうか・・・では降りてきたら私のもとへ来るように言っておけ!」
『お伝えはしますが・・・そちらへ行くかは保証しかねます。』
「親が来いと言っているんだ!来させればいいだろ!」
『・・・私用でしたらご自分でご連絡を取られてはいかがですか?私どもは議長閣下の部下ではありませんので・・・』
カノープスの後ろで警報が鳴り響き
『緊急のようなので私はこれで。』
そう言うとモニターが切れる。
「くそっ!ネイ君!」
「はい。」
「ガーディアンエンジェルに監視を付けておけ!宇宙船が降りてきたら最優先で私に伝えろ!良いな!」
「はい。分かりました。」




